死のうと思っていた。

2010/09/14 00:01 登録: えっちな名無しさん


死のうと思っていた。


ことしの正月、よそから着物を一反もらった。

お年玉としてである。

着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。

これは夏に着る着物であろう。


夏まで生きていようと思った。

出典:太宰治「葉」冒頭
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