最強のステイヤー

ボクは競走馬。
あんま目立たなかったけどね。
新馬戦、何とか勝ったけど、次の重賞はボコボコでさ。
三走目のオープン勝った後、足を折っちゃった。

大丈夫、心配しないで。意外とたいしたことなかったみたいだし、
なんとか春のクラシックには間に合いそうだから。

春のトライアルは、ボコボコ。
でも、賞金的に皐月賞もダービーもギリギリセーフ。

とにかく、同期にメチャメチャ速い栗毛の奴がいてさ、
やっぱ全然かなわない。皐月賞も彼の一人旅だったし。

でも、ボクもダービーでは頑張ってみようと思ったんだ。
何とか彼にくらいついてみよう。

一生懸命走ったさ。でも、栗毛の奴は止まらなかった。
ボクは、ヨロヨロしながらも、なんとか二着になれた。
無理だって、栗毛速やすぎるって。

ボコボコのボクに、先生も的場さんも
「よく、やったー！頑張ったな」
すごく褒めてくれた。今まで無いぐらい褒めてくれた。

違うよ！ボク負けたんだよ。
でも、すごく嬉しかった。勇気が出た。
ボク、もっと頑張る。
秋には、栗毛の奴を追い越してみせる。

のちに、彼は最強のステイヤーとなる。

ボクの名前…恥ずかしいよ。
栗毛の奴が有名すぎて、ボクなんて。

ボクの名前は、ライスシャワー。

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