こんな夢を見た
2010/10/26 13:16 登録: えっちな名無しさん
何も無い、只々白い空間が広がっている。
私はその天地すら曖昧な世界を彷徨っているが、
眼前に一人の若い女が俯きながら掌を見つめる仕草をしている事に気付く。
どうやら携帯を触っている様だ。
後姿を眺める格好の自分には女の顔は分からないが
黒髪が美しい、線の細い女性だ。
その姿に云いえぬ魅力を感じ、引き寄せられると
彼女は気配に気付き、すっと振り返る。
白い肌と印象的な大きな瞳に心を奪われるが、
その眼には警戒の色が滲んでいる。
私が「やぁ」と声を掛けると
ようやく少し表情を崩し「クスッ」と笑った。
「ここはもう長いのかい?」私が聞く。
「さあどうでしょう。長い様な気もしますね・・・。
それより、貴方も此処に居たいのですか?」
私は黙って頷いた。
それから、どれくらいだろう。
お互い言葉を交わす事無く、心地よい時間が流れた。
ふと彼女が傍らに置いた携帯の画面が目に入った。
その画面は、
“アイラブセックス”と打っている最中だった。
「君、愛なのか?」
すると彼女は美しい顔を赤く染め、「ビキッ('◆')」と言って走り出した。
美しい黒髪がたなびく。
私は「待ってくれ、俺も岸なんだ。」
と意味不明な事を叫びながら彼女を追いかけ様とするが
彼女の姿はもう何処にも見えない。
そこで目が覚めた。
微かに頬が濡れていた。
もう何も取り戻す事は出来ない。
出典:失ったものは
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