萌えコピロワイヤル 予告兼プロローグ

2010/12/08 14:16 登録: えっちな名無しさん

東萌都、萌山市にあるコピペサイト。メジャーコテ少数、単発コテ少々しかいないサイト。
今居るコテ・・いわゆるあたし達、古参が卒業したらここのサイトは閉鎖になる。そのサイトの名前は「萌えた体験談コピペ保管庫中学校」。
そんな少人数の私達は、冬休みを迎えようとしていた。
その日は別に、いつもと変わらない。
冬の寒さとか、より静かに感じる掲示板とか・・それから、名無しの様子なんかも何も変わらない。
かわっちゃ、いない、ハズなのに。





『なぁ、お前はそれで満足なワケ?楽しいかよ、それが、お前の正義かよ。』




[プロローグ]



・・大切なのは、相手の心を掴むこと。


「じゃ、俺1枚交換な。」
「私、2枚ね」
「あたしも2枚」
「オレ・・3枚!」
「えー・・オレ・・あー全部!5枚」
「チャレンジャーだなぁ・・俺は・・いいや。つぅは?」
【駁(ばく)】は少し猫のような形をしている口をニッと笑うように動かすと、隣の【痛風(つうふう)】を向いた。

痛風は自分の目の前にある5枚のトランプを見比べた。ダイヤの6とクローバーの7、ハートの8とスペードの10、それからスペードの4。運良く数字が並んでいるので狙えるとすればストレートだけど、10を捨てるか4を捨てるか
「・・うーん・・1枚交換・・」
とりあえずスペードの4を捨てる。どうせ運だ。そして山からカードを引くと、クローバーの9がでた。よし、これでストレート!顔に出ないようにしないと。


そんなこんなで現在、仲良しメンバーにてポーカー中。ここからは腹の探り合い。

「じゃ、親の俺からだな・・俺、このままコールで」
コール、コインを上乗せせずに進める、と言う意味だが。そう言ったのは【ざーみるく】で、彼はは隣の【ナターシャ】を向いた。
ナターシャは全員の顔を一通り見る。
表情を読み取っているらしが、しばらく悩んだ後答える。
「んー・・私もコール。」
「あたしも・・」
自信なさ気に呟いたのは【みやこ】だった。見るからにいい手札じゃなかったのだろうか。
「みやこ、お前いい手札じゃないんだな?」
くっくっく、と笑いながら【修一(しゅういち)】がいうと、みやこはギクリ、とこれまた分かりやすい表情になる。
「そっ・・それより、はやく進めてよ。誰?」
「あ、オレもそのまま・・コールで。」
【岸利徹(きしりとおる)】が言うと修一を向いた。
「なんだー誰もレイズ(※チップをかけること)しないのか?・・俺、2枚レイズな」
「ふーん、手札全部交換してレイズするなんて、運がいいんだね?」
修一の次に当たる駁が言うと、修一はさーな、といった。
心理を探るのも大事だけど、口で言われると墓穴を掘りそうで怖い。
「じゃあ、俺それでコールね」
駁はそう言うと、チップの代わりに使っているゲームセンターのコインを2枚出した。(1人20枚づつ所持。修一がどこからか持ってきたやつ。)で、痛風を向いた。
「つぅは?」
「う・・」
手札はストレート。よくもなく、悪くもなくと言った感じだ。修一は多分ハッタリな気がするけど、駁はあなどれない。一枚も交換していなかったけど、もともと揃ってる可能性は少ない、けどあたしも揃ってたし・・わざと自身ありげにしている可能性だって、あるはず。うん、ある。
「じゃあ、あたしもコール。」
「えー・・俺、降りるよ。」
言うとざーみるくは手札を表向きに置いた。ツーペアだ。これだとどっちにしろ痛風には負けている。ナターシャも同じく降りる、といって手札を捨てた。彼女も同じツーペアだ。
「・・修一はともかく、駁が怖いからな・・あたしも。」
そう言ってみやこも手札を捨てる。もしかして強いんじゃ、と一瞬考えたりしたがみやこの手札はワンペアでしかも弱い。その上にカードが5枚乗った。岸利徹のだ。
「オレも降りるよ、5のワンペア!」
「なーんだ、皆弱えーな。俺、このまま続けるからな。駁は?」
修一はあくまで勝負に出るらしい。獏がニッと笑った。
「まさか、降りるなんてしないよ・・」
「つぅは?」
修一が痛風を向く。なんだかこの言いようだと駁は本当にやばい気がする。本当にこの人は読めない・・
「・・降りない。勝負!」
そういって手札を見せる。
「ストレート!」
「俺はフルハウスだ!」
修一は自慢げにカードを並べた。ハートとダイヤの7、そしてスペード、ハート、クローバーのKが揃っている。5枚一気に引いてこの手札が出るとは・・
「嘘っ・・!」
思わず口に出る。
「すげー修一・・」
岸利徹は眺めて呟いていたが、その上に重ねるように駁が5枚カードを置いた。Aが4枚と、クローバーの2。ニッとまた駁が笑った。満面の笑み。
「フォーカード。俺の勝ち」
「ええぇ!!!最初からこれだったの!?」
みやこがひょんな声を出して前のめりに先ほどのカードを見比べる。
「嘘だろ・・俺、絶対にいけると思ったのにー・・」
「本当・・だって駁のことだからハッタリと思うじゃんか」
過去数回、役を作れていなくても賭けにかけて相手を降ろさすという手段をとる駁のことだ。だから、今回もと思ったのに。しかしまぁ、一発でこんな手札を引き当てるとは・・侮れない
「しっかり読まないからじゃないか?ポーカーフェイスって言葉があるくらいだし」
「そ−だけどさー・・」
とりあえず、コイン貰うね、と駁が言うと1人一枚ずつ出したコインと、修一と痛風の+2枚を手元に持っていく。本当に駁は読めない・一番要注意。ついでに修一の幸運も。
「よし、次々!!負けないから!」
トランプをそのままグチャグチャに混ぜる。一層気合が入っているようでそこまでしなくていいだろ、と思うくらい混ぜる。どうやら修一が一気に引いてフルハウスという組み合わせんなったのが気にくわなかったのだろう。
負けず嫌いなみやこのこと、勝つまでやめないのは分かっている。
「次の親だーれ?」
「あ。私〜」
ざーみるくから時計回りだから当然分かりきっていただろうが、ナターシャが手を上げる。みやこがソレを手渡してナターシャの手もついでに握る。
「ナターシャ、ここはいっちょ強いのたのむよ?」
「えー無理無理。トランプに頼んで」
にこっと笑ってナターシャはトランプを混ぜる。みやこが小さくため息をついた。
「ポーカーってホント、運でもあるよね」
「ワンペアも程度ってよほど運がないよな」
くっくっく、と修一が笑って言うと、みやこがむっとした表情になる。
「まぁまぁ、運がないのはみやこちゃんだけじゃないしさ・・ね、岸利徹」
駁が笑いながら言う。岸利徹がうっせーな、とだけ言うと、ナターシャを向く。そして両手を合わせた。
「いいカード、頼んだ。」
「だから無理だってば!出来るなら自分に強いカード持ってくるよ」
苦笑いしてナターシャはざーみるくから順に一枚ずつ配っていく。と、そんなナターシャの背中に誰かがぶつかって椅子が動く。それからガタンッと大きな音が響いて、トランプが数枚床に落ちた。
「きゃっ・・何?」
ナターシャが後ろを振り返る。皆は何が起こっているのかは既にわかっていて、そちらを眺めている。
「・・ナナ、やりすぎだって・・」
ナターシャにぶつかってきたのは【刺身野郎(さしみやろう)】この声の主は【ぱいくー】だった。彼がやりすぎ、というのは事実であのぶつかり方は尋常じゃないような、と痛風は考えた。ってか、また、始まったのか。
「もしかしてナターシャさんのことが好きなんじゃないの〜?」
次に言ったのは【ナナ】だった。その横で【ぺしぺし】がバカみたく大声を上げて笑った。
「あっはっはっは・・!マジか!知らなかった〜」
「ちょっと、ぺしぺし笑いすぎ。」
隣で【エリコ】が少し落ち着いた笑いで言う。そんなエリコの前の席に座っている【唐橋ユミ(からはしユミ)】と、その隣の席の【まなぶ】は苦笑いしてその光景を見ている。
「・・またかよ」
ポツリ、と岸利徹が小さく呟いた。ざーみるくが目でやめておけ、と伝えているように見える。



刺身野郎は、ハッキリ言うと虐められている。
イジメの理由は“ハッキリ”とはしていない“らしい”が、大体は予測はついている“らしい”。
少し前にぱいくーやナナ率いる、萌えコピの不良グループ(と痛風は勝手に解釈しているサイトの大半はそう思っているはず。)の一部が連投や自演をし、そのことを“誰か”が管理人の【もえたろう】に密告した。
数日アクキンを受けた後、彼らが取ったのは密告した犯人探しだ。

全員に聞いたのかは“知らない”が、最終的に犯人として名前をあげれられたのは刺身野郎だった。
本人は最初は否定していた“らしい”けど、今は何も言わずにやられることに耐えているように見える。

犯人が、本当に刺身野郎かどうかは“知らない”けど



「・・よく、飽きないな・・」
ボソッとみやこが呟く。本人たちに聞こえない程度に。
止めるべきか、といわれればそうかもしれないけど、そこまでする度胸はない。ただ、岸利徹はいい加減にした方がいいんじゃないか、とよく言っている。けど、そんなことして止まるようにも思えない。
どうせ、自演のこととかはナナ達ももう気にはしていないのかもしれない。多分、言うならいじめを楽しんでいる、のかも知れない。人の考えまでは知ったこっちゃないけど。

そんな事を考えていると刺身野郎が無言でトランプをしていた痛風たちを向いた。聞こえたか、とみやこが眉を少しよせて眺める。刺身野郎の目線は、痛風を向いていた。ほとんど、睨んでいるように見える。
「・・何?」
「ちょっと、いい?」
刺身野郎がまともに口を聞いたのは久々な気がする。ちょっといい、と言うが。これは間違いなく痛風に言っているのだ。
「・・着いてきて」
若干低く感じるその声が響くと、刺身野郎は歩き出していた。その背中をしばらく眺めていたが、刺身野郎が教室のドアを閉めると同時に先ほどまでトランプをしていたメンバーを向いた。
「あたし、なんかした?」
「わかんない」
駁が小首をかしげる。もしかして、とみやこが言った。
「もしかして、あたしの言ったこと・・つぅと勘違いしたのかも」
「けど、それでアイツが何か言うか?」
修一が言うとみやこは分からないけど、と言った。
「もしかして、告白とかじゃないの〜?」
ぺしぺしだった。さっきまで大笑いしていたのにいつの間にか笑うのはやめていた。
「あはは、そうかもね。行ってきてよ、痛風サン」
ナナがそう言うと、痛風は立ち上がった。ナナがそう言うならしかたがない。逆らえば何を言われるのか分からないし、降りかかる火の子は避けておきたい。
「分かった。」
立ち上がる。そして、刺身野郎が向かった先はどこだろうと考えながらドアを開けた。


刺身野郎がいたのは、教室の近くの階段だった。階段にある窓から外をボーっと眺めていた。ゆっくりと歩きよると足音で気がついたのか刺身野郎が振り返った。
「よかった。来なかったらどうしようと思った」
「放置でも別に良かったんだけどね」
痛風が少し皮肉をこめて言うと刺身野郎は笑った。彼の笑うところを見るのは久しぶりだ。いつ以来?
「で、何?」
「お前にさ、ずっと聞きたい事があって。」
「聞きたいこと?」
眉を寄せて尋ねると、刺身野郎は少し笑いを押さえた。真顔とまでは行かない。
「萌えコピ、楽しい?」
「楽しいよ。」
即答する。ナナ達がうるさく騒いで先生たちに怒られる姿(というより、なぜかまとめてクラスごと起こられたりとか)を見ていると腹立つし、イヤになるけど友達が居るし、授業も何とかついていけるから悩むことはないし、むしろ楽しくて毎日来たいくらい。
「ふーん。」
聞いておいてちょっと興味無さそうに言うと、少しむっとなった。自分が楽しくないからかどうかは知らないけど。
「それだけ?もういい?」
腹立ったので戻ろうとすると、刺身野郎が腕を掴んで止めた。意外と力が強くて痛い、と言ってしまった。刺身野郎は謝りもせずに、今度こそ真顔だった。
「聞きたいことがあるんだ。」
さっきも言ったじゃないか、と思いながらむっとした表情のまま刺身野郎を見た。
「何?」
「あのさ・・」



「あっ、つぅちゃん!」
ドアを開けるとナターシャが気がついて名前を呼んだ。そんなナターシャを思わず睨むようにしてみてしまう。さすがに驚いたらしいナターシャはこれ以上何も言わなかったが、修一が尋ねてきた。トランプはもうやめたみたいで、今は痛風の代わりに【恋(こい)】がみやこやナターシャと会話していたらしく、一緒になってこっちをみた。
「どうした?」
スッと後ろから誰か・・言うまでもなく、刺身野郎が通りすぎる。その背中を睨みつけた。刺身野郎は止まることなくまっすぐ進み続ける。【玄米(げんまい)】と話している【健太(ばか)】の大事にしているトランペットを入れているケースを蹴ってしまっても謝りもしない。(健太はかなり怒っているが、玄米が無言で位置を戻した。)
ついに窓枠まで来た。
「告白、終わったの?」
ぺしぺしがまたふざけて尋ねる。刺身野郎はそんなぺしぺしを完全に無視して、窓を開けた。全員がそれを眺める。見ていると、刺身野郎が窓枠に足をかけて立ち上がった。その一番近い席で寝ていた【愛(あい)】が異変に気がついて起き上がった。そして光景を見て小さく「ビキッ」と言った。
「何・・」
「ちょっ・・何して・・」
突然のその行動にナナやぱいくーが驚いて声を出す。岸利徹がガタンッと大きな音を鳴らして立ち上がった。
「刺身!!何してんだ!?」
言うと、刺身野郎はここでもまた、笑った。大声で。先ほどのようなのとは比べ物にならないくらい。ここで、目がふとあった。



「これが、お前たちの正義かよ、バーカ。」



目を見開いた。

ゆっくりと、刺身野郎の姿が消えた。頭から落ちていく。


「・・きゃああああっ!!!」
「嘘だろっ!!!」
一間置いてクラス中の悲鳴。泣き声、驚愕。様々な感情が教室中に充満する。
「・・どっちが、バカだっていうのよ・・」
痛風は、小さく呟いた。



それが、冬休みの始まる一日前のこと。


-------------------------

男子1番 ざーみるく 女子1番 恋
男子2番 まなぶ    女子2番 ナナ
男子3番 玄米    女子3番 愛
男子4番 岸利徹 女子4番 みやこ
男子5番 修一    女子5番 痛(。・_・。)風
男子6番 駁      女子6番 唐橋ユミ)
男子7番 ぱいくー 女子7番 ナターシャ
男子8番 刺身野郎 女子8番 エリコ
男子9番 健太     女子9番 ぺしぺし




出典:前半戦はできてるけど
リンク:完結してからの方がいいかな?

(・∀・): 27 | (・A・): 33

TOP