人生、先なんて分かりゃしない

　昔、学生時代の友人で、俺には霊感があると言っていた奴がいた。
　皆が就活で大忙しの中、卒業後は霊能者になると大真面目に彼は言っており、本当にそういう先生のところへ弟子入りしてしまった。
　そんな友人に俺は、「あーあ、人生という名のレールから見事に脱線しちまったな、あいつ（笑）」と、内心ではその友人を馬鹿にしていた。
　あれから十年近くが過ぎた。
　その後友人は占い師として開業し、今は結構儲かっているらしい。
　俺はというと、派遣社員として毎日薄暗い倉庫の中で荷物整理をする毎日・・・
　俺にも特殊な技能があればと、今は平凡な自分という存在を悔やんでならない。


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