ラーメン二郎14

2011/02/25 21:13 登録: 痛(。・_・。)風

三田の二郎といえば、慶応大の男達が、行列を作ってむさぼり食う、
勇壮なラーメンとして、この地方に知られている。
授業のあと、男達は店の前に集まり、行列に加わり、食い合う。
大勢で食う時は、激しい人数で店がいっぱいになるから、持ち帰りで、鍋に入れて出される。
俺はいつもそれが狙いだ。
持ち帰り用の鍋の、できるだけ大きい奴を1個ほど、 裏口でもらって家に持ち帰る。
そして、昼過ぎ、俺一人の鍋二郎が始まる。
俺はもう一度汚れた鍋のみ食卓に置き、部屋中にかっさらってきた割り箸をばら撒き、
ウォーッと叫びながら、ラーメンの海をかき回す。
熱いラーメンは、豚の臭いがムンムン強烈で、俺の食欲を刺激する。
胃袋の中の胃液は、もうすでに痛いほど湧出している。
鍋の中に顔を埋める。臭ぇ。 脂臭、ニンニク臭や、カネシ独特の醤油の臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
うめぇぜ、ワッショイ! ラーメン二郎ワッショイ!と叫びながら、豚ごと麺をすする。
食べ比べ、一番歴史のある本店を主食に選んだ。
そのラーメンには、ニンニクのカケラまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
そのニンニクを盛ってた奴は、店で一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ラーメン二郎店員だろうと、
勝手に想像して、鼻と口に一番うまい部分を押し当て、思いきりすすりながら、ラーメン二郎うめぇぜ!俺が行くぜ!と絶叫し、 麺をいっそう激しくすする。
他の具は、ミイラのように箸に巻き付け、 ラーメン二郎の太麺を口に銜えながら、マシッ!マシッ!と唸りながらヤサイも食べまくる。
まだまだ限界じゃない。
俺は台所からお玉を持ち出し、ラーメン二郎の鍋の中に、思いっきりおかわりする。
どうだ!うまいか!俺も良いぜ!と叫びながら食い続ける。
本当にラーメン二郎を食べてる気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ラーメン二郎の鍋は、俺の唾液でベトベトに汚される。
ラーメン二郎、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺の食事が済んだあと、食いきれなかった豚は、タッパーに入れ冷蔵庫にしまい込む。
また来週、鍋二郎を手に入れるまで、オカズに使う。
押し入れには履けなくなったズボンがいくつも仕舞ってあるんだぜ。



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