無理矢理意味を考えてみた
2011/04/09 10:59 登録: えっちな名無しさん
職場の先輩、憧れの鈴木さんが俺の部屋に来てくれた。
と言っても成り行きというか、鈴木さん忘年会で酔っ払っちゃって、帰り道の途中にある俺んちでトイレ借りたいってさ。
女の人が来るなんて初めてで、変な期待はしすぎないようにって思うけど、期待しちゃうよ。
まぁ実際何も起こらなかったんだけど、トイレ貸したあと少し話せたから、距離が縮まったみたいで嬉しかった。
鈴木さん年上だけど子供っぽいっていうか、きていちゃんが好きみたいで、ケータイに付けるには大き過ぎるだろって感じのぬいぐるみをストラップにしてた。
「色違いでもう1個あるから、俺君にあげるね。お揃いだね、えへへ」
鈴木さんは勝手に、俺のケータイにそれを付けてしまった。
ちょっと抵抗あったけど、鈴木さんの笑顔がかわいくて、俺もにやにやしてしまった。
もっと一緒にいたかったけど、終電があるからと言って、鈴木さんは帰ることになった。
「俺君ありがと。あのね、またその…遊びにきてもいいかな…」
「あわわ、それはもちろんその、その時にはお風呂もきれいにしておくので」
「何言ってんの!何かやらしいなあ」
「わ、わ、すみません何だかその」
「じゃあ、またね」
もう遅い時間だから送ってくって言ったんだけど、駅まですぐだし、アパートの目の前に交番がある。心配ないよって鈴木さんは帰っていった。
ふう、テンパっちゃったなあ俺、童貞だってバレただろうなあ。
でも、酔っ払った鈴木さんかわいかったなあ。
1人余韻に浸りながら、さっき交換した電話番号に、さっそくかけてみようかと思った。
気が早いかな、迷惑かな、と思いながらテーブルの上を見ると、さっき置いたつもりのケータイがない。
あれ?おかしいな。ストラップつけてもらったあと…どこかに置いたつもりはないけど。
おかしい、ほんの少し目を離した隙に携帯電話を見失ってしまった。
まぁよくある事だよな、と思いつつ部屋中を探してみるがどうしても見つからない。
俺は痺れを切らしリビングにある固定電話からケータイにかけてみた。
すると、《もしもし、鈴木ですけど》
「え?鈴木さん?」
《はい、鈴木ですけど》
「………」
ガチャ
俺は慌てて電話を切った…。
あれ、俺勘違いして鈴木さんにかけたのか?でも鈴木さんの番号は覚えてない。
どうして俺のケータイに鈴木さんが出るんだ? 俺のケータイはどこに行ったんだ?
おかしい、何もかもおかしい…。俺も酔ってるせいか頭が回らない。
水を飲んで、しばらく考え込んでみたけど、眠くなるだけだった。
少し落ち着こう。コンビニにでも行くか。
家から出た瞬間、俺の顔は凍り付いた。
信じられないような光景を見てしまった。
悪寒で酔いがいっぺんに醒めた。
鈴木さんの身に何かが起こったんだ!
**********
ふふ、俺君あわてちゃって、かわいかったな。
少しくらい手を出してくれるかと思ったけど…ま、あせらないようにしよっと。
あ、ケータイ鳴ってる。
「もしもし、鈴木ですけど」
《え?鈴木さん?》
「はい、鈴木ですけど」
《………》
…?切れちゃった、まあいいや。
さてと、電車間に合うかな、近道近道。ちょっと暗いけど公園突っ切って行こ。
え?あれ何だろ、誰か立ってる。
何か持ってる…?あれは…包丁!
うそ!こっち来る!何、何なの?逃げなきゃ、逃げ…逃
ざっくり
え…何これ…喉が熱い…。声、声出ない。何で。
あれ?首から下がびしょ濡れだよ、私、どうなるの…。
首があたたかい、首からお湯?違う、私の血が、あふれてるんだ…。
お母さん、お父さん…。
あ、さっきの電話、俺君だったのかな。
ごめんね、また遊びに行くって言ったのに…。俺君。
**********
うう、また、やっちまった、いつもながらあっけないもんだな…。
お前が、お前が悪いんだからな、そんな幸せそうな顔して1人で歩いてるから…。
やばい、人が来そうだ。こいつは木陰に隠して、一旦ずらかろう。
その前にこいつのケータイを、よしコレか。
誰かにメールでもして今生きてるように見せかければ、いざという時アリバイ工作になるか?
まずは送信メールを見て、文面の特徴を覚えないとな。
ん?これは…何だ?どう見ても男言葉…どういうことだ?何でこいつ他人のケータイ持ってたんだ?
ピリリリリリ!
ひい!うわ、受話ボタン押しちまった。
『自宅』から?…てことは本人か家族か?しょうがねえ、拾ったふりで誤魔化すしかない。
ああ、しまった!いつの間にか俺、交番の前にいるじゃねえか、やべえ。
**********
ガチャ
俺はドアを閉め部屋に戻り急いで受話器をとった。
鈴木さんは酔っ払って、俺のケータイ持ってっちゃったんだろうな、でもそこまではいい。
多分自分のケータイだと思って、鈴木さんは電話に出たんだよな?
じゃあ今の、あのきていちゃんのストラップのケータイ、あれは何だ?
鈴木さんが持ってるはずなのに、何で知らない男が俺のケータイを見つめてたんだ?
信じられない、信じたくない!鈴木さんに何かあったってことだろ?
もう一度、電話をかければ分かる。
あいつが鈴木さんに何かしたのか?ひょっとしたら無関係かも知れないが…。
勘違いであって欲しい…鈴木さん…。
「鈴木さんですか?……あなたは誰なんですか?」
《わたし、この携帯電話を拾ったものですけど・・・あなた、持ち主さん?》
うわあ、やっぱり男の声だ、今見た男が出たんだろう。
鈴木さん鈴木さん、どうか無事でいて…。
なんとか情報を聞きだせるか?
「はい、てっきり家の中でなくしたと思ってました、どこで拾ったんですか?」
《○○のコンビニです》
絶対こいつがあやしい、鈴木さんが駅に向かったのなら、途中にコンビニはない。
何とか引き止めないと。
「すいません。今からとりにうかがいます」
《ああ、じゃあ今××の交番に届けようとしてるとこなんで、お巡りさんに預けますね》
「何かお礼を・・・」
《いやいや、そんなものいいですよ。当然のことしてるだけですから》
いいから交番で待っとけよ、あ、ああ、切られた!
**********
「お巡りさん、さっきの男は!」
「ああ、あなたこれ落とした方?それが、名乗らずにさっさと行ってしまったんですよ」
鈴木さんに電話をかけるが、出てくれない。
ケータイ越しに、いつまでも絶望的に続く呼び出し音を聞きながら、俺はお巡りさんと一緒に歩き周り、公園にたどり着いた。
茂みの中から、着信音が聞こえてきた。
鈴木さんのケータイだろう。
鈴木さんは自分のケータイを握りしめ、笑うように死んでいた。
事件の目撃者であるはずのきていちゃんが、口をひらくことはなかった。
(こじつけに対するツッコミもほどほどにオネガイシマス)
出典:意味がわかると怖いコピP
リンク:http://moemoe.mydns.jp/view.php/24461コメント53。

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