レベル7
2011/04/15 03:12 登録: えっちな名無しさん
原子力発電所の国際評価尺度が レベル7 に引き上げられました。
実際に漏れ出ている放射性物質の量が変わったとか、そういうわけではありません。
「これまで想定していた量よりもたくさん出ていました」
ということを言っているわけです。
このニュースを聞いたとき、 正直、ショックでした。
でも、よく注意してみれば、レベル7という結果は妥当です。
後からみると、レベル7に到達することを予測するのは簡単でした・・・
僕は、ちゃんとチェックしていませんでしたが。
この点については後述します。
■どの程度ひどいのか
国際評価尺度で最高レベルの レベル7 となりました。
チェルノブイリ原発事故と同じランクです。
特に説明することもないでしょう。
とはいえ、今日になってそれを沈静化させるような記事や、IAEAの声明が出ています。
こういうと、騙されているのでは?
と思うかもしれませんが、客観的事実でもあります。
下記の経済産業省発表のデータからすると、次のようになっています。
原発 放射性ヨウ素換算値
チェルノブイリ 520万テラBq 5.2×10^18Bq
福島第一原発 63万テラBq 6.3×10^17Bq (安全委員会)
福島第一原発 37万テラBq 3.7×10^17Bq (保安院)
※ 二つあるのは、別々の組織が別々に評価したからです。いずれも推定値です。
新聞の見出しにもなっていますが、要するに、チェルノブイリのほうが一桁多いです。
数字上もそうですが、シチュエーションもチェルノブイリは最悪です。
じゃあ・・・
なんでチェルノブイリと同レベルなのか?
それより上のレベルがないからです。
チェルノブイリと他の原発事故を同列に扱うのはナンセンスです。
しかし、レベル7に到達したのがチェルノブイリと福島第一原発だけというのも事実です。
ちなみに、国際評価尺度の基準値は次のとおりです。
レベル7 数万 テラBq以上
レベル6 数千〜数万 テラBq
レベル5 数百〜数千 テラBq
※ 原子力発電がよくわかる本 榎本 聰明(著) オーム者 p85より抜粋
ここで注意すべきは、2点あります。
1.チェルノブイリは、レベル7の基準値の数百倍以上
2.福島第一原発は レベル7の基準値の数十倍以上
です。
1.に関して
チェルノブイリは突出しすぎています。
2.に関して
福島第一原発もレベル7の基準値を軽く超えています。
こんな状況ですので、チェルノブイリの0.5%以上、
放射性物質が出ていれば、レベル7に該当します。
そんなわけで、福島第一原発では、
チェルノブイリの0.5%以上の放射性物質が放出されている
のは、普通に想定されることでしょう。
簡単に予想できたはずだというのは、こういうことです。
僕は数%程度だと思ってましたが、発表されている数値によると10%前後ですね。
数字上、十分ひどい状態になっています。
■実際には
では、福島第一原発がチェルノブイリ原発に比べてどうなんだというと・・・
●相違点1
放射性物質の量
福島第一原発で放出された放射性物質の量は
チェルノブイリで放出された量の 10分の1 です。
●相違点2
圧力容器・格納容器が残っている
チェルノブイリでは圧力容器が吹っ飛びました。
格納容器はありませんでした。
チェルノブイリで起きた 再臨界×爆発 は 最悪の事態 です。
再臨界×爆発 = 致死量の放射線を浴びる(作業領域)
+ 大量の放射性物質を撒き散らす(環境)
●相違点3
海への流出
放出された放射性物質の大部分は、汚染水とともに海に放出されました。
おかげで、陸上・大気への放射性物質の拡散は抑制されています。
ですので、レベル7のわりに、観測される放射線の量は少ないです。
まぁ、分かってて汚染水を海に放出したわけです。
つまり・・・確信犯だということですが。
しかし、それより他になかったというのも事実だと思います。
他に、汚染水を収容する場所なんてなかったですから。
●結論
というわけで、レベル7といえどもチェルノブイリに比べれば、まだいいほうです。
というよりは、チェルノブイリが最悪だったからこそですが・・・
ただ、海に放出された大量の放射性物質の影響は、はかりしれません。
放射性ヨウ素に関しては、3ヶ月もすれば、100分の1〜200分の1になりますが。
■これから・・・
問題点は、 これから です。
最優先課題は、 最悪の事態 を防ぐことです。
今更、最悪の事態も何もないと思うかもしれません。
しかし、 再臨界×爆発 だけは避けないといけません。
これが起きたら、チェルノブイリと同等かそれ以上になります。
ただ、最悪の事態が起きる可能性は低いですが。
その一方で、放射性物質をなるべく外部に出さないようにする。
これは至難の業です。
最悪の事態を回避するためには、炉心を冷却しなければなりません。
しかし、それに用いた冷却水は、必ずどこかしらから漏れる可能性があります。
どこまで漏れ続けるのか・・・
そこをなんとか突き止めて、塞いで欲しいものです。
経済産業省の公表資料
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110412001/20110412001-1.pdf
出典:理学博士(専門:原子核物理)
リンク:http://ameblo.jp/xerxes-sr/entry-10860692917.html

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