銀のエンゼル様
2011/05/10 17:22 登録: 豆(。・_・。)腐
毎日陽が落ちるまで学校に残り、体育祭の準備をしていた高校3年のころ。
その日も陽が落ちるころ、やれやれ終わったと自転車にまたがって学校を出ようとした。
すると、片思い中の彼女がかなり焦った様子で後ろから走ってきた。
「どうかしたの?」と尋ねると、
「今日は早く帰らなくちゃならないのに忘れてて…ヤバイなぁ」
おれは自転車通学だったのだが、彼女は訳あって隣の地区から(公立なので)電車で通っていた。
さらに、駅から学校まではバスでおよそ15分。だが、自転車のほうがやや早く着くくらいだった。
おれは意を決してこういった。
「駅まで後ろに乗せてってやろうか?」
次の日。
引き続き体育祭の準備に汗を流していたおれを、彼女が呼び出した。
そして、小さな包みをわたしてきた。
「暇なときに開けてね」
ちょっと手がすいたので、さっきの包みを開けてみた。
中には手紙とチョコボール(ピーナッツ)。
『昨日は疲れてるところありがとう。無理だと思っていた電車に間に合いました。
これは昨日のお礼です。疲れてるときには甘いものが一番!』
おれは感動しながら、チョコボールを開けた。
するとなんと、なにやら見たことのない、模様のついたクチバシ…そう、銀のエンゼル。
銀一枚ではおもちゃの缶詰にはならないが、なにか運命のようなものを感じてもしかたない状況だろう?
その後、紆余曲折あって彼女は「彼女」になった。
3年たった今でも、銀のエンゼルは机の上の小さな額に納まっている。
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