してはいけなかった安楽死

2011/05/17 08:31 登録: えっちな名無しさん

北海道の田舎町で一人暮らしをしていたある50代の男性、瀬尾さん。
彼は相棒である柴犬・ブンタと一緒に幸せに暮らしていました。

ところが、ある日、ブンタは突然発作を起こして倒れてしまい、
その後も度々発作を繰り返すように・・・
さらには認知症の症状も見られるようになり、瀬尾さんは
介護に追われる生活を余儀なくされました。

そんな中、瀬尾さんまでもが倒れてしまいます。
状態は思ったよりも悪く、すぐに入院が必要な状況に。

近くに住んでいた唯一の親族、叔母に何とかブンタの事を
お願いして、病院へと向かいました。

が、この叔母。
ずいぶん打たれ弱い事に、たった一日で介護に
音を上げてしまいます。

ただ、それで瀬尾さんに「無理!」と言えていれば、
まだ救いようがあったのですが、なんとこの叔母、
ブンタの安楽死を獣医に依頼したのです。

「瀬尾さんは厳しい状態」「この子にとっても良い選択」
「一日も早く楽にしてあげた方が良い」
自分がいかにも正しいかのように、都合の良い理由を
並べ立て、瀬尾さんに無断で事に及びました。

安楽死は決行されました。

そしてその数週間後。
思ったよりも早く状態が回復し、一時退院
できることになった瀬尾さん。

家に帰ってきますが、ブンタの姿はありません。
「叔母の家に連れて行って面倒を見てくれてるのかな?」
叔母の家に電話をしますが、叔母の返事は曖昧です。

ひとまず、叔母の家に向かう瀬尾さん。
到着しますが、もちろんブンタの姿はそこにもありません。

「ブンタはどうしたぁ?」
「ああ、えーと、安楽死したのよ、先週。
 ブンタの為にもそれが良かったと思うの。ね?
 きっとあの子だって辛かったと思うし、私も一生懸命
 面d・・・・・

瀬尾さんは何もしゃべりませんでした。
ブンタが居てくれる事、ブンタの為に早く元気になる事、
それが瀬尾さんの生きがいだったのです。

その生きがいが無くなりました。
もし、ブンタが寿命や病気が原因で亡くなっていたら
まだ頑張れたのかも知れません。

思いがけない失い方をした瀬尾さんは、
あっという間に体調を崩していき、その1ヶ月後に亡くなりました。

実際、安楽死でブンタが少し楽になったのかも知れませんし、
それはブンタ以外の誰にも分からない事です。
でも、やってはいけない安楽死だったのは確実でしょう。

一人で介護に奮闘されている方には
いつでも起こりうる「倒れたら介護を誰に頼むか?」の問題。
倒れる前に、策は練っておく必要があるかも知れません。



出典:してはいけなかった安楽死 老犬介護の体験談
リンク:http://pet-kaigo.sakura.ne.jp/keiken/keiken4.html

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