「半分こしよう」「そうしよう」

2011/07/01 18:54 登録: ういねこ

「友よ」
「なんだ」
「腹が減ったのだが」
「そうか」
「食事にしないか」
「それは駄目だ」
「何故だ」
「今日はまだ獲物が見つかっていない」
「そうだった」
「そうだ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「なあ友よ」
「なんだ」
「腹が減ったのだが」
「そうか」
「食事にしないか」
「獲物が見つかっていないから駄目だと今いったばかりだ」
「だが腹が減った」
「そうか」
「腹が減った」
「ならこうしよう。今から私の言った通りのことをしろ」
「わかった」
「頭の中に獲物を思い浮かべろ」
「何がいい?」
「何でもいい。ねずみでもすずめでも、好きな獲物にしろ」
「ねずみにする」
「そうか」
「思い浮かべたぞ。丸々と太ったおいしそうな獲物だ」
「よし、それじゃあその獲物を食え」
「食っていいのか?」
「ああ、思う存分食え。」
「ありがたい!」
「・・・・・・うまいか」
「最高だ!最高にうまい!」
「そうか」
「はぁ、はぁ・・・うまかった・・・」
「よかったな」
「だが友よ、とんでもないことに気付いてしまった」
「どうした」
「腹が減ったままだ」
「それは大変だ」
「何故だ?あんなにおいしいねずみを食べたのに」
「足りなかったんじゃないか?100匹くらい食べてもいいぞ」
「ひゃ、100匹も!さすがにそんなに食べきれない!」
「食べきれるさ。実際には食べていないのだからいくらでも食べられる」
「そうか!ならちょっと食べてみる」
「そうしろ」
「ガツガツガツガツガツガツ」
「うまいか」
「ガツガツガツ…うまい!ガツガツガツガツ」
「よかったな」
「ガツガツガツガツガツガツ」
「・・・・・・」
「ガツガツガツガツ・・・友よ」
「どうした」
「とんでもないことに気付いてしまった」
「どうした」
「一向に腹が満たされない」
「それは大変だ」
「・・・なぁ友よ」
「どうした」
「もしかしたら・・・これはいくら食べても腹は満たされないんじゃないか?」
「何故そう思う?」
「だって実際には食べていないじゃないか」
「そうだな」
「腹は減ったままだ」
「そうか」
「ところで友よ」
「何だ」
「何故さっきからそんなに遠くに座っている?」
「・・・そんな気分なんだ」
「何故後を向いている?」
「それも気分だ」
「なぁ友よ、キミは頭がいいな」
「そうでもない」
「友よ、キミはわかっていたんじゃないか?頭の中のねずみを食べても腹は膨らまないことを」
「知っていたらお前にやらせないだろう?」
「いや、知っていてやらせたんじゃないか?」
「何故そう思う」
「キミは私に何か隠したいことがあるとき、いつも私の気をそらそうとする」
「気のせいじゃないか」
「そんなことはない。その証拠に、キミは今何かを隠している」
「そんなことはない」
「友よ、こちらを向いてもらおうか」
「・・・・・・」
「くくく、素直だな」
「何もないだろう。何も隠してなどいない」
「友よ、それで隠したつもりか?口の周りが真っ赤だぞ」
「!」
「ご自慢の白い毛並みが台無しだなぁ」
「・・・・・・」
「ヒゲまで赤く染まっているぞ。しかし獲物が見つからんなぁ・・・」
「た、食べてなどいないから、あるはずがない」
「さしずめ・・・その尻の下にでも隠しているな?」
「・・・ばれてしまった」
「ばればれだ」
「すまなかった。獲物が一匹しか捕まえられなかったので、つい」
「許そう。立場が逆なら私とて同じことをするだろう」
「すまない」
「ところで友よ」
「どうした」
「いいたいことはそれだけか?」
「どういう意味だ」
「キミは先程[獲物が一匹しか捕まえられなかった]と言ったな」
「その通りだ」
「それなら何故、キミのしっぽの陰から見える獲物の体が2つある?」
「!」
「相変わらず詰めが甘いな」
「・・・すまなかった」
「許さん」


出典:ネコが
リンク:すきすぎて

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