名探偵コナン 完結編[其六]

2011/08/03 07:51 登録: えっちな名無しさん

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真「・・・ご、ごめん」

美「ちょ、ちょっと・・・びくりしちゃっ・・・た・・・」

真「いや・・・なんだろ・・・抑制が効かなくなった」

美「いや、ね・・・その、私が誘っちゃったようなもんだし・・・ね。
  それに・・・やっぱり、ホルモンバランスが崩れてるのかなって
  ・・・・。
  私もちょっと変だし・・・」

気まずい中、有子が大浴場から戻って来た。
さすがに来客があるということで、浴衣に着替えてはいなかったもの
の、アメリカで脚光を浴びた人気女優だった頃のような、華やかな
衣装を身に纏っていた。
化粧もすっかり整えている。

有「ああ、いいお湯だった。
  あら、二人で何を畏まってるの?」

真「母さんこそ、なんで風呂上りにそんな格好してんだ?
  寛げねえだろうに」

有「だって、工藤有希子としてお迎えするお客様だもの。
  イメージって大事よ」

美「とっても、素敵です!」

有「ありがと〜。
  ほらあ、美薗ちゃんは、よく分かってるじゃない」

真「お客様ったって、阿笠博士とFBI捜査官だぜ・・・」

有「そのFBIの方って、私はお会いするの初めてよ。
  女性の方なんでしょ?」

女というものは、相手が誰であれ、張り合う生き物らしい。
それとも、有希子が特別なのか。
真悟が、「コンタクトまでは必要ねえんじゃねえか。却って目立っ
ちまう」と言い、有子も「それもそうね」と賛同したので、二人は
コンタクトを外した。
その代わりに、明日にでも度の入っていない眼鏡とサングラスを買う
ことにした。

フロントから取次ぎの電話がかかってきた。
有子が取って、すぐにお通しするようにと告げた。
基本的に、三人でいる間は、真悟と美薗の二人は表に出さず、外部
との接触は、有子を介することにしていた。
阿笠博士がやって来て、先に有子と挨拶を交わした。そして、真悟と
美薗を見て、何とも言えない複雑な表情を浮かべた。

阿「二人とも、そんなに大きくなっちゃったのかい?
  それじゃあ、コナン君や哀ちゃんではいられんなあ」

真「そいうこった。
  博士には、面倒のかけ通しで、本当にすまねえな」

阿「そんなことは気にせんでいいけど、新一君は確かに中学生に
  なった頃の君じゃが、哀ちゃんは、何だか孫が急に大きくなっ
  てしまったようで、複雑な心境じゃのう・・・
  コナン君と哀ちゃんになった君たちを最初に見たときも驚いた
  けど、可愛かったからのお」

美「博士には、本当にお世話になっちゃって・・・。
  行くところがない私を匿って貰って、
  本当の子どものように接してくれて・・・。
  何もお礼が出来ないうちにこんなことに・・・」

美薗は、感謝の思いで胸が一杯になり、急に別れなくてはいけなく
なってしまったことが辛くて、涙ぐんでいた。
それにつられるように、博士も目頭が熱くなってきた。

苦しみや辛さに支配され、何も手につかない、そこから抜け出せない
様子を、俗に『四苦八苦する』というが、人間が生きて行く上で避け
られない『生』『老』『病』『死』という、一人の人間に集約された
『四苦』の他に、他人との関わりの中で感じるものが四つあるという。
 1.『愛する者と別離する苦しみ』
 2.『怨み憎んでいる者に会う苦しみ』
 3.『求める物が得られない苦しみ』
 4.『あらゆる精神的な苦しみ』
ある意味で二人は今、『2.』を避け、『3.』を得ようとして、
『1.』の辛さ、苦しさを味わっているとも言えるのではないか。

阿「哀ちゃんがいなくなるのは、淋しいのう・・・。
  でも、ある意味では、君達の門出じゃしな。
  子供たちが大きくなって、新しい可能性を探して親元を離れて
  いくのは、めでたいことなんじゃから、泣いてはいかんがのう。
  ・・・ただ、君達は・・・これからがまた大変じゃなあ」

阿笠博士が出されたお茶を啜っていると、再度、電話がコールされた。

フロント『ジョディ様とお三人の男性の方がお見えですが、
     お部屋の方にお通しして宜しいでしょうか?』

有「お通しして下さい。
  それと、コーヒを8つ、お部屋の方に持って来て頂けるかしら」

有子が入り口で、4人を迎え、挨拶を交わし、中庭が見える応接に
通した。この中庭は、高名な庭師が手掛けたという。心が洗われる
ような想いになる名園である。
ジョディについてきた三人の男もFBIの仲間だという。
二人の男は、応接に入らず、入り口付近とリビングを固めた。
ジョディの用件が、トップシークレットだということを感じさせた。
ジョディは、応接に案内されてすぐ、中庭が鑑賞できる窓のカーテン
を閉めて貰えるように要請した。
窓からもう一人が中庭に出て、監視に入った。

応接では、奥の窓側に有子が、隣に真悟、更に手前に美薗が腰を下ろ
し、向かい側奥にジョディ、手前に阿笠博士が座った。
コーヒーが運ばれてきた。部屋の入り口にいたFBI捜査官が受け取り、
応接まで運んできた。
応接の5人分をコーヒーポットから注ぐ前に、自分用のカップに少量
を注ぎ、「失礼します」と言って、一口呑んでから、「失礼しました」と
一礼をして、持ち場に戻った。
美薗が8人分のコーヒーをカップに注ぎいれ、ガードをしている三人
のところへも持って行こうとしたが、ジョディは、三人の分は持って
行かなくとも結構ですと止めた。

有「随分とものものしいですね」

皆、毒見までするのかと、一様に驚いている。

ジョ「これからお話しする内容が内容ですから。
   失礼なことも多々あるかと思いますが、
   お許し下さい」

真「どうやら、灰原哀の診断書のことだけではなさそうだね」

ジョ「そうね。真悟君は気付いてはいたでしょうけどね。
   先に、診断書の件は、阿笠博士に」

阿「ふむ、わしは、どうすりゃいいんじゃな?」

ジョ「明後日の午前中には、杯戸中央病院の心臓外科外来窓口で
   受け取れるように手配してあります。
   博士は、帝丹小学校の哀ちゃんの担任の先生に、朝、連絡を
   して頂いて、コナン君と哀ちゃんの体調が悪くて欠席する旨
   を伝えて下さい。
   午前中に診断書を受け取ったら、昼過ぎに、哀ちゃんの体の
   件で、どうしてもお話ししたいことがあるので、学校に伺い
   たいと申し出て頂けますか?」

阿「わかりました。で、昼過ぎに先生にする話しというのは?」

ジョ「病院で診断書を受け取ったら、それを持って学校に行き、
   担任の先生には、こう伝えて欲しいんです」

その内容とは、次のようなものだった。

コナン君が、昨日、哀ちゃんから「病院に連れて行って欲しい」と
連絡を受け、博士の家で苦しんでいる哀ちゃんを発見した。
あいにく、博士は学会参加のために京都に行っているし、毛利さん
のところも仕事で誰も居なかった。
コナン君は、このままにしてはおけないと、タクシーを拾って、自分
だけで哀ちゃんを杯戸中央病院に連れて行った。

病院での診断は急性肺炎。懸命な治療で、肺炎の症状は軽減した
ものの、心音に異常があり、そのまま入院して精密検査を受ける
ことになった。

翌々日。明日ですね。
精密検査の結果が出て、右心房の弁に重い障害が見つかった。
それが、風邪をこじらせ、肺炎を併発したたことで急激に悪化した
らしい。予断をゆるさない状況で、このままでは数ヶ月しかもたない
かも知れない。
コナン君がずっと付き添っていたものの、哀ちゃんの保護者をすぐ
に呼んで欲しいと担当医から言われた。
困ったコナン君は、学会に参加していた博士に連絡をして、担当医
の要請を伝えた。
博士が慌てて、その日の夕方に病院に掛け付けて担当医から話しを
聞くと、早期の移植手術を勧められた。
しかし、日本ではドナーを待っていても埒が明かないし、哀ちゃん
の体は、提供者を待っている余裕がない。
そこで、担当医からは、アメリカの大きな病院に紹介状を書くから、
すぐに渡米の準備をして欲しいと言われた。
とは言っても、渡米や移植手術には、莫大な費用がかかる。
不憫な哀ちゃんを何とか救いたいと、とにかく、渡米費用は博士が
工面することにして、知人を介して渡米の準備を開始したところ、
手術費用を提供するという人物が現れた。
日本政府にも顔の利く人物で、人命救助という大義名分で、超法規
的に、すぐに渡米許可の手続きもしてくれた。

明後日。学校に行って貰う日ですが、午前中には、全ての準備が
その人物の助力で整って、急遽、その日の夕方に日本を飛び立つ
ことになった。
身寄りのない哀ちゃんは、心細くて仕方がない。
そこで、コナン君は、そのまま哀ちゃんに付き添って行くことに
なった。

ジョ「ということで、どうですか?」

阿「ふーむ。それは構わんけど、毛利君と蘭君には、コナン君の
  ことを、どう伝えるかじゃのう。
  まさか、そのまま何も言わずにとは、いかんじゃろ。
  どこかのタイミングで、今病院にいると連絡すりゃ、蘭君の
  ことじゃから、すっとんで行くじゃろうし・・・」

有「あなたたちは、今、どうしていることになってるの?」

真「明日の夜までは、二人とも博士と一緒にいると、メモを入れて
  は来たけど、確かにどうするか・・・」
  
有「それは、いつ?」

真「昨日の夕方、6時前。
  そういや、蘭たちが今日帰ってくれば、メモを見て、コナンに
  確認のメールを入れるんじゃねえか?」

言った途端に、コナン用の携帯から、メールの着信音が入った。
確認すると、懸念した通り、蘭からだった。

真「うわっ、言った通りだ。蘭からだぜ。
  返信しねえと、電話を寄越すぞ・・・」

思いついたように、真悟は蘭に電話をした。
今は、コナンの声に変声機を使わなければいけない。

真(コ)「あっ、蘭姉ちゃん?
     ・・・・・・
     うん。それで、あのね、灰原が・・・哀ちゃんがね、
     一緒にいたんだけど、熱出しちゃって、病院に連れて
     来たら、肺炎なんだって。
     ・・・・・・
     うん、そうなんだけど、博士もずっとついていられ
     ないから、僕が一緒にいてやったんだけど、
     治って戻れるまでには、あと3日くらいはかかりそう
     だって。
     博士も困っちゃって、哀ちゃんも一人じゃ怖いって
     言うし、明後日までには帰れそうにないから、僕に
     ついててやって欲しいって。
     ・・・・・・
     そう。で、明後日は、二人とも欠席させるからって、
     博士が学校に電話してくれるって。
     ・・・・・・
     そうだけど、大丈夫だから。
     病院の中では携帯使えないから、蘭姉ちゃんが帰って
     来て連絡をくれるまで外で待ってたんだ。
     そろそろ病室に戻ってやらないと、哀ちゃんが淋しがる
     んで、病院の中に入るね。
     携帯の電源切っちゃうけど、心配しないで」

一方的に話し、一方的に切った。

真(コ)「メモには博士んとこに行くって書いといたから、京都の
     病院だと思い込んでんじゃねえか。
     どこの病院だとは言ってねえから、博士も何とかあとで、
     言い訳できるだろ?」

有「それはいいけど、何でまだコナン君の声なの?」

真「おっと。忘れてた」

阿「新一君は、蘭君と話すときは、冷静な様でも動揺が隠せんな」

有子と阿笠博士は笑っていたが、美薗の思いは複雑だった。

有「そうね、ジョディさんが示してくれた案に沿って、何とか
  ごまかすしかなさそうね・・・
  皆を騙すのは気が引けるけど、仕方ないわね」

ジョ「それじゃ、ご了解頂けましたね」

有「はい。ご配慮ありがとうございます」

ジョ「それでは、その線で準備を進めます。それと・・・
   哀ちゃんとコナン君が、渡米のために病院を出るときの
   様子は、テレビのニュース番組で公開させて頂きます」

全員「えっ!?」

ジョ「必要があれば、安笠博士には、インタビューに応えて
   頂くことになるかも知れません」

工藤家と志保の了承が得られれば、即実行に移す手筈が整えられて
いるという放送映像の内容は、次のようなものだった。

病床の哀がストレッチャーで運ばれ、その脇をコナンが励まし
ながら歩いて患者搬送用エレベーターに乗り、病院の屋上に出て、
ヘリポートから救急ヘリコプターに乗せられる様子を、FBIが撮影
するカメラに収めるという。
代役の子は、既に手配をしてあり、周りを固める医師や看護士
も全てFBIの捜査官や、CIAと連携して日本で活動するアメリカ
の諜報機関の人間である。
そこに映し出される人達は、基本的に首から下のみの映像。
少しだけ覘く哀の顔は、人工呼吸器を装着され、頭には頭巾が
被せられている。
代役のストレッチャーに乗っている子は、実際に心臓移植手術を
受けるために、これまで数カ月間、ドナーを待っている子だった。
手術費用を肩代わりする条件で、今回の代役を引き受けて貰った。

ニュースアナウンサーが読み上げる原稿は、
『東京都の帝丹小学校一年生、灰原哀さんは、アメリカで心臓移植
 手術を受けるため、本日の午後2時30分に杯戸中央病院を出て
 成田空港に向かい、午後4時のアメリカン航空〇〇〇便で、サン
 フランシスコに旅立ちました。
 アメリカで移植心臓の提供者を待って手術を受ける灰原さんには、
 身寄りがないため、本人の希望で、同級生のA君と医師一人が、
 付き添いとして同行しています。
 この移植手術と渡航にかかる費用は、日本在住の資産家が負担を
 申し出てくれたといういうことです。

 それでは、灰原さんが病院を出るときの映像をご覧下さい。
 解説は、東京循環器病院院長・与井伸蔵医師です』

有「へぇー・・・」。 阿「ほう・・・」。 真「・・・」
美「でも、なぜ、そこまでする必要が・・・」

ジョ「宮野志保は、黒の組織にとっては最重要の標的。
   その宮野志保は、何らかの方法で灰原哀になってしまった
   のではないかということを、ごく一部だけれど、疑っている
   構成員がいる。
   だから、その構成員は、ずっと灰原哀の動向を探り続けて
   いるのよ。
   哀ちゃんがいつの間にか視界から消えれば、間違いなく組織
   は、どこに潜伏したかを探り始める。
   その眼をアメリカに向けさせ、国内で哀ちゃんを追う動きを
   封じる。
   そして、真悟君と美薗ちゃんの存在に関心を向けさせないよう
   にする。そのためよ」

真「・・・だけど、なぜそれほど大掛かりな仕掛けをしてまで、
  FBIやアメリカの諜報機関は、俺たちを守ろうとするんだ?」

ジョ「黒の組織がね、単なる組織防衛のための犯罪のみではなく、
   世界のテロ集団の支援組織に変質して来ている疑いが強く
   なって来たの。
   今、世界で起きているテロ犯罪の3分の1ほどの事件に関与
   している疑いが浮上してきたのよ」

真「テロ支援組織?」

ジョ「そう。武器密輸や、テロ集団との麻薬取引での資金調達。
   各国の軍事機密のハッキングと情報提供、サイバー攻撃に
   よる情報撹乱などね。
   黒の組織の構成員が、テロの実行犯になっているという
   事実は、今のところ確認できていないけど」

真「そこまで手を広げて、巨大化してきてんのか?
  目的はなんだ?」

ジョ「合法的な資金調達より効率がいいから・・・じゃないかしら。
   それで、アメリカ連邦政府としても実態解明に本腰を入れ
   ざるを得なくなってきた。
   そして、日本において、組織と深いかかわりを持つあなた
   たち二人は、組織壊滅への重要なカードに成り得るとみて、
   二人を保護する替わりに、組織の中枢に迫るための協力を
   お願いしたい。これが本音よ。
   今日、真悟君から連絡を貰った時点で、灰原哀と江戸川
   コナンの存在は、日本の公安当局に情報を提供させて貰っ
   たわ。今後の作戦に必要不可欠だったから。
   実際には既に二人は存在しないわけだし、構わないだろう
   と判断したんだけどね」

真「ってことは、灰原哀と江戸川コナンは、国際テロ集団の標的
  にもなるってことじゃねえのか?」

ジョ「そう。特に、哀ちゃんはね。
   だから、アメリカ本土に連中の眼を引き付けて、動向を探り、
   実行犯を泳がせながら情報を手繰って、黒幕を炙り出す。
   もちろん、代役の子は、アメリカ連邦政府の諜報機関、
   軍事機関が連携して、総力を上げて安全を確保する」

真「おいおい、とんでもねえことになって来たな。
  益々、今の俺たちが、灰原とコナンだと覚られちゃまずいっ
  てことか・・・」

ジョ「だから、あなたたちには、表舞台から姿を消して貰う。
   そこで、2つ目の提案。
   今のあなたたちに、どうして欲しいか」

美「どうなっちゃうんですか?」

ジョ「お母さん。有希子さんは、どうしょうとしておられましたか?」

有「主人に、10年前くらい前に行方不明になって、生きていれば
  今の二人と同じくらいの歳になる子を探してくれるように依頼
  してあります。
  成り済ましですね」

ジョ「ご主人は、世界的推理作家の工藤優作さんですよね。
   私たちもよく存じ上げています。
   ご主人から、FBIにも打診がありました。
   次の作品構想のネタ作りにという名目で」

有「そうでしょうね。
  もう、世界中、あちらこちらに探りを入れている筈ですから」

ジョ「申し訳ないですが、それもこちらに引き継がさせて頂けない
   でしょうか。
   ご主人の依頼を受けて別の班が、既に当たりを付けています。
   結構、同じような依頼は多いんですよ。表に出ないだけで。
   通常は、成りすましたい人物と、行方不明者のプロファイルを
   提供したい親族とが、金銭で取引します。
   今回、私たちに任せて頂けるのなら、その費用は、FBIの機密
   費で賄います」

有「そういうことなら、折角、主人も頑張ってくれていることです
  ので、引き継いで頂くというよりは、FBIが主人に、全面協力を
  するという形にして頂けないかしら。
  費用は、工藤家で用意します。勿論、美薗ちゃんの分も含めて。
  主人にとっては、息子の力になれることは嬉しい事ですし、美薗
  ちゃんは、私たちの娘も同然です。
  二人のために、私たち夫婦ができることはしてあげたいという
  のは、工藤家を家族が結束して守っていくことでもあるんです。
  私たちは、二人を守って上げなければいけないんです」

美「お母さん・・・」
美薗は、胸が詰まったが、今ここで泣いている場合ではない。

ジョ「そうですか・・・。資金提供を申し出て断られたのは初めてです」
ジョディは、笑みを浮かべた。

ジョ「分かりました。それでは、情報をご主人の優作さんに提供させ
   て頂きます。
   その後の事は、FBIの担当者とご主人が相談しながら進める
   ことにし、私たちの作戦に誘導します。
   それなら、乗って頂けますか?」

有「作戦と言うのは? 二人はどうすれば宜しいのかしら?」

ジョ「二人が、実在の別の人物として生まれ変わったら、オースト
   ラリアに身を潜めて頂きます」

有「どういうことでしょう」

ジョ「オーストラリアは、政治的にも軍事的にも、米英の強力な
   パートナーです。そして、国外からの入植者を積極的に受け
   入れています。
   そこに、米・英・豪の複数企業の資本が入った医療研究機関を
   設立します。主に、新薬開発や難病治療の先進医療機器の
   開発を行ないます。
   これは、実際にそういう研究活動を行うことになっていて、
   成果は国際社会の医療分野に還元されます。
   美薗ちゃんは、遺伝子解析と新薬への応用を担当する部門の
   スタッフとして採用させて頂きます。
   但し、ハイスクールに特進生として通学しながらです。
   美薗ちゃんが成り代わる相手の年齢は、13歳です。
   美薗ちゃんは少し大人びていますし、日系人は欧米人よりも
   若く見られる傾向がありますから、十分に通用するでしょう。
   そして、中学生以上の年齢なら、ある分野に特化して優秀な
   能力を持った人物は、米・豪では、積極的に抜擢されていき
   ますから、研究員として働いていても、おかしくはありません。
   当然、報酬はお支払いします。
   所属する研究部門では、最初はこんな子供が本当にそんなに
   優秀な能力を持っているのかと、興味の対象にはなるでしょう。
   けれど、美薗ちゃんなら、立派に認めて貰えるだろうと、
   私たちは思っています」

有「いいお話しですね。でも、それだけかしら?」

ジョ「さすがですね・・・。
   お気づきの通り、それは、仮の姿です。
   FBIの協力者として、黒の組織に関わる人物の照会や、検挙・
   拘留したテロ犯罪者や犠牲者の使用薬物解析やDNA解析も
   して頂こうと思っています。
   連中は、私達が掌握していない薬物を使用したり、想定外の
   方法で別の人物に成りすましている可能性が高いですから。
   三足の草鞋を履くような状況ですので、結構大変かも知れま
   せんが、それをこなせるだけのスキルを美薗ちゃん・・・いや、
   マスター宮野は持っているわよね?」

マスター(修士号)は、日本では殆どその価値を認められていない
が、アメリカでは非常に評価の高いライセンスである。

美「・・・」

有「なるほど・・・志保ちゃんは、薬学や生体分子学、遺伝子学の
  エキスパートだったわよね。
  どう? 美薗ちゃん。
  受け入れる事は、できそうかしら?」

美「はい。期待に応えられるように頑張ります。
  あの・・・私、やっぱりそんなに老けてますか?」

有「アハハ、大人びて見えるというのは、落ち着いているという事で、
  老けてるのとは違うわよ。
  大丈夫。とてもチャーミングな女の子なんだから、自信を持って。
  それじゃ、ジョディさんのお話はお受けしていいわね?」

美「はい。でも・・・真悟君とは・・・」

ジョ「真悟君には、その研究所のセキュリティの上級アドバイザーと
   して働いて貰います。
   あなたの年齢は15歳。
   美薗ちゃんと同じハイスクールに通いながらの仕事です。
   セキュリティを担当すると言うことは、間接的に美薗ちゃんを
   守る仕事でもあるということです。
   そして、本来の任務は、黒の組織やテロ集団から発信された
   情報の解析と、彼らがどう動くかのシミュレーション。
   今回の作戦は、情報戦の様相を呈して来ているので、あなたの
   任務は、極めて重要な役割を担っています。
   あなたの推理力が試される仕事であると言ってもいいでしょう。
   本来なら、1年でかたをつけたいところだけど、作戦は国境を
   越えた国際犯罪への対応として、極めて慎重に実行されて
   行くので、2年から3年の長期戦を覚悟して下さい。
   日本政府にも、日本を戦場にしないという条件で、アメリカを
   始めとする各国の捜査員、諜報員の自由な活動を見逃して
   もらいます。
   だから、これだけ大量の作戦要員を、日本国内で動かすことが
   出来ているの。
   最終的には、アメリカ軍が軍事行動を起こして結着をつける
   ことになるでしょうね」

有「真悟は、それでいい?」

真「ああ。・・・おもしれえじゃねえか。
  不満は、現場に出れねえことだけ・・・だな」

有「現場に出れば、どうしても独りで仕切りたがるし、
  目立ちたがらざるを得ないんだから、ちょうどいいわね」

美「確かに」

真「るせ! 母さんに言われたくねえし」

ジョ「それでは、すぐに手配に取りかかりましょう。
   ちなみに、美薗ちゃんが、今回の作戦が成功して終結した後、
   つまり、黒の組織が壊滅した後に、そのまま、その表向きの
   仕事を続けたいと希望するのなら、続けることも可能です」

ジョデイは、リビングに控えていた男に指示を出し、すぐに動き出す
ように手配をさせた。

ジョ「二人がすり替わる相手の親族との契約、アメリカの身分紹介
   システムへの登録、身分証の発行、海外渡航のビザやパス
   ポート申請や発行などに、1週間から10日はかかります。
   その間は、この日本で潜伏して頂くことになります。
   明朝から、二人にはFBIのガードがつきます。
   と言っても、あなたたちの行動への干渉はしませんし、制約も
   ありません。遠くから見守っているだけですので、無視して
   頂いて結構です。
   真悟君は、顔見知りに会えば、中学生の頃の新一君だと不思議
   がる人もいるわよね?」

真「人間の体が年齢を遡るわけはないんで、他人の空似だと思って
  はくれるだろうけど、知ってる奴に会えば、興味を持った目では
  見られるよな」

ジョ「美薗ちゃんは? 今のの年齢の頃のあなたを知っている人は、
   この日本にはいるのかな?」

美「組織の古くからのメンバーなら・・・。
  ほんの一握りですけど、可能性はあります。
  実際に、ピスコの事件がありましたから、私が知らなくても
  相手が覚えているというか・・・」
(http://www.ytv.co.jp/conan/black/file5.html)

ジョ「そうね。でも、二人とも、帽子やサングラスでカバーできそう
   な範囲かな?」

真「そうだな」。 美「そうですね」

ジョ「それじゃ、一応は気を付けてね。
   それと、事故を起こしたり、事件に巻き込まれたりしない。
   大きな病気にもかからないように。
   そういえば、博士にも御協力をお願いしたのですが?」

阿「わしが? 別に、わしにできることはないと思うがの?」

ジョ「コナン君が関わった事件は、私たちも詳細に分析させて頂いて
   います。
   それらの事件で、コナン君が事件を追って行動する時、犯人を
   追跡したり、身を守ったり。
   その時に、博士が提供した探偵グッズは、見た目は玩具のよう
   でいて、大いに役に立ち、機能していますよね。
   すぐにバッテリーが切れてしまうのが欠点・・・いや、失礼しま
   した。
   それを見込んで、私たちが使用するツールやグッズを作って
   頂けないかと」

阿「わしゃ、人殺しの道具は作らんぞ!」

真「マリオに必要なのは、身近なアイテムだけだってか?」

美薗がクスクス笑っている。

ジョ「いえいえ。あくまでも護身用、追跡用のツールです。
   兵器や武器に限れば、アメリカメーカーの方が遥かにノウハウ
   がありますから。
   報酬は、月1万ドル。
   これは、発注があってもなくても毎月お支払いします。
   あとは出来高払いですね。発注と納品の都度、交渉させて頂き
   ます」

真「ハハ、いい話じゃねえか。
  博士の作ったガラクタをこれほど評価して貰えるなんて、発明家
  冥利に尽きるってもんだ。
  ま、でも・・・博士のつくってくれたツールには、本当に助けられ
  たよ。ありがとう」

阿「新一君に褒められたのは初めてじゃな・・・ワハハハ。
  まあ、そんなもんで役に立つんなら、構わんよ」

ジョ「それでは、後日、契約に伺います」

ジョ「最後に、工藤新一君をどうするか。
   真悟君は、黒の組織を潰せれば、最終的には本来の新一君に
   戻りたいの?
   それとも、他の人間に成り済ましたまま生きて行く?」

真「もう、そん時になって戻ってみてもしょうがねえよな・・・。
  このままでも、3年後には、ほぼ元の自分に追いつくわけだし。
  俺は、あくまでも工藤新一でしかないんだけど・・・でも、・・・
  他の人間になっといて、数年たったらまた自分に、それも歳を
  とらずに復活したんじゃ、ややこしいだろ?
  このまま行くしかねえんだろな」

ジョ「それじゃあ、それもお父様の優作さんにFBIから情報を入れて、
  『事故か事件に巻き込まれて命を落とした』とする処理を一緒に
   して貰うということでいいわね?
   有希子さんは、それで宜しいですか?」

有「宜しくお願いします。
  二人のことは勿論ですけれど、哀ちゃんの身代わりになって
  くれるという、その女の子も」

再度、博士の明日、明後日の行動を確認して、散会した。
博士は、明日の午後、東京に戻る前に、一度この旅館に寄って、
コナンと灰原から、 帝丹小学校1年B組担任の小林先生や、元太、
光彦、歩美たち、それに、毛利小五郎と蘭へのメッセージカードを
受取り、それぞれに届けることにした。

時間は日付をまたごうとしていた。

有「ほらほら、あなたたちはお風呂に入って、さっさと寝なさい。
  私は着替えて、お化粧を落としたら、ワインを頂くから。
  もう遅いから、大浴場じゃなくて、内風呂に二人一緒に入っちゃ
  いなさいね」

真「バ、バーロー!///」。 美「エーッ!///」

有「昨日抱き合ってた二人が、なに恥ずかしがってるの?
  ほら、早く!」

二人は、なぜか妙に恥ずかしがりながら、一緒に浴室に入って行った。
新一の母親の前で、普通ならあり得ないシチュエーションだから、
当然と言えば、当然か。

美薗が、入る前に浴槽の湯を出しておいたので、浴室に入った時は、
じゅうぶんに湯が溜まっていた。
二人は、それぞれに股をさっと流して、湯船に浸かった。
広い浴槽なので、真悟が足を延ばして、その上に美薗を乗せても、
ゆったりと首まで湯に浸かることが出来た。
真悟の両腕は、美薗の腹に回されていた。

真「ジョディに灰原の診断書を依頼したのは、正解だったな。
  灰原とコナンの扱いだけじゃなくて、全てが、母さんと打ち合わ
  せた筋書きに、ほぼ沿った形で進みそうだ」

美「ジョディさんの素早い手配にも驚いたけど、その提案が、お母
  さんのものとほぼ違わなかったというのは、それだけ、お母さん
  の書いたシナリオが完成されたものだったということでしょ?
  やっぱり凄いね」

真「まあ・・・母さんのシナリオとジョディの提案があれだけ一致した
  というのは、母さんから依頼をう受けた父さんの動きがFBIに察知
  されていたからだろうな。
  父さんの動きと、ジョディからの報告とで、俺たちがどう動こう
  としてるのかを読んだFBIの担当官が、自分たちの思惑と一致する
  方向ですり合わせてみたら、ピッタリの実行計画が出来上がった。
  そんなとこだろう」

美「真悟のお父さんて、世界的に有名な推理作家だとは、知っては
  いたけど、すごい顔が広いのね」

真「もともとの父さんの人脈に、母さんのハリウッドでのデビュー作
  となった映画の原作・脚本を手掛けたことで、より広がったん
  だろう。
  結婚してからは、暇さえあれば二人で世界中を渡り歩いてるし。
  FBIやCIAだけじゃなくて、ICPO(International Criminal Police
  Organization:国際刑事警察機構=インターポール)や各国の
  外交官、作家や映画界。更には、芸術・文化界、政財界まで顔が
  利くから。
  勿論、いい面もあるけど、どこに行っても身分をオープンにして
  プライベートを楽しめない不自由さもあるよな」

美「確かに、プライベートな時間を持てないって言うのは、辛いで
  しょうね。ストレスが溜まりそう。
  違う意味で、私たちもそうだけど・・・」

真「ハハ、俺なんかは凶悪なテロ支援組織や怪盗キッド、更に、
  ルパン?世なんていう大物キャラまで顔見知りだし、その中には
  『銭形のとっつぁん』なんていう超有名な警部もいるから、
  コナンとしての俺を含めりゃ、こっちの方が上かもよ」

美「・・・・・・」
 「それより、ジョディさんの提案は、私はすごく嬉しかったな」

真「・・・安心できる場を提供して貰えそうだからか?」

美「うん。お仕事を与えて貰って、ちゃんと報酬が頂けるって言う
  のが・・・何よりも嬉しい。
  これで、当分は自活出来るんだもの」

真「おめえの実力があれば、変な組織からさえ解放されれば、かなり
  の仕事に就けるさ。
  研究分野のキャリアウーマンとして、男勝りにやっていけるん
  じゃねえの?」

美「キャリアウーマンになりたいなんて思わないけど、これまでは、
  世間を憚る反社会的な仕事ばかり。
  灰原哀になってからは、社会のお荷物でしかなかったし」

真「社会のお荷物に、FBIがあんなに厚遇とも言うべき話しを持って
  きやしねえって。
  どんなに綿密な計画を組んだって、おめえにスキルがなきゃ
  実現できっこねえんだから」

美「普通のお仕事でいいのよ。
  自分が食べていければ、十分だし、そういう生活の中で、たまに
  は自分のご褒美に、誰に憚ることもなく好きなことを楽しめれば、
  それでいい・・・。
  そういう『普通の生活』が、どれだけ大事なことなのかって、
  つくづく思うの」

真「いいじゃねえか。
  宮野志保は、8年も遡って人生をやり直せるんだ。
  大人になって、中学生の時に戻ってとか、子供の時に戻ってとか、
  遣り直したいと思う人は、結構いるんじゃねえか?
  当然、みんな叶わぬ夢だよな。
  でも、奇跡的に美薗はそれが出来るんだ。
  自分の感情押さえて生きて来たこの8年分。取り戻せばいいじゃ
  ねえか。
  あと2年か3年は、自由な日常とは行かねえけど、それでも、
  その先5年以上も残る。
  普通の女の子に戻る機会を与えられたんだよ。
  その分、ポジティブに生きればいい」

美「そうだよね。生まれ変われるんだよね。
  得しちゃったね・・・」

真「体を洗うか」

真悟は、美薗の体を反転させ、向かい合った格好で抱っこして、
そのまま立ち上がり、浴槽から出た。
美薗は、足を開き、真悟の腰の上に絡ませて、腕を首にかけ、体の
前半分をぴったりと真悟の上半身にくっつけるような形になった。

美「裸でこの格好は、恥ずかしいって!///」

真悟は立ったまま、体を上下に揺すった。「ホレ・ホレ」
美薗の体、特に開いた股間が、真悟の腹に擦りつけられる。

美「ンッ・・ヤッ、ばか、変な気分になっちゃうからやめて!」

美薗は、足を解いて床に立った。

真「洗ってやるよ」

真悟は、美薗を座らせて丁寧に洗ってやった。
最後に股を素手に泡を付けて洗ってやっていると、泡ではない
ぬめりが感じられた。真悟の手を美薗が押さえた。
「そこまでで大丈夫。声が出ちゃうから。お母さんに聞こえちゃう」
シャワーで流した後、攻守交替。美薗が真悟を洗い始めた。
最後に、真悟の仮性包茎のチンチンを洗っていたら、当然、反応
する。
そのままザッとシャワーで流してから、真悟の前に廻ってしゃがみ
込んだ。

美「マアッ、かわいいおチンチンだったのに、こんなになっちゃって
  ・・・。どうして欲しいのかな? 言ってごらん?」

美薗は、いきり立ったペニスの先に向かって囁き、
「声、出さないでね」と、真悟の顔を見上げてから、咥えた。
真悟も、有子が気になるし、声を抑えなきゃならないしで、気持を
集中できず、なかなか、逝けない。
結構時間がかかったが、なんとか萎むこともなく、放出した。

美「はぁ・・・疲れた。逝けれて良かったね♪」

二人が長風呂から上がると、有子はワインボトル1本を1人で空け、
リビングのテーブル脇に、乱れた浴衣姿で仰向けに寝てしまって
いた。
口を開け、深い寝息を立てている。

真「あちゃ・・・これだよ。これが、工藤有希子の素の正体だぜ。
  このギャップが何とも・・・」

美「お母さんも疲れてるのよ。
  どうしよ・・・。二人でベッドに運ぶ?」

真「そんなに寒くはねえし、このまま寝かしといてやるか。
  枕と毛布、持ってきてくれるか」

美薗は、そっと枕を有子の頭に敷き、毛布を掛けた。
枕を頭の下に挿し入れた時、有子は声も出さずにニタっと笑った。

真「どんな夢見てるもんだか。
  父さんと一緒に、どっか行った時のことでも思い出してんだろな」

二人は音を立てないようにベッドルームに移動し、オレンジのナイト
ランプを点けて、ドアを閉めた。
ダブルベッドが二つに、シングルベッドが一つ追加されていた。
3人で泊ると告げたからだろう。

真悟が奥のダブルベッドに入ると、美薗も続いて潜り込んできた。

真「何で?」

美「だって・・・」

二人とも隣のリビングで有子が寝ているので、抱き合ったりはせず、
そのまま仰向けで目を瞑った。

真悟は、『服部にだけは話しておかないとな・・・』と考えていた。
(服部平次: http://conan.aga-search.com/501-4-12heiji.html)
友人では唯一、新一とコナンの正体を知る人物。
お互いの才能を認め合い、何でも腹を割って話し、相談し、信頼して
頼み事のできる親友。
これまで、蘭に正体を見破られそうになった時も、何度となく助けて
貰った。
明後日にニュースが報道されれば、彼だけはまともに信じようとは
しないだろう。毛利探偵事務所に駆け込み、小五郎や蘭を巻き込ん
で、あらゆる手を使って真相を探ろうとするに違いない。
黒の組織の陰謀ではないかと、疑うかも知れない。

「どんなに急な話だ言うたかて、俺や蘭ちゃんになんも告げんと、
 さっさと行ってまう様な水臭い奴やあらへん」と。

それに、あいつにだけは、真相を知っておいて欲しい。
今後のためにも。

真悟は、じっと目を瞑りながら、自分で明日からすべきことを
あれこれと考えて、なかなか寝付けなかった。
すると、隣で寝ている筈の美薗が、なにかモソモソと動き始めた。
暫くすると、「ンッ、クッ」と、くぐもった小さな声が聞こえて来る。
真悟は、そっと美薗のお尻の辺りを手で触れると、ピクっとして、
固まった。
どうやら、うつ伏せになっている。
寝巻を通して、お尻をさわさわと撫でてみると、パンツを履いている
感触がない。腿の当たりまで下げているようだ。
美薗は固まったままだった。

真「ごめん。日課だったよな。続けていいぞ」
小さく呟いた。

美「///」

気付かれてしまって、そう言われれば、やめるわけにもいかず・・・。
かと言って、有子が隣の部屋で寝ている中で、真悟にHをせがむ
わけにもいかない。
美薗は『もう、構わないや』と、枕を口に押しつけ、小さい可愛い声を
上げながら、独りで逝ってしまった。
ティッシュで手と股間を拭うと、そのまま既に眠りに入っていた真悟
に抱きついて、美里も眠った。

出典:?
リンク:original

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