メル友　１

彼女とは２年もの間メル友として交流があった。
住む地域は大して離れはおらず、
会おうと思えば車で１時間位走れば会えたのだが、
敢えて顔もお互い知ろうとしないまま、
声すら聞こうとしないまま、
純粋なメル友としての関係を続けてきた。
そんな均衡を破ったのは彼女のメールでの一言。

“今年のクリスマス会いませんか？”

正直驚いた。
クリスマスはその前の年にも１度あった訳だが、
その時は会おうのあの字も書いて来なかったのだから。
２年もメル友としての関係が続いていれば、
ある程度お互いの事はわかる気がしていたが、
顔も知らない、声も知らない、
ましてや女と言う事だって確実ではないのだから、
何と返事して良いかわからずに戸惑ったが、
彼女もいなかったし、メル友としての関係が崩れるのも嫌だった為、

“ＯＫです。どこで会いましょうか？”

と言う返事を出してみた。
彼女は返事を待っていたらしく、
すぐさま

“○○駅前の○○でどうでしょうか？”

と言う内容のメールが届いた。
何と顔写真が添付されていた。
勿論私も自分の顔画像を添付し送り返した。

それから話はトントン拍子に進み、
クリスマスのロマンティックな雰囲気の街で
２人は初めて顔を合わせたのである。