男友達が死んだ話

2011/11/19 17:26 登録: えっちな名無しさん

友達とは高校に入学して出会った
仮に名前を内田とします

内田
男 自称根暗


女 根暗


全く楽しくない退屈な中学生活を送っていた私は
高校も適当に過ごして適当に卒業できればいいと思ってた

友達作りに必死になってる周りの子とか見て
ほんと馬鹿らしいと思っちゃうくらい私は人間関係に冷めてた


そんなある日
ギターを持ってきたクラスメイトがいた
これが内田だった

内田もほとんど友達作らずにクラスでぼーっとしてるタイプで
ギターなんてシャレたことやるんかいってクラスメイトみんな驚いてた


放課後、内田が音楽室行くのをたまたま目撃した
自分から声かけるのも苦手だし
内田がどんな人なのかも全然わからんからすごい迷ったけど
ギターにちょっと興味があった私は音楽室に入ることにした

私が音楽室に入ると内田は驚きながらなんか気まずい感じになってしまった

私「あの、ギター弾けるの?」
内田「ああ、うん、うまくないけど…」

最初の会話は今でもはっきり覚えてる


私「ギター興味あるんだけど、ちょっと見ててもいいかな」
内田「ああ、下手くそだけど」
私「ありがとう」

内田も私も何回も瞬きしてたからお互い緊張してたと思う

内田は色々弾いてた
私はよくわかんなかったけどちょっと離れたとこから静かに聞いてた




その日は最終下校時間になるまで音楽室に居た
お互い黙ったまま駅まで一緒に帰った

駅で電車待ってる間にアドレス交換した
内田は高校入って初めて交換したって言ってた

私が乗る電車が来たからその日はばいばいした



今になって思えば私にとっても内田が
初めての友達だったのかもしれん
一応女だしクラスの子は話しかけにきてくれたりするんだけど
きっと表面上なだけな気がしてた


私は次の日から兄の使ってないギターを持っていった
全く弾けないから放課後になると内田にギターを教えてもらうようになった



夏休みになっても音楽室以外に練習できる場所がないから
わざわざ音楽室まで来てくれて一緒に弾いた

夏休みごろには私もちょっとうまくなった


夏休み最終日に内田からメールが来た
内田「宿題終わりそうにないヘルプミー」
私「ギターのお礼に手伝ってやる。〜公園に来たまえ」

公園に行くと内田はもういた
暑い中ダラダラ汗かきながら二人で宿題やったりガリガリ君食べたり


無事に宿題も終わったので帰ろっかってなって帰った

新学期になっても相変わらず音楽室でじゃがじゃがギター弾いて遊んだ

あまりに仲良い私と内田を見て
クラスに付き合ってるんじゃないかってゆう噂も流れたが、
いかんせん死んだ魚の目をした私たちの噂なんか一瞬にして消えた

内田とは本当に仲良しだったが恋愛感情とかはなくてただ純粋に友達だった


新学期になると文化祭があった
そこで先輩たちがバンドをやってるのを見て
文化祭でバンド発表できるとゆうシステムを初めて知った

内田「来年俺らもやろうよ」
私「うん、やりたい」
内田「でも俺他に友達いねえよ」
私「私もいないんだけど」
内田、私「……」

バンドをやりたいけど友達がいない
困った困ったと言いながらその後も音楽室で練習を続けた

ある日、奇跡が起きた
バンド発表してた先輩たちが音楽室に来て
一緒にバンドやらないかと言ってきた

先輩たちのギター担当とボーカル担当がバンドやめたらしく
私と内田が音楽室で毎日ギター練習してるって話を聞いて訪ねてきたらしい

ギターは内田がやるなら、私はボーカル
ぶっちゃけ歌うことに自信はなかったから迷った
後日返事しますと言ってその日は家に帰った


内田と相談してバンドに入れてもらうことにした
先輩はイケメンで友達も多くてリア充
そんな人とうまくやってけるかなって不安だったけど優しかった

放課後は先輩たちと残って練習した

文化祭でやる曲は
ELLEGARDENのThe Autumn Song
チャットモンチーのシャングリラ
BUMPの天体観測
andropのMIirror Dance
に決まった


英語歌詞なんか歌えねえよ…って思ってたんだけど
先輩がELLE好きだったから頑張って練習した

そんなかんじで一年が経ち私と内田は二年生に、
先輩は三年間になった

夏休みもほとんど音楽室で練習した
たまに公園で練習して近所の子供とかが
聞きにきてくれて拍手とかしてくれたのがすごい嬉しかった



その年の夏休みは内田もまじめに宿題を終わらせてた
小学校でよくある星の観察みたいな自由課題があって、
私と内田は二人で好きなバンドの研究とか全くふざけたレポートを提出した
他のやつらはありきたりなことしか提出しなかったらしく
先生に奇抜なセンスだとか言われて廊下に掲示されたのにはワラタ



新学期になって文化祭の前日
内田にメールで呼び出されて内田の家に行った
内田のお母さんがカレー作りすぎたらしく友達呼んだら?と言われて私を呼んだらしい

内田が女の子を連れてきたことに内田のお母さんは心底驚いてた

私は、おいおい告白フラグかよ…とちょっとだけ期待したのはここだけの話


帰りは内田が駅まで送ってくれた
駅で内田が明日頑張ろうなって言いながら
拳を突き出してきたときはまじで青春だなーと思った
私も拳突き出してコツンってやって頑張ろうって言った


文化祭当日

先輩がイケメンでリア充で友達も多いから
観客いっぱいすぎて完全にビビる私と内田

バンドの宣伝ビラに私と内田の名前があるのを
クラスメイトが見つけてクラスメイトのほとんどが見にきてくれてた

前のバンドが終わって遂に私たちの番


流れ的には、一曲目の前奏が始まってから
幕があがる→一曲目歌う→軽くMC→二曲目→三曲目→MC→四曲目ってかんじ

一曲目の前奏が始まった瞬間、幕の向こうでキャーキャー聞こえて心臓止まるかと思った

英語歌詞も無事歌えてMC
MCとか何話せばいいんだよ、って思いながらメンバー紹介とかまあ色々適当に

そっから二曲目三曲目と歌ってまたMC
もう話題ない
隣にいた内田と目が合った
口パクで「好きなバンド!」って言ってて夏休みの課題で提出したレポートを思い出した
私「えっと、廊下に私と内田のバンドレポート貼ってあるんで、
良かったら見てくださいねーははは…」

ぐだぐだすぎて内田苦笑い


個人的にシャングリラが女の子たちの共感を得たのが知らんが
女の子が楽しそうに聞いてくれてて嬉しかった

最後のMirror Danceはギターちょっと弾きながら歌ったから楽しかったし興奮した

Mirror Danceは内田も好きな歌だったんだ
みんなも聞いてみてくれ


バンドメンバーは私以外みんな男
文化祭終わったあとに隠れビッチかよって噂が流れたけど、
死んだ魚の目の私がビッチなわけなかろう


演奏後に観客はステージに向かってキャンディ投げて
数がいちばん多かったバンドは閉会式でもう一回歌える権利が与えられるんだけど、
まさかの一番キャンディが多いバンドになってしまった
(先輩がリア充だったからかもしれんが)


ステージ裏で先輩が今までで一番うまく歌えてたって言ってハグされた

内田「ちょ、先輩、(笑)」
先輩「お?お前○○(私の名前)のこと好きなのか?」
内田「ちがいますよー、俺にもハグしてくださいよー」
先輩「ホモかよお前!よーし、かもん!」

内田と一緒に先輩の胸に抱かれた
汗臭かった


閉会式ではアジカンのリライトやった
先生が歌うってゆう習慣があるので私は内田のとなりでギターやった

やっぱり、消してええええええで盛り上がるね


無事に文化祭は終了

前置き長くなってごめんね
内田との思い出ってほとんどバンドしかないんだ

文化祭も終わって先輩は受験モードに突入
私と内田はバンドやったあと何人かからアドレス教えてとか
友達になってとか告白されたりもした

だけど二人とも人間関係が煩わしく、メールも最初だけ適当に返して
特に前と変化はなかった
相変わらず二人でギターやったり


冬になった
内田も私も寒いのが好きだったので最終下校時間まで
音楽室とか教室でダラダラしながら時間をつぶして、
ものすごく寒い時間帯に帰る、とゆうことをしていた

そんなある日

内田はぽつりと死にたいって言った


内田も基本的に死んだ魚の目
私も死んだ魚の目だからよく死にたいなーって考えるけど考えるだけ

内田も私みたいなかんじなのかなって思った

私「なんで死にたいの?」
内田「んー、わかんない」
私「今死にたい?」
内田「たぶん」
私「今死んだら私困るな」
内田「犯人としてまず疑われちゃうもんね」
私「はは、そうだね」
内田「死が迫るって、わかる?」
私「何となくわかる。
死にたいって思ってなくても知らないうちに無意識に死んでそうなかんじ」

それ以上内田は喋ってこなかった


駅について電車待ってる最中、
いつも内田は十分以上電車が来ないときは私にコーンポタージュ買ってくれた
だから今日は私が買ってあげようと思って
コーンポタージュを自販機で買って手渡した

ふたりで飲みながらまた内田が話出した

内田「楽しかったよね」
私「ん、楽しかった。こんな楽しい高校生活送れないと思ってた」
内田「俺も」
私「内田の友達になれてよかったよ」
内田「俺もお前と友達で良かったわ」
私「だから死ぬなよ、死んだらコーンポタージュぶっかけてやる、
  そんでギターぶっこわしてやる」
内田「それは困った、生きるよもうちょい」
私「内田サイコー」

そこでちょうど電車が来て別れた
電車の中で内田からメールで、ありがとうって言われた


内田は今までと変わらず学校にも来てたから安心した

冬休みに入って私は郵便局で年賀状の仕分けのバイトを始めた
人と話さなくて楽だからね

付き合ってる人もいない私は冬休み毎日、クリスマスも年末年始もバイト

クリスマスの日、バイトが終わって休憩場で携帯を見ると内田からメールが来ていた

曲作ったから聞いて欲しい
今日来て

私はそのまま内田の家に行った


内田の家に着くと内田のお母さんが手巻き寿司とケーキをご馳走してくれた

手巻き寿司といえば私の大好きなメニューである
納豆をいっぱい入れてたくさん食べた
内田のお母さんはずっとニコニコしてた

食べ終わって内田の部屋に行って、内田は歌ってくれた

一曲目はこんな世界バカヤロー!みたいなかんじで、二曲目はラブソングだった

正直ラブソングはすごいよかった


私「一曲目はサンボマスターみたいだね」
内田「あー、そんなかんじ。」
私「ラブソングもすごいよかったよ」
内田「さすが俺」
私「私に向けてのラブソング?」
内田「んなわけあるかい」
私「も〜、チューしたろか」
内田「ちょ、納豆くさい」
私「ひ、ひどい!」

こんなかんじで楽しかった


夜も遅くなったので駅まで内田は送ってくれた

内田「気をつけて」
私「いざとなったら納豆キッスがあるから大丈夫だ」
内田「ふはっ、」

この時の内田の笑った顔は今でも忘れられない



私はまたバイトに明け暮れる日々
私のばあちゃんの家でもちつきをやって餅が大量にあったので大晦日の夜、
バイト終わりにいつも夕飯ありがとうの意味も込めて内田の家に持って行った

内田のお母さんめっちゃ喜んでた

私と内田は内田の部屋で順番に歌詞を書いてくゲームしてた

気付くと私も内田も寝ちゃってて何時の間にか新年を迎えてた


内田「やらかしたな」
私「やらかしましたね」

超ーど田舎の為、終電なくなっちゃったのでその日は内田の家に居させてもらうことに

初詣しに神社行ったり、夜中に何かするってことがちょっとわくわくした


私は元旦もバイトだったので朝早い電車に乗って帰宅

内田のお母さんがおにぎり握ってくれてバイト先で食べた
具なしでちょっと笑った

そんなかんじで2日〜5日までバイト三昧

冬休みも終わり新学期が始まった
始業式に内田はこなかった


始業式はDQNとかほとんど休むので内田も面倒くさがって休んだのかなと思った

だけど三日連続で休んだのでメールしてみた

私「内田ーいきてるかい」
内田「そこそこ」
私「適当に学校おいでね」
内田「気が向いたら」

次の日も内田は休んだ


授業終わりに職員室に呼ばれた
先生から内田が死んだことを聞かされた


何がどうなってるのか理解できなかった
実感もなくて涙も出なかった

携帯にメールが来てた
内田からだった


内田からのメールは昼ごろ送られてきてた
内田が死ぬ前に送ったであろうメールを読んでようやく
内田の死が現実であることに気付かされた
涙が止まらなかった

先生は内田が死んだことを昼過ぎには知っていたらしく、
一番仲良くしていた私だけに教えてくれたらしい
クラスメイトには次の日知らされた


クラスメイトも内田の死を伝えられたときは泣いていた
私も泣きまくった
人の死は誰であろうと悲しいことなのだと痛感した

お通夜もクラスメイトで参加した

後日私は内田の家を訪れた
内田は薬の多服用で死んだことを内田のお母さんから聞かされた


しばらく私は何も考えずただ日々が過ぎて行くだけの生活を送っていた
内田がもういないこと、内田とギターを弾けないこと、悲しくて辛くて泣いてばかりいた

内田のお母さんから手紙が送られてきた
大きい封筒の中には真っ白い紙に私の名前とありがとう、の二つだけ書かれてた


文字は内田のきったない字だった



私は三年生になった
また文化祭の季節がやってきた

夏休みに内田を思いながら曲を作った


私は文化祭でその歌を歌った
絶対泣かないで歌ってやるって決めてたのに
内田のことを思い出すとやっぱり泣いてしまった

私の作った歌はもちろん下手くそだし誰も知らない歌だから会場はシーン、
その挙句泣いてぐしゃぐしゃの私に観客はドン引きだった


内田の死からその後はほとんど何もない
ただ生きてるだけってかんじ
内田がいなくて辛かった


内田の死からもう少しで一年になろうとしてます
私にとって内田は最初の友達だった
内田にとっても私がそんな存在だったらいいなって思うけど
内田は自分の過去の話あんまり教えてくれなかったからわかんない



内田からのメール

「お前と先輩とバンドやれて良かった」
「死にたいって言ってごめん」
「最後まで生きれなくてごめん」


内田からのメールみれないんだ




ただお前だけの私で在りたかった




出典:私の友達が死んだ話
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