約束とは風化するもの

2011/12/16 04:55 登録: えっちな名無しさん

中学のとき、俺には彼女がいた。比較的可愛かったし、趣味も合った。何より一緒に居て楽しかった。学力も同じくらいだったので、同じ高校へ行った。
初めてキスをしたのは中学の卒業式の打ち上げのとき。先生同伴のファミリーレストランで食べていたら男子トイレの個室に呼び出された。
「こーゆーのって、なんだかドキドキするよね」
そう言って、何度も唇を重ねた。子供のキスしか知らない俺に、彼女は舌を思い切り絡ませた。初めての感覚で、俺はまともに立つこともままならずだらしなくよだれを垂らしまくっていた。
「ど…どう?雑誌とかで見た感じにやってみたんだけど、気持ちよかった…?」
俺はひたすら首を縦に振った。
「エッチは…高校に行ってからしよ?」そう言って彼女は俺の頬に「子供のキス」をした。

高校に入って一ヶ月程経った頃、彼女の両親が旅行に行き家を開けるときが来た。俺は彼女の家に呼ばれ、セックスした。
「私達、ずっと一緒だよね」「幸せ…」そんな風に、互いの愛を確かめ合いながら。

しかし、彼女の父親の仕事の都合で、彼女は転校をすることになった。
初めて体を重ねた日にはもう知っていたらしい。
彼女は二つの約束事を俺に告げた。
「私高校卒業したらまたこっちに戻ってこっちの大学や専門学校に行く。そのときにまだ気持ちが変わらなかったら、また二人一緒になろう」
「三年後の4月1日の夜6時に高校の校門に来るから、そこで再会しよう」の二つ。
俺はそれを了承し、彼女と別れを告げた。
最初こそ毎日のようにメールやチャットをしていたが、4ヶ月も経つと10日に一回連絡するかくらいになっていった。

そして約束の日がやってきた。再会した彼女は、別れる前はシュミじゃないと来ていなかったワンピースを着ていたりしてとても大人っぽくなっていたが、昔の面影を残していた。
しかし、開口一番、「ごめんなさい」と告げられる。
向こうで恋をしていたのだと言う。体も許し、今、お腹の中に子供もいるとのこと。
俺は混乱し、その場に倒れ込んだ。起きあがらせようと差し伸べる彼女の手を、俺は強くはじき返してしまった。
その関係になったのは四ヶ月ほど前で、それまでは俺への気持ちが残っていたらしい。しかしメールやチャットでそれを伝えて消えるのは卑怯だと思い、俺の目の前に現れたのだとか。
最初は大人びた印象を与えたワンピースも、妊娠した為に着ているのだと思うと、強烈な吐き気に襲われた。彼女の近くに居たくなくて、俺は逃げ出した。彼女は追いかけなかった。

俺は彼女の事を忘れるために、勉強や趣味、バイト、サークル活動などに全力を注いだ。少しでも脳のキャパシティをそれらで埋め、彼女のことを頭に入れない為にだ。
しかし、バイトやサークルで女性と話しかける機会があっても、上手く関わることができなくなってしまった。
彼女から連絡はない。彼女のアドレスにメールを送ることはできるが、返信されてしまうのが怖い。もうアドレスを変えてしまっているのかもしれないが、怖くて確かめることができない。

出典:なし
リンク:なし

(・∀・): 107 | (・A・): 58

TOP