女「全部……そう全部、男くんが悪いんだよ?」

2012/01/12 19:50 登録: えっちな名無しさん

3 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:45:23.90 ID:EWvYjDKeO
女「男君ー、おはよっ」

男「……」

男「お……おはよ……う」

女「うん……」


リア充「うっす、女ー」

女「おはよっ、リア充くんっ」

男「あう……」

女「昨日のさ――」
リア充「あっはっはっ、まじかよ――」

男「……」

男(せっかく、毎日声かけてくれてるのに……僕は……)


7 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 17:46:34.96 ID:EWvYjDKeO
キーンコーンカーンコーン

男「…………はぁ」

男(ほんと1日1日が長く感じるよなぁ)

男(よし、STも終わったし)

男「帰るかな」

女「あっ、男くん、男くんっ」

男「はっ、はいっ!?」

女「えっとさ……今日さ……一緒に帰らない……? なーんて……あはははっ」

男「ふっ、えっ、へっ?」

リア充「そのギャグつっまんねっ、あはははっはっ」

女「リア充くんっ!?」

リア充「女、今日CD教えてくれるって言ったじゃねーかよう」

女「あっ、あはは……そうだったねー……」

男(なんだ……)


9 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 17:47:25.47 ID:EWvYjDKeO
女「えと、あ、えっと……」

くいっ
リア充「じゃあな」

男「えっ……あっ、うん……さよなら」

女「ちょっと、引っ張んないでよっ! バイバイっ、男くん」

リア充「んじゃ、行くベ行くベ」

男「…………」


てくてく
男「……」

男「……」

幼馴染姉「……」

男「……」

幼馴染姉「……」

男「……って――」

男「いつのまに付いてきてんのっ!?」


10 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:49:02.13 ID:EWvYjDKeO
幼姉「あうっ!? ないす突っ込みー、相変わらずやるわねー」

幼姉「君はまた一人で帰ってるのねー?」

男「わっ……悪いかよ……」

幼「ううん、別に、あはは」

幼「そのおかげで一緒に帰れるわけだし」ボソッ


男「先輩、ぶつぶつ言ってキモい」

幼「はうっ! 結構くるわねぇー……その言葉」

男「…………」

男「まぁ冗談だけど」ボソッ

幼「ふふふっ」


12 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:49:53.67 ID:EWvYjDKeO
幼「ていうかさー、その“先輩”って言うの辞めてくれない!?」

幼「なんか寂しいわ……」

男「ちょっ、先輩っ!? 先輩がそう呼べっつったんじゃんっ」

男「先輩、忘れたのっ!?」

幼「ほらぁー……またぁ……先輩て言ったー」


男「あーもう……――じゃあ何て呼べばいいの?」

幼「えーと、うーん……」

幼「ねっ……姉さん――とかっ?」

男「今更、おさちゃんを姉さんとか呼べないってば!」

幼「あっ……。 うふふっ、あはっ」

幼(おさちゃんって……うふふっ)


13 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:50:53.81 ID:EWvYjDKeO
幼「あっ」

男「別れみちです」

男「先輩はそっちでしょ、家。じゃあ、さよならっ」

幼「うん。ばいばい、おとくん」

男「おっ」

男(おとくん……って……)


17 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:52:05.53 ID:EWvYjDKeO
てくてく
男「ふぁあぁ」

男(眠い……)

男「今日は金曜日かー」

男(一週間……かなりキツかったけど……よしっ)

男(土日は休みだっ)

たったったっ
女「おはよっ、男くん」ニコッ


男「おあっ!?」

男「おっ、女……さん」

女「今日はなんだか、良い感じだねっ」

男「えっ、いや……その……」

男(まただ。どもってしまった……)

女「あっ、あの……あのね?」


18 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:53:02.30 ID:EWvYjDKeO
女「…………あ」

女「明日は何か用事あるかなっ?」

男「あっ……あしたは――あるよ」

女「えっ……?」

男(とっさに言っちゃった……。特に用事なんてなかったのに)


女「あははっ、そうだよねっ、あは……ごめんねっ」

女「さ先に学校行くねっ」
たったったっ

男(あ……もう行っちゃった……。もう言い直しできないな)

男「まあいっか」

女「……………………」ぐっ


19 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:53:48.93 ID:EWvYjDKeO
キーンコーンカーンコーン
ガラガラ
男「…………」

女「あはははっ」
「それでさ――」
リア充「んでんで?」
女「――――でしょっ? あははっ」

男(さっきの気になったけど、女さん別に変わった様子ないな)

男(いつもと一緒っぽい)

男(うーん……からかわれただけ……だったのかな?)

男(まあいっか。別に誤解とかないでも)


20 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:54:38.24 ID:EWvYjDKeO
キーンコーンカーンコーン
男「…………」

男(帰ろ)
ガタッ

ガラガラ
幼「ごめんっ、おとくn――男君はいる?」

女「えっ……」

女「だ、れ?」


男(えっ、ちょっ、おさちゃん!?)

幼「あっ、いたわねっ」

女「え……」

幼「ちょっと、来て」

くいっ
男「えっ、もう先輩、ひっぱんないでっ――」

女「……」


22 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:55:30.58 ID:EWvYjDKeO
男「何さ、いきなり」

男「教室まで来ちゃって」

男(みんなに見られたし……)

幼「ちょっとさ、明日買い物つきあって欲しいの」

男「買い物!?」

幼「そう、カバン欲しくて、ね」


男「えっ、買い物は先週もいったじゃん」

コソッ
女(……先週も……?)

幼「その服にあうカバンが欲しいのよ」

男「えー……」

男「纏めてかっときなよー」

幼「もー、うるさいなー」


23 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:56:31.87 ID:EWvYjDKeO
男「たまたま明日は用事が無いからいいけど」

男「……また荷物持ち?」

女「あははっ」

女(用事……ない……明日……たまたま……?)

女(土曜日、用事なんて……ないの……?)

幼「よしっ、じゃ決定ね♪」

男「んー……」


幼「今回は、ちゃーんと、お昼奢るからっ」

幼「おねがいっ、ね?」

男(はー……弱いんだよなぁ……)

男「……わかった。行くよ」

女(……)

女(男、くん……)


25 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:58:35.47 ID:EWvYjDKeO
幼「ほんとっ!? ありがとうねっ、えへへ」

幼「じゃあ明日の――」

女(用事……ない……明日……)

女(――なんで)

男「うん、梅田の紀伊國屋前だね。わかった」

幼「遅れないでね」

女(――なんで……?)ぐっ

…………
………………………

◆◇月曜日・登校◆◇

男(結局先週と同じで土日の両方ともおさちゃんと一緒にいちゃった……)
てくてく

女(……男くん)

男「……ふぁあ」
てくてく

男(月曜日とか……だる……)


26 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 17:59:22.67 ID:EWvYjDKeO
女「おっ……」

女「おはよっ、男くん!」

男「!」ビクッ

男「お、おあよっ」

女「……」

女「ねぇ」

女「土曜日さ――なにしてたの?」


男「!!」

男(あっ、そだ、そうだ! 女さん……金曜日に……)

男(忘れてたなぁ)

男(おさちゃんと遊びに行ってたってなんか言いにくいよなぁ……)

男「えと家の用事で出掛けて」

男「ちょっと、田舎に」


27 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:00:30.35 ID:EWvYjDKeO
女(嘘つき)

女「そうなんだー」

女(嘘つき嘘つき嘘つき)

男「う、うん」

女(嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき)

女「あっ、そうそう今日担任に呼ばれてたんだっ、じゃあ先行くね?」

男「えっ、あっ、うん……」

女(嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき
   嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき)
たったったっ


男「女さん行っちゃった」

男「はぁ、本当のこと言えなかったなぁ」

男(なんか、ちょっと……罪悪感……)


28 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:02:36.11 ID:EWvYjDKeO
ガラガラガラ
ドガッ
女「私のときと――」

ドガッ
女「あのオンナのとき――」

ガッシャン!
女「全然違う!!」

女「私のこと、嫌い!! なの!?」
バリン

女「何で!!?」

女「 こ の 私 、だよ!?」
バリンッバリンバリン!!


29 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:03:29.55 ID:EWvYjDKeO
女「ハァ、ハァ……ハァハァ」

…………
…………………

◇◆男子トイレ◇◆

ジャー
男「……ふぅ」

男「急にお腹の調子わるくなるんだからなー……」

キーンコーンカーンコーン
男(あっ、チャイムだ。急がないと!)
キュッキュッ

男(月曜日の朝……は集会もあるから嫌なんだよなぁ……)


30 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:04:31.73 ID:EWvYjDKeO
◆◇講堂◆◇

ガヤガヤガヤ
「コラーッ、並べよ」
「うーぃ」
「うぃ」
「春日かっ?」
「チガイマスヨー」
「欧米かっ?」
「――滑ってんだよ……」

男「………………」

男(早く終わんないかなぁ)


キィン
生徒指導「えー……残念なことだが」

生徒指導「今朝、学校の視聴覚室の窓が全て割られて、中が荒らされていた」

生徒指導「諸君の中の誰かがやった、などとは考えにくいんだが」

生徒指導「やった者がいるなら名乗りでなさい」

生徒指導「一応出頭がなければ、明日、警察を呼んで刑事事件にし――」


31 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:05:25.79 ID:EWvYjDKeO
ザワザワザワ
「物騒だな、あはっ」
「まぁー、俺ら関係ねぇわ」
「ちょっ、とか言って犯人おまえじゃね?」
「それでも僕はやってない(キリッ」
「黙れ、痴漢車トーマス」

女「…………」

男(……?)


生徒指導「犯人を目撃した人がいたら、是非教えてくれ」

女「…………」

生徒指導「犯人を教えることが、その子を助けることになるんだからな!」

女「…………」


32 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:06:09.01 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室・ST◇◆

キーンコーンカーンコーン
リア充「いよっし、今日はおっわりー♪」

リア充「女ー、今日帰りCD見に行かねー?」

女「……」

リア充「……女?」

女「えっ……あっ……うん……」

担任「こほん」


担任「えっと……じゃあ、チャイムなったのでSTを終了するけど」

担任「何か連絡はあるか? 無いなら今日はこれで」

ガタッ
女「あの、先生っ」

担任「どうした?」

女「今朝の事件――」


33 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:06:51.71 ID:EWvYjDKeO
女「今朝の事件の犯人……私知ってるんです」

ザワザワザワ

担任「えっ、それは――」

女「男、くんです」

ガタッ
男「!?」


男「えと、そっ、えっ!?」

男「ちっ、えっ、違います!!」

男「絶対やってない!!!」


ザワザワ

「おい、男って」
「うわー、まぁ暗そうで何考えてっかわらんかったもんなー」
「学校嫌になったからじゃね?」
「だって、あいつよく考えたらボッチだったしな、うわー」


34 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:07:54.23 ID:EWvYjDKeO
男「くっ……違う!! 僕じゃあない!!」

女「私見たんです。朝、男くんが視聴覚室に入る所。それでイスで窓を割ってました」


「校舎の窓割ってまわった、とか尾崎かよハゲ」
「あっはっはっ、リアルでやるとか、尾崎というよりウザき」
「男、ゲームのやりすぎだろ? きめぇ」
「無双の夢想じゃね?」


男「女さん!!」ガシッ

女「キャッ!!」

女(男くん、さわったぁ。私にさわったぁ)

男「ねぇ!! 言ってよ!? 違うって」

女「やっ、あっ、ンっ!!」ユサユサ

担任「男、やめn――」

リア充「男!! てめぇ、離せよ!!」ダンッ

ドガッ
男「うっ……」


35 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:08:42.40 ID:EWvYjDKeO
女「…………」

担任「リア充、落ち着きなさい。男は後で生徒指導室へ来るように」

担任「悪いが、女も来てくれるか?」

担任「女、よく犯人を教えてくれたな、ありがう」

女「……いえ」

男「…………」ギロッ

リア充(男……てめぇ……女に逆恨みか……?)


男「……………………………………」

「根暗なやつってこえーんだな、あっはっはっ――」
「てめー、聞こえてんぞ、ぶふっ――」
「男君ってやっぱり――」
「女さんにあたるってサイテ――」


女(全部、全部男くんが悪い)

女(全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部)


36 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:10:21.15 ID:EWvYjDKeO
男「…………」

女(ねぇ、でも……これで私のこと意識してくれるようになった……よね? うふふっ)

女(これでちゃんと、わたしと、おはなし、してくれるよね)

男(何で……何で、彼女は嘘……なんか……?)


◇◆生徒指導室◇◆

コンコン
男「失礼します」
女「…………」

生徒指導「――入れ」


37 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:11:32.03 ID:EWvYjDKeO
◆◇男教室◆◇

ガラガラ
幼「ねー、君、男くん知らない?」

リア充「えっ、男?」

リア充「今、生徒指導室ッス」


幼「生徒……指導室……?」

リア充「はい……っ」

リア充「あいつ……許せねぇ……クソッ」

幼「……?」

幼「あ、ありがとう」
たったったっ

幼(生徒指導室……って……。それにさっきの子の様子……)

幼(おとくん……どうしたの……?)


38 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:12:43.89 ID:EWvYjDKeO
生徒指導「で、彼がやったって?」

女「はい。見ました」

男「ちがっ、違う! 僕はっ!!」

生徒指導「じゃあ、お前――男はこの子が嘘をついていると言いたいのか?」

男「はい! そうです!!」


生徒指導「君は彼がどんな行動してたと?」

女「えっと……朝、クラスまで廊下を歩いていると、男くんが前にいるのを見つけました」

女「少し挙動不審気味だったので、つけてみると」

女「裏校舎に向かっていました」

女「多分私以外に誰もいなかったと思います」

女「彼は、鍵を使わず、教室の戸を開けて中から教室のイスで――」


39 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:14:07.33 ID:EWvYjDKeO
男(この人……何言ってるんだ? 僕じゃない、僕じゃな)

生徒指導「――男! 男! 聞いているのか?」

生徒指導「さっき彼女が話した内容は、私と教頭で推測した荒れ方と一緒だった」

生徒指導「彼女の話したことは正しいと思うのだが?」

男「でも、僕ではありません!!」

男「僕違違違うんだよぉ」


教頭「ふぅ……男君だったかな? じゃあ君は今朝何してたのかな?」

男「僕は……」

男「とっ、トイレっ!!」

男「そうだ!」

男「ぼ僕は、ずっとトイレの中に居ました!」

教頭「……はぁ……」


40 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:15:32.84 ID:EWvYjDKeO
生徒指導「お前なぁ!! 自分でやったって言え!!」
ドガッ

男「!!」ビクッ

教頭「できるだけ警察沙汰にしたくないんだよ。今なら退学はない」

教頭「君の成績はいい方だし、授業も真面目だと聞いている」

教頭「もう、認めたらどうだ?」


男(違う違う違う! 僕じゃないんだ! 僕じゃないんだ!!)

教頭「ほら言いなさい」
担任「言いなさい」
生徒指導「言えっていってんだろが!!」
女「言ったら?」
「言えって」
「言え」
「言うんだ」「言え」「話せ」「さぁ」「ほら」「どうした」
「ねぇ?」「ほれ」「なぁ」「言いなよ」「話しなさい」「ね?」
「言うんだ」「言え」「話せ」「さぁ」「ねぇ?」「ほれ」「なぁ」

「なぁ!?」

男「――――!」

男「ぼ……ぼくが……やりまし……た」


41 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:16:34.10 ID:EWvYjDKeO
男(えっ……何言って……)

男「す……いません……」

男(何言っちゃってんだ……?)

教頭「直ぐに彼の保護者に連絡を――」

男「すいま……せん」

男(もういいや)


生徒指導「女、よく教えてくれたな!」

女「いえ」

生徒指導「男、彼女に逆恨みはするなよ。悪いのはオマエなんだからな」

男(ボクがわるいのか……)

男(ああ、そうなんだな……)


42 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:18:06.67 ID:EWvYjDKeO
担任「英語、数学、世界史――国語、以上」

担任「課題、加えて反省文の原稿用紙を彼に渡してきました」

担任「保護者ももうすぐしたら来られるそうです」

教頭「最近の子供は本当に何をしだすかわかりませんねぇ」

担任「はぁ」

教頭「あんな暗そうな子がする世の中ですからね」

教頭「ゆとり教育、早く見直すべきですねぇ」

…………
…………………

◇◆男の家◇◆

男「はぁ……」

男「僕はやってない」

男「やってない?」

男「ああ、やってない」

男「けど――」

男「やったって言ってしまった」


43 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:19:13.14 ID:EWvYjDKeO
男「まぁ……全部どーでもいーやー……」


プルルルルル
男「電話……?」

男(うるさいなぁ、母さん早く出てよ)

男(ああ、学校にいってるのかぁ)

男「――……もしもし?」


幼「――もしもし、幼です」

男「おさ……ちゃん……?」

幼「もうっ、おさちゃんってぇ、えへ」

男「なに?」

幼「どうしたのかなってね?」

幼「生徒指導室呼ばれたらしいから」


44 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:20:20.17 ID:EWvYjDKeO
幼「ちょっと心配したのよ」

男「おっ……さちゃ」ジワァッ

男「……ッス……グスッ」ポロポロ

幼「えっ、えっ!? ええっ!?」

幼「ど、どうしたのっ!?」

男「あのさ――――」

男「――で……言ってしまった……」

男「やったって……」

幼「どうしてっ!? おとくん、バカぁ!?」

幼「おとくんは、やってないんだから、胸を張ればよかったんだよっ!?」

男「グズッ……グス……」

幼「もう! 泣くな! おっきいんだから!」

男「ごめ……グスッ」


45 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:21:48.85 ID:EWvYjDKeO
男「僕はクラスに友達いないし……」

男「頼れる人なんかいない……」

男「……両親だって……あんな人だし……」

男「だから、みんな、ぼくが……グスッ」

男「僕が言ったことなんて信じてくれないっ!! だから……」

男「だから……言ったんだ……『やった』って」

幼「ほんっっっとうにバカッ!!」

男「!!」ビクッ

幼「私が信じるからっ!」

幼「私は信じてるから、ねっ?」

男「おさちゃん……」


46 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:23:12.77 ID:EWvYjDKeO
幼「大丈夫」

幼「次、こんなことがあったら、ちゃん胸を張ってと言いなよ?」

幼「『僕じゃない』って。助けてあげるからねっ!」

男「ありがう……グスッ」

幼「“なきむし、おとくん”」

………
…………………

◆◇学校◆◇

ガラガラ
男「失礼しました」

男(今日から停学も終わった……)

男(女さん……くっ)

男(教室に入りにくいなぁ……)

てくてくてくてく
女「……あ」


47 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:24:08.42 ID:EWvYjDKeO
女「おはよっ、男くん! 久しぶりだねっ?」

男(女さん……)

男「おはよう」

女「うふふっ、ようやくちゃんと目を見て挨拶してくれたねっ」

女「うれしいっ」

女「さっ、教室に行こっ?」


男「あのさ、後で話があるんだけど」

女「えっ? ふふっ、話?」

女「いいよっ、いつ?」

男「うん、昼休みに……屋上で」

女「わかった! ちゃんと行くよっ」


48 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:25:36.54 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室◇◆

ガラガラ
男「……」

「でさ、あっはっはっ――」
「まじかよっ、ぶふっ――」

「おい、あれ見てみ、あれ」
「誰か教えてやれよ、おいー」

男(僕の席……どこ……?)

女「男くん? どうしたの?」

男「いや、僕の席が……」


「おまえの席ねーから!!」
「ぶふっ、おま、それはもう古いですから〜残念っ!!」
「いや、お前のほがふりぃよ」


49 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:26:31.86 ID:EWvYjDKeO
女「もう、男子っ? 意地悪だよっ?」

男「…………」

「こえー、こえー、まじこえーよ、ぶふっ」

女「休んでたから知らないよね、あのね、席替えしただけだから」

女「男君の席は確か――――うん、一番前の真ん中の席だよっ」

男(良かった……はぁ)

男「女さん、ありが――っ……とう」

男「…………」

女「んー、どう致しまして」

女「だけど、目を見て言って欲しかったなー」

男「ありがとう」ジッ

女「どういたしまして♪」ニコッ

男(女さん……本当に、故意に僕を陥れたのかな……?)

男(……わからない……)


50 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:28:33.19 ID:EWvYjDKeO
ガタッ
男「……」

「あいつ、ずっと否定してたのにさー」
「最後、生徒指導にびびってゲロったって、あっはっはっ」

ガタッ
女「男くんの隣、私なの宜しくね?」

女「ふふっ、目が悪いから席を前にしてもらったんだー」

男「そうなんだ」

女「うん」ニコッ


キーンコーンカーンコーン
先生「チャイム鳴ってますよ、席に着いてください」

「起立、気を付け」「礼ー」「着席」

先生「……」チラッ

男「!」

先生「はい、教科書の208ページを開けて下さい」


51 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:29:27.76 ID:EWvYjDKeO
◆◇四時間目終了◆◇

先生「うおっほん、ではここまで」ギロッ

男「!」ピクッ

キーンコーンカーンコーン

「起立」
「気を付け」
「礼」

男(先生たち、明らかに僕を意識してる……よね?)

男(授業気を付けないとな)


リア充「なぁ、女っ! 食堂行かね?」

リア充「腹減ってさー、まじグーグーなるわ、あははっ、隣のAさんに笑われたわ」

女「ごめんね、ちょっと、今日は行けないやぁ」

女「あははっ」チラッ

男「……」チラッ

リア充「まじかー、振られたぜぇ……」


52 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:30:38.25 ID:EWvYjDKeO
「うっは、だっせぇ、あはははっ」
リア充「お前っ、聞いてんじゃねぇよっ!!」
「あっはっはっ」

女「ねっ、男くん? 行こっか」

男「うん」

リア充「ん?」チラッ

「おい、リア充! 食堂、俺が行ってやるよ!」
リア「おー、ありがトゥっす。んじゃ行くか!」

………
………………

◇◆屋上◇◆
ビューッビューッ

男「うっ……寒い?」

女「ううん、大丈夫。……へくちっ」

男「!」

女「えへへっ、セーターとってきたほが、よかったのかなー」

女「最近寒くなってきたなぁー、はぁ」

男「すぐ終わらせるよ」


53 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 18:31:30.40 ID:EWvYjDKeO
男「あのさ……」

男「前の事件のことだけど――」

男「もう済んだことをぶり返して悪いけど」

男「あれをやったのは僕じゃないんだ」

女「えっ……どういうこと……?」

女「えっと、でも、えっ……?」

女「そっ、その……それって本当……なの……?」

女「えっ……でもさ……男くん、自分でやったって……」

男「あれは先生達に流されただけで」

男「でも……本当は『僕じゃあなかった』んだ」

男(おさちゃん……っ)


54 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 18:33:00.59 ID:EWvYjDKeO
とさ
女「そ……そんな……」

女「えっ、私……じゃあ……グスッ……ふぇっ……」ポロポロ

女「グズッ……間違えて、ひぐっ……男くんだって」

女「せんせに……言っちゃったの?」ポロポロ

男(えっ……女さん?)

女「私のせいで……男くんが……グスッ……悪者なんだって、ふぇっ……ンッ」ポロポロ

男(女さん……反省して……!)

男「いやっ、もう泣かないで!!」

女「さいでいら……私……最低だよぉ……グスッ」ポロポロ

男「ううん、なかせるつもりは別にないんだよっ?」


55 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 18:34:28.66 ID:EWvYjDKeO
女「ごめ゛……んなざい……グスッ」ポロポロ

男「はっきり言わなかった僕が悪いんだ」

女「ごめんなさい!!」ポロポロ

男「もう、いいから、ね?」

女(やっぱりやさしいなぁ、えへへ、おとこくん、うふふっ)

女「でも……どうしよう……これから」

男「もう大丈夫だよ」

男「僕を支えてくれる人を見つけたから」

女「えっ………………うふふっ」

男(おさちゃん……)

男「何も、うん、しなくて良いよ」


56 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 18:36:16.96 ID:EWvYjDKeO
◇◆廊下◇◆

リア充(あー、気になるなあ!)

リア充(男、流石に陰で何かやっても、表ではできないと思うんだけどな……)

リア充(女大丈夫かな……)

リア充(あーっ、くそっ!)


リア充(うじうじ、してんなよ、俺!)

リア充「うしっ、見に行くか、確か屋上――――」

タッタッタッタッタッ
女「…………」

リア充「えっ……女っ?」

リア充「目が腫れてた……」

リア充「おい! 女、待てよ!!」


60 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:39:41.42 ID:EWvYjDKeO
タッタッタッタッタッ

◆◇教室◆◇

リア充「おい、女」

くい
女「やっ……グスッ」

リア充「えっ……おい」

リア充(やっぱり……泣いてる……)


リア充「まさか……」

「どったのー女ちゃん?」
「女さんどうしたの?」
「泣いてる……」
「大丈夫」


女「う……うん、へ平気だよ……」

女「えへへっ……なっ……何でもないのっ……グスッ」

リア充「ま……まさか……男……のせいなのか?」

女「!!」ビクッ


61 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:40:57.21 ID:EWvYjDKeO
女「ちっ……違うよっ! 違うの……」

リア充「おい! 言えよ! お前が言わないんだったら、アイツぶん殴って吐かせる!」

女「……やっ、やめてっ……! 落ち着いてっ」

女「い、言うから」

リア充「ああ、すまん……」

女「さっき……屋上に呼ばれて行ってたの……」

「えっ、二人で?」
「うわっ、陰気くんと? まじかよー……」


女「それで、言われたの」

女「ばれたのは、お前のせいだ――って」

リア充「!」


62 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:42:05.65 ID:EWvYjDKeO
女「で、そのまま、押し倒されて……」

女「床に腰を付けさせて……」

リア充(必死だったんだな……スカートの汚れ払われてない……)

リア充(男……許せねぇ……!!)

女「本当にこっ……怖かった……」

女「ちょっとのとこで私は逃げれたんだけど」

女「屋上から出るときに、最後にまた言われたの」

女「さっき襲ったのバラしたら、許さない。お前を……――って」

リア充「……ックソ!!」

リア充「アイツは最低だなっ!!! 男じゃ――いや人間じゃねぇ!!」


63 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:43:24.30 ID:EWvYjDKeO
「あいつ、キモイな……」
「やりすぎだろ……」
「男くんって、性格本当に悪いんだね!」
「許せないっ!!」

女「お願い! 屋上での話は男に言わないで……」

女「バレたら……私……私……」

女「お願いだからっ!!」


リア充「わかった」

リア充「屋上のことは言わねぇ……」

リア充「でも、やっぱり、今まで通りにアイツと接するなんてできない……」

女「うん……だよね……」


64 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:44:11.77 ID:EWvYjDKeO
女「でもの、私はねっ、でもっ、男くんが更正するまで……」

女「うん、待ちたいな」

女「ほらっ、孟子が言ってるじゃん?」

女「人を切っていくとさ、最後には『善』がのこるって。ね?」

リア充「女……」

女(うふふっ……もう完璧にクラスに頼れる人が居なくなったよ?)

女(私以外には、ね?)

女(おとこくん……もっと、もっと、わたしに、いぞん……してほしいなぁ。うふふふふっ)


66 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:45:31.69 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室◇◆
ガラガラ
男「……ふぅ」

男(女さんのこと、すっきりして良かったー)

男(おさちゃんも、女さんと僕が和解できて喜んでたしね)

男「…………」

男「あっ」

男「え……」

男「僕の机が――ない?」

「おめぇの席ねーから!!」
「…………」
「…………」
「×ねよ、クズ!!」

男「えっ……な、何で……?」

リア充「おい、ちょっと……来いや?」

女(えっ、リア充くん……!?)


68 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:46:57.48 ID:EWvYjDKeO
リア充「ほら、来いよ!!」

男「えっ……うん」

リア充(大丈夫、上手くやる……ただ俺自身の収まりがつかねぇだけだ)パチッ

リア充(言わねえよ、頑張ってるお前のためだ)

女(あー……やっぱり殴っちゃうの……)

女(男くんの顔に治らない傷、ついたらやだなぁー……あーあ……)


◆◇校舎裏◆◇

男「あの……何?」

リア充(女と何も関係ない、みたいな顔しやがって……)

リア充(脅迫じみたことしやがって……クソッ!!)

リア充「ちょっとな、いらいらしててよぉ」

リア充「殴らせろや?」


69 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:47:59.94 ID:EWvYjDKeO
男「え、えっ?」

男「やっ、やめてっ」
ドスッ

リア充「いや、返事なんかきかねぇよ?」

ボガッ
ドスッ
ドガッ

キーンコーンカーンコーン


リア充「っ、くそ、チャイム鳴りやがった……」

ドンッ
男「……ッ……はぁ……クッ……」

男「うっ…………いっ……はぁ、はぁ……」

男「……なっ……何でなんだよっ……くっ」

男「何で、僕いきなり……殴られて……?」


70 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:48:45.97 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室◇◆

ガラガラガラ
男「…………」

先生「――であるからして――」

男「遅れてすい……ません……」

女「!!」

女(よかったぁ、おかおにきず、ついてないよ!!)

女(なんか、『任せろ』って顔でみてたけど……不安だった)

女(でも、あの人意外にやるんだね♪)

女「……」チラッ

リア充「あ」チラッ

女「ふふ」ニコ

リア充(やっぱり、お前には笑顔が一番……)

リア(……俺が守んなきゃな……)


71 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:49:45.23 ID:EWvYjDKeO
先生「おい……机を持って、どこ行ってたんだ……?」

先生「ま……まさ、か……また何かしたんじゃ……」


「やっべぇな!!」
「はんぱねぇし、マジで、あっはっはっ」
「停学なってまたいきなり停学かよ、不良すぎるわ、ぶふっ」

男「……ぼ、ぼくは……何も……」

先生「一応何かあったら、直ぐに教頭に不振人物で名前を挙げ――」

女「せっ、せんせ! 授業しましょっ!!」

男「!」

先生「あ、ああ、すまない」

先生「えー、続き、問の3からいくぞ――」


72 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:50:47.76 ID:EWvYjDKeO
男「……」

女「ふふっ」ニコ

女「……『私が支えてあげる』からね?」

男「ごめん。女さん、あ、ありがとう」

女(あわぁ、だめだ、おとこくん、かわいすぎるよぉ)

女(いちにちじゅう、みつめあっていたいなぁ、いたいなぁ)


73 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 18:51:49.32 ID:EWvYjDKeO
キーンコーンカーンコーン

男「……」

男(明らかに、みんなから敵視されている……)

男(……何で……?)

男(……いや……)

男(もしかして、あの事件のせい……?)

男(いやいや、違う)

男(だって朝は、ここまで酷くなかった)

男(確か――うん、昼休みくらいからかな……)

「起立」
「気を付け」
「礼」

リア充「よっし、STも終わったぁあ!」

男(リア充くん…………)


74 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:52:54.86 ID:EWvYjDKeO
リア充「女ー、帰ろうぜー」

男「…………」

女「あっ、ごめん、今日はパス」

リア充「ちぃ、しゃーねー、じゃあな!」

「ぷぷぷー」
「また断られてやがるし、ぶふっ」

リア充「っ、うっうるせーしっ!」

リア充「そうそう――男、気をつけろよ?」ボソッ

女「うん、ありがと」

女(きもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるい)

女(耳に息吹きかけられた、きもちわるい)

女(さりげに肩まで触ってくるし……信じられない)

男「さて……帰るか」


76 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:54:10.74 ID:EWvYjDKeO
女「あっ、男くん、あの」

女「あのさっ、一緒に――――」

幼「おとくん!! 帰ろ、一緒に!!」

女(えっ、おとくん? おとくんって、男くんのこと……?)


幼「ねぇ、ほらっ」
くいっ

男「わっ、ひっぱんなよー!」

男「ていうか、遅かったね」

幼「いや、掃除だったの忘れてたのよー……、ごめんね!」

女(今の会話……帰る約束をしていたみたい……)

女(ありえない、ぶすのくせにぶすのくせにぶすのくせにぶすのくせにぶすのくせにぶすのくせに)

女(ていうか……この女……あの事件を何とも思わなかったの……?)


79 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:56:30.77 ID:EWvYjDKeO
男「もう、いいや! 早くいこっ」

女(何なのかな……?

女(あー……まだ私たちの邪魔をすヤツがいるんだぁ)

女(はやく、アイツを……)

女(早く、アイツと男くんの仲を何とかしないとっ……!!)

女(私のもとに来るべきなんだから、男くんは!!)

女(おとこくん……)


80 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:57:35.23 ID:EWvYjDKeO
幼「さぁ行こ、行こ」

男「じゃあね、女さん、さよなら」

女「うんっ、また明日ねっ、男くん!」ニコッ

男「!」ドキッ

幼「おとくん、おとくん、でさ――――」

男「もう本当に――」

幼「――――」

男「――――」

女「………………」ぐしゃ


82 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 18:59:02.66 ID:EWvYjDKeO
◆◇学校◆◇

女(今日は、登校もお昼も休み時間も……あの牛女といた)

女(男くんの周りでウザいヤツはもうアイツだけなのに……)

女「……」ジーッ

男「! ん?」

女「うふふっ、何でもないよっ」ニコッ

男「……」ドキドキ

担任(ロングホームルーム中に……一番前の席で……こいつらは……)

担任「――で文化出展会の実行委員を決めないといけないんだが……」

担任「男子一名、女子一名」

担任「立候補はないか?」

リア充「はっ、はい、はい! 俺やってみたい!!」

担任「誰もいないのかー?」

担任「いないなら推薦かー?」


85 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:00:57.25 ID:EWvYjDKeO
リア充「ちょっ、おい担任! 無視すんなし! 話聞けよ!」

担任「無視すんなし、だと!? お前に言いたいわ!!」

担任「さっきなあ、すでに何か委員に入ってるヤツは無理って言っただろ!?」

担任「お前こそ話聞けよってかんじぃ〜」

リア充「せんせ、それ死語だし、あはははっ」

「はっはっはっ」
「クスクスクスクス」
「ぶふっ」
「なっはっはっ」
「うはははははっ」

男子「あっ、そうだ」
男子「なぁ、男とか、いいんじゃね?」
男子(だりーし、まかせりゃいーだろ)

「おっ、いーんじゃねっ」
「あっ、それ、賛成ー賛成ー」
「早く決まれ、だりぃ……」


86 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:01:58.10 ID:EWvYjDKeO
担任(男か……)

担任(あの事件、何かに押し潰されてあんなことをしたに違いない)

担任(そんな彼に任せて大丈夫か?)

担任(…………)

担任(ううん、むしろ、やり遂げてもらって、青春してもらうのも――)

「せんせー、どーなんすか、男でー」

担任「あっ、ああ、すまんすまん。男、頼めるか?」

男「えっ……えと……」

「やれよ、やれよ!」
「あーもウゼェ……」
「はやく、やるっつえよ」


男「はい……やります……」


87 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:04:03.62 ID:EWvYjDKeO
「さすが男、"男子には"マジよええなぁ、ぶふっ」
「クスクス」
「クスクスクスクス」
「クスクス」

男「…………」


担任「じゃあ女子の方は誰か立候補は?」


「…………………………………………」

女「……ふふ」

女(だよね、だよね、あはっ)

女(私の話聞いたら、みんな男くんと一緒が絶対にイヤになるよねっ)

女(うふふふふっ、私だけなの)

女(『男くんの支え』になれるのは。あははっあはははっ)

男「…………」

担任「おい、誰かいないのかーっ?」

担任(やっぱり、男のせいなんだろうな……)

担任(推薦すら出ない……)


91 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:07:24.01 ID:EWvYjDKeO
担任(しかし、流石に男子の委員を決め直す――なんて言えないしな……)

担任(……誰もでないから、仕方ないかな)

担任「じゃあ、女子の方は、くじで――」

女「!」

女「あの、先生っ」

「…………」

女「誰もいない……みたいだし」

女「先生。私がやっても……いいですか……?」

担任「!!」

「えっ、ちょっ」
「女ちん……無理しやがって……ぐすっ」
「女子の中の女子じゃね?」
「女ちゃん……ありがとう……」
「ごめんね……女ちゃん……」

女(うふふふふっ、男くんと一緒。一緒……ふふっ♪)


93 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:10:23.32 ID:EWvYjDKeO
ガタッ
リア充「ほかに、やれる女子いねーのかよ!?」

「………………」

女(むりむり、みんな、じぶんが、いちばんかわいい)

女(はわぁ、まいにち、おそくまで……)

女(……おそくまで、いっしょにいれるよぉ、えへへへへ)

女「……」チラッ

男「……」チラッ

女「ふふっ」ニコッ

男「!」ドキドキ

男(女さんと、また目があっちゃった)


94 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:11:14.21 ID:EWvYjDKeO
担任(彼女か……うん……)

担任(事件のことで人一倍マジメだと分かったけど……)

担任(でも、その件で男……大丈夫か?)

担任(あとでフォローいれとくか)

担任「じゃあ、女に決まりで!」

担任「よし」

担任「ということで、委員は男と女に決定だから」

担任「あと、もうチャイム鳴ったら帰って良いぞ」

……

キーンコーンカーンコーン


担任「ちょっと女は残ってくれ」


担任「さっそくで悪いんだが仕事の話が――」

女「はいっ」


95 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:12:03.97 ID:EWvYjDKeO
リア充(女は、いきなり仕事かー)

リア充「今日は一人でかえんなきゃ、だな」

「今日も、だろ? ぷぷぷー」
「だせーな、リア充、うははっ」

リア充「うっせー、はげども、帰んぞ、ほら!」

「うぃーす」
「へぇへぇ」

女「――で、せんせ」

女「話って、仕事じゃなく男くんのことですよね?」

担任「!」

担任(もう高校生はガキじゃないんだったな)

担任「あー……、驚いたなぁ。いや、女は鋭いんだな」


97 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:13:12.41 ID:EWvYjDKeO
担任「その……」

担任「大丈夫か? その……無いとは思うが、逆恨み……とかは」

女「ふふっ」

女「大丈夫! させないですよっ」

女「仲良くなって、もう(教室荒らす)あんなことさせないように」

女「わたしが彼を見守ろうと思ってます!!」

担任(はは、まだまだ子供だな。俺たちはその子供をサポートする義務がある)

担任「よし、わかった。協力してあげよう」

担任(思えば先週の席替えも、このためだったんだろうな)

担任(高校生もまだまだかわいいなっ)


99 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:14:45.79 ID:EWvYjDKeO
女(あの担任のことだから)

女(きっと、ろいろと男くんと行事とか一緒になるように)

女(手を打ってくれるだろうなぁ)

女「うふふっ」

女(それにいまので、これからは、くらすで、どうどうと)

女(おとこくんと、いちゃいちゃできるよぉ、えへへへへ)


100 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:15:51.28 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室◇◆

女(さってと、明日、楽しみだな――――)
ガラガラ

女「なゃっ?」

男「あっ、遅かったね」

女(えっ、ほんと? なに、いま、なんて)

女(「あっ、遅かったね」「あっ、遅かったね」「あっ、遅かったね」「あっ、遅かったね」
  「あっ、遅かったね」「あっ、遅かったね」「あっ、遅かったね」「あっ、遅かったね」)

女(ふぃあぁぁ、だめだぁ、きをはらないと、にやにやしちゃうよぉ……)

女(おとこくんが、えへへへっ、おとこくんが、わたしをまってくれたぁの? あはっ、えへへ)


103 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:16:40.13 ID:EWvYjDKeO
女「あははっ、待っててくれたのかな?」

男「うん、一応。だって仕事あるって、先生言ってたしね」

女(あぁ、もう……)

女(これほど、きょうしに、かんしゃしたこと、ありません!)

男「だから、帰ったら拙いのかなって」

女「そうなんだー」

女「でもね、担任先生、そんな仕事出さなかったんだよーっ?」

女「委員名簿に名前書かされただけだったんだぁ」

男(じゃあ別に、おさちゃんに先帰ってもらうこともなかったなぁ)

女「うん。でね、それ終わったからさ――」

男「じゃあ帰ろっか?」


105 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:18:12.51 ID:EWvYjDKeO
◆◇登校中◆◇

幼「おはよう、おとくんっ」

男「うん、おはよう」

男「昨日?」

幼「うんだってさ、私を帰したんだからさー」

幼「 別 の 女 と 一 緒 」

幼「だったじゃない?」

幼(もう仲直りしただけかと思ってたらまさか待たないといけないといいだすから本当に
  びっくりしたよでもおとくんのことだし何もなかったよねうんないに違いないようん
  だって私がおとくんの支えだもん私だけがおとくんの支えなんだもんねあんな女ただ
  仕事が一緒になっただけなんだそうなんだ私のおとくんを奪ってはないんだよねうん
  ていうか奪われるなんてことありえないよね)


106 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:19:00.98 ID:EWvYjDKeO
男「ん? おさちゃんどうしたの?」

幼「えっ、あははっ、何でもないわ」

幼「あー、もうこんな時間じゃん!」

幼「おとくん、早く行こっ」

男「う、うん!」


幼(でも、きっと男に好意を抱いてるに違いないあの女は私の敵だ絶対そ
  うだそうにちがいないだってわざわざ一緒とかおかしいもん嘘をバラ
  したのに男となんか)

幼「女さんだっけ、その子となんかあったらお姉さんにい、言うのよー?」

男「えっ、いやっ、何にもないよっ」


112 :VIPがお送りします [さるがきた] :2009/10/24(土) 19:25:12.54 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室◇◆

男「……」

女「あっ」

女(きのうのこと、おもいだしたらまた、にやにやしちゃうよぉ……えへへ)

女(だめだめ)ふるふる

女「おはよっ!」ニコッ

男「うん、おはよう」

女「今日はさぁ、委員の仕事があるんだってー」

女「今日も一緒に帰ろうねっ?」

男「うん」

男(おさちゃんにも仕事だって伝えとかないとね)


114 :VIPがお送りします [さるされ] :2009/10/24(土) 19:26:20.76 ID:EWvYjDKeO
◆◇放課後◆◇

男「――でさー、ごめん仕事で一緒に帰れないんだぁ、今日も」

幼「……えっ」

幼「もうっ、私と仕事どっちが大事なのっ!?

幼「またあの女のとこに行くの!?」

男「冗談だよねっ?」

幼「あ」

男「昼ドラ?」

幼「あははっ、笑いなさいよっ、ふふっ」

男(何か今日のおさちゃん、へんだなぁ……)


120 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 19:28:39.03 ID:EWvYjDKeO
◆◇教室◆◇

ガラガラ
男「……ふぅ」

女「あっ、お帰りなさい」ニコッ

男「う、うん。ただいま」

女「じゃあ、早速しごとしちゃおっか!」

男「はい」

女「まず、文化出展会のための作品だけど――」

女「提案があるんだけど、ね?」

男「うん」


122 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:29:48.83 ID:EWvYjDKeO
女「市内・観光マップ、とかどうかなって思うんだけどさー、男くん?」

男「地図かぁ……うーん」

女「ちょうどさ、交換留学生も来月にはやってくるんだしさ」

女「ね、ね? 良いと思うんだけどっ」

男「うん、確かに良いかもね! でも、観光地ってこの辺ある?」

女(うふふ、頭のいい人、素敵)

女「あははー……それは探さなきゃ、だねぇー」

男「んー、まいっか! 決めよう、それに賛成するよ」


123 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:31:38.23 ID:EWvYjDKeO
男「じゃあ、僕たちで名所みたいなとこを調べつつ」

男「地図にして描いていくみたいな感じかな?」

女「あ、あとさ、食べ物屋さんマップとか……どうかなぁ?」

男「あははっ」

女(わらった!? おとこくんがわらった!?)

女(えがお、かわいいよぉ、かわいすぎるよぉ。しゃしん……とりたかったなぁ……)

女「えっ、なんで笑うのさっ?」

男「いや、意外に食いしん坊さんなのかと……ごめん、失礼だったね」

女「女の子はみんな食べるのが大好きなんだもんっ」ぷいっ

男「ふふふっ」


124 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:32:50.37 ID:EWvYjDKeO
「最終下校時刻です――」
「まだ校舎に残っている生徒は速やかに下校を――」


男「あっ……もうこんな時間か……」

女「大丈夫だよっ、まだまだ出展会は先だから、ね?」

女「うん、うん、間に合う間に合う…………たぶん」

男「あはは、じゃあ、女さん一緒に帰ろうか」

女「う、うん!」

女「あっ、そうだ! 明日はさ、私服。私服持ってきてね?」

男「うん、わかった……けど、どうして?」

女「うふふっ、市内巡りするから――ねっ?」


126 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:34:44.64 ID:EWvYjDKeO
◇◆登校◇◆

男「ふぁあぁ」

幼「また、凄い欠伸ね。昨日寝るの遅かったの?」

男「うん……」

男「メールしてたら、もう深夜だったんだぁ」

幼「 メ ー ル ? 」

幼(なんで? おかしいうんまずありえない深夜って言ったよねおとくん
  でも私のメールだいたい十時には終わったから全然深夜じゃないはず
  それなのに眠いってまさかあの女とメールしてたとかおとくんは言う
  のかなゆるせない許せないおとくんも女も許せない)

男「女さんと今日の打ち合わせでね――――」

幼(私がおとくんの支えだ私がおとくんの支えだ私がおとくんの支えだ私がおとくんの支えだ私がおとくんの支えだ私がおとくんの支えだ)


129 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:35:25.09 ID:EWvYjDKeO
◆◇教室◆◇

男「……ふぁあぁ」

女「……くぁ」

男「!」チラッ

女「あっ……えへへ。昨日、男くんが遅くまでメールしてくるからだからねっ、もぅ」

男「それを言ったら女さんもじゃん!」

女「あはははっ」


ガラガラ
「――――でさっ」
リア充「マジか……あっ」


130 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:36:54.61 ID:EWvYjDKeO
女(あー、もう……うざ……)

女(せっかくあさの、ふたりきりの! たのしい、じかんなのにさ……)

女(あいつ、からんでくるからなぁ……はぁ……きえてほしいなぁ)

リア充「うっす、女ー!」

女「うん、おはよ、リア充くんっ」ニコッ

リア充「今日の英語の予習さ、やってなくて……見せてくんね?」

女「やだよっ、自分でやんなきゃ意味ないもんねーっ」

リア充「そこをなんとか――」
女「やだよ――」

女(あー、うざいなぁもう。おとこくんと、すこししか……はなせなかったじゃん……)


142 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:43:41.79 ID:EWvYjDKeO
リア充「そこをなんとか――」
女「やだよ――」

女(あー、うざいなぁもう。おとこくんと、すこししか……はなせなかったじゃん……)

リア充「んでさ――」
女「あははっ――」


男(女さんって本当にリア充くん……と仲いいなぁ)

男「…………」

男(一時間目の用意でもしてよっと)


144 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:44:37.00 ID:EWvYjDKeO
◇◆教室◇◆

女「ごめんねっ」

リア充「おいぃぃまたかよぉ……」

「振られすぎだろ、あははははっ」
「ぶふっ、言ってやるな、ぶぶふっ」
「あっはっはっ」

リア充「いつまで仕事なんだよー?」

女「だいたい最終下校時刻くらいかなぁ」

女「出展会が終わるまで毎日、だね」


146 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:45:41.06 ID:EWvYjDKeO
リア充「くっそ、残念だな!」

リア充「俺も基本バイトだから遅くまでは無理だけど」

リア充「何か手伝えることあったら言ってくれよ」

べしっ
「あうちっ」
「いてっ!」

リア充「こいつらと俺で協力すっからさ!」

女「うん! ありがとねっ」


148 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:46:43.84 ID:EWvYjDKeO
女(まぁ、おねがいなんかするわけないよ)

女(ていうか、はやくかえってよ。もう12ふん34びょうもたったし……)

リア充「じゃあな! 頑張れよ!」

リア充「おい、男!」

男「えっ……あっ……なに?」


151 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:47:37.97 ID:EWvYjDKeO
リア充「女に手――」

女「っ!」
ギュッ

リア充「!!」

リア充「ああ、すまん」

リア充(こういうのは無しなんだったな)

男「ん?」


153 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:49:26.72 ID:EWvYjDKeO
リア充「……いや、なんでもねぇ……」

男「ん?」

女「あはっ」ニコニコ

リア充(女に手を出したらゆるさねぇ)

リア充「じゃあな、女」

女「うん、ばいばい」

男「リア充君、どうしたんだろう……」

男(まぁ、いっか……)


155 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:50:12.99 ID:EWvYjDKeO
女「あははっ、もう時間こんなだよ?」

女「じゃあ早速、仕事始めちゃいますかっ」

男「うん」ニコッ

女(はぁ、はぁはぁ、はぁ、おとこくんが……おとこくんが)

女(わたしだけに、ほほえんだぁ、にやにやしちゃうよぉ)

女「えへへ」

男(女さん楽しそう。僕と一緒に居て嫌な感じしないんだなぁ)

男(うれしいなぁ)


157 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:52:04.35 ID:EWvYjDKeO
女「ふぅーっ、できたぁ!」

女「男くんはどう?」

男「僕も、もう準備ができたし」

男「市内の探索しよっか」

女「うんっ」

女「その前に、ペン持った? メモ持った?」

男「もちろんだよ」

女「じゃーいくぞー」ニコ


160 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:53:43.69 ID:EWvYjDKeO
◇◆市内某所◇◆

男「えっと……あっ」

男「もう七時だ」

女(やだぁ……かえりたくないよぉ……)

女(せっかくの、でーとなのにぃ……)

女「あー……お腹すいたなぁ」

男「んー、そうだね。……いっぱい歩いたし」


162 :VIPがお送りします [さる] :2009/10/24(土) 19:56:46.29 ID:EWvYjDKeO
女「あっ、そだ男くん? 今からさ晩御飯食べに行こうよ!」

女「地図にも書けるしさぁ」

女「あっ、もしよかったら……なんだけどね?」チラッ

男「うん、そうしよっか」

女「やったっ! じゃさ、男くんが決めてよっ!」

男「パスタの――」


166 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:58:31.68 ID:EWvYjDKeO
◆◇パスタの店◆◇

女「わぁ、こんなお店知らなかったよぉ」

男「まぁ、知る人ぞ知る名店なんだけどね」

女「そうなんだぁ、うふふっ」

女(こんなおみせをしってるなんて、おとこくんは)

女(ほんとうに、すてきなんだなぁ。けっこんしたいなぁ)


171 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 19:59:58.75 ID:EWvYjDKeO
男「んじゃ、何にする?」

女「んーとね、私はキノコのクリームスープパスタで!」

男「うん、僕はじゃあアワビ海鮮トマトソースパスタにしよっと」

男「店員さん――――」


172 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:00:29.88 ID:EWvYjDKeO
男「ぱくぱく、ばくばく」

女「ぱくぱく」

男(女さん食べ方綺麗だなぁ)

女「ふふっ」

女「男くん、ちょっとじっとして、ね?」

男「えっ――」


177 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:02:07.97 ID:EWvYjDKeO
ふきふき
女「ほら、トマトソースついてたよー」ニコッ

男「ああ、あありがとう」ドキドキ

女(さて、この紙ナプキンは持って帰らないと)

女(それにしても、くちにつけてたべるなんて)

女(おとこくんはかわいいなぁ。かわいいなぁ)

男(びっくりしたぁ、少し恥ずかしいし)


182 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:04:45.07 ID:EWvYjDKeO
男「ぱくぱく」

女「ジーッ」

男「ん? どうしたの?」

女「男くんのパスタ、美味しそうだね」

男「うん、美味しいよ。ちょっといるかな?」

女「あっ、うんありがとっ!」

女「じゃあ、交換しよう!」


185 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:05:26.85 ID:EWvYjDKeO
男「これくらいかなぁ……」

女「っ」ジロッ

女(うわぁ、おとこくんがくちにいれた、ふぉーくで)

女(よそってくれてるよぉ)

女(さくせんどおりだ、うふふふふっ)

男「はい、どうぞ」

女「こっちも、どぞー」


188 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:06:32.13 ID:EWvYjDKeO
男「ぱくぱく」

女「ぱくぱく」

女「ふふっ、おいしい?」

男「うん、美味しいよ! 女さんは?」

女(いろんないみで)

女「うふふっ」

女「美味しいよっ――」


191 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:07:12.13 ID:EWvYjDKeO
◇◆学校◇◆

幼「おはよっ、おとくん!」

男「あっ、おさちゃん」

幼「おとくん、今日はね――」

女「おはよっ、男くん!」
タッタッタッタッ

女「さっ、今日の打ち合わせするよっ」


194 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:08:31.80 ID:EWvYjDKeO
女「はやくはやくっ」

くいっ
男「わわわっ」

女「さぁ走るよー!」

男「ごめんね、先行くよ、おさちゃん!」
タッタッタッタッ

幼「…………」

幼(あの女絶対に絶対にゆるさないていうか許せない今私はおとくんとラブラブな会話してたのに
  いきなり邪魔しちゃってさ陥れてやる陥れてやる陥れてやる陥れてやる陥れてやる陥れてやる
  あははははっあははははっあははははははははははははあははははっあはははははははははっ)


195 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:09:36.10 ID:EWvYjDKeO
◆◇放課後◆◇

「あははっ」
「ねーわ、まじねーわ」
「キモッ、キモッ」


男「……」

女「男くん? 今日は小店めぐりだよ」

女「行こっか?」

男「うん」


198 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:10:49.19 ID:EWvYjDKeO
◆◇小店◆◇

女「わー、鯛焼きかぁ」

男「おいしそうだね」

「たいやきください!」
「あいよっ、一つかい?」
「ぼくもっ!」

男「あはは、けっこう人気みたいだね」

女「そうだね」ニコッ


201 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:12:24.46 ID:EWvYjDKeO
女「ふふっ、私たちも買おっか?」

男「うん。おじさん、二つ下さい――」

………
…………

女「はぐはぐ」

男「あはは」

女「ん?」

男「いや、懐かしいな、と思ってさ」


205 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:14:05.35 ID:EWvYjDKeO
男「小学校のときにお小遣いでこういうの買ってたなって」

女「………………」

男「ん? どうしたの?」

女「……えっ?」

女「あ、ううん。何でもないよ」

女「あはは……」

男「……?」


208 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:15:37.25 ID:EWvYjDKeO
男「美味しかったー」

女「そだねっ」

男「よし、次はどこ行く」

女「あの駅前にクレープ屋さんがあるから」

女「そこはどう?」

男「じゃあ行こっか」

女「うんっ」


213 :VIPがお送りします [さる] :2009/10/24(土) 20:19:41.98 ID:EWvYjDKeO
◆◇駅前◆◇

すたすたすたすた
女「あっ」

幼「えっ……」

幼(どうしてこんなとこに女がいるのか解らない今は学校でおとくんと一緒に作業をしているはずなのに
  おとくん今日用事なかったら誘えばよかった残念だ誘えばよかったカラオケ二人で行けたのに残念だ)

男「女さん、チョコバナナだったよね――――」

幼「――――えっ?」


216 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:21:14.73 ID:EWvYjDKeO
男「あっ、おさちゃん」

幼「どう……し……て?」

幼「どうして……なの?」

幼「どうしてなのよっ!?」

幼(仕事するとかいって……デートなんか……?)


224 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:25:32.97 ID:EWvYjDKeO
男「えっ、え、何が?」

女「うふふふふ」

幼「…………」

男「おさ……ちゃん?」

幼「…………いや」

幼「なんでもないわ」

幼「じゃあ、また明日ね。おとくん」


227 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:27:23.09 ID:EWvYjDKeO
男「あ、うん……」

幼「…………」
てくてく

男「どうしたんだろ、おさちゃん」

女「どうしたんだろねー、あははっ」

女「あっ、そだそだ」

女「クレープ、ありがと!」

女「やっぱりチョコバナナはおいしいなぁ」

女「はぐはぐ」

男(おさちゃん……)

女(あはははっ、あはっ、うふふふふっ)ニコニコ


228 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:28:03.62 ID:EWvYjDKeO
◇◆学校◇◆

女「さっ、今日はどこ行く?」

男「うーん」

男「大分地図も出来上がってきたよね」

男「あとは、ここくらいかな?」

女「神社かぁ」


231 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:30:05.22 ID:EWvYjDKeO
女(おまもり、かわなきゃ)

女(おとこくんと、ずっと、らぶらぶしたいもんね、えへへ)

男「今日が最後の仕事だけど、頑張ろうね?」

女「うん――って、え?」

女「さ……いご?」

男「いや、うん。地図完成だしね」


234 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:30:58.16 ID:EWvYjDKeO
女(えっ、もうおわりなの?)

女(せっかくふたり、ふうふ(←よてい)みずいらずの、じかん、だったのに)

男「じゃ、さっそく行こっか?」

女「うん」ニコッ

女(ずっとつづけばいいのに、ずっとつづけばいいのに、ずっとつづけばいいのに)

幼(………………)


235 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:31:39.48 ID:EWvYjDKeO
◇◆神社◇◆

男「はぁはぁ、階段、はぁ、すごくきついね、はぁ」

女「がんばれっ、男の子♪」

男「はい」

女(ちゃんと、かえるかなぁ)
すたすたすたすた

女(おまもり……)
すたすたすたすた

男「女さん、はぁはぁ、速すぎる」
すたすた


237 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:33:11.60 ID:EWvYjDKeO
男「ようやく、はぁふぃー、着いた」

女「ねっ、御守り買っていかないっ?」

男「あっ、うん」

男「でもその前にお詣りね」

女「あははっ、そだね」

女(残ってるかなぁ、おまもり)

女(ここのは有名だからなぁ……)


238 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:33:54.17 ID:EWvYjDKeO
男「女さん、御守りだっけ? 買いにいこうか」

女「うん」

女「こっちだよ」
すたすた

女「おそろいの、かおうねっ?」ニコッ

男「うっ、うん……」ドキドキ
すたすた


239 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:34:58.92 ID:EWvYjDKeO
女「あっ!!」

女「あったよ、あったよ!!」

女「よかったぁ、うふふっ」

男(恋愛成就……?)

女「ギリギリだったねっ! 残り三個だったよ?」

男「そうだね」

男(でもなんで恋愛成就? 交通安全くらいでよくないかな?)

女「はいっ、買ったよ?」ニコニコ

男「ありがとう」

男(まぁいっか)


243 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:37:25.01 ID:EWvYjDKeO
◆◇帰り道◆◇

男「おつかれさまでした」

女「うんっ、おつかれさまでした」

女「二人で仕事できて楽しかったよ?」

女「また……またさぁ」

女「二人で、こうやって街をぶらぶらするの……」

女「誘っていいかなぁ?」チラ

男「う、うん……いいよ」


244 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:38:22.92 ID:EWvYjDKeO
男(なんか女さん、凄く可愛いなぁ)

女「あー、でも、仕事がいつまでも続けばよかったのになぁー」

男「あはは……」

女(毎日遅くまで二人で居られるしなぁ、はぁ)

女(あっ……そうか……ふふっ)

「…………」


247 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:41:14.12 ID:EWvYjDKeO
◇◆学校◇◆

男「ふぁあぁ」

幼「おっ、はよ! おとくんっ」

幼「眠そうだねぇー」

幼「でも、もう仕事終わったんだからさ」

幼「今まで蔑ろにしてた私に何かしてみない? うふふ」

男「うーん……そだね」


254 :VIPがお送りします [さる] :2009/10/24(土) 20:46:16.57 ID:EWvYjDKeO
男「カラオケ、おごるよ」

幼「やったぁ! うふふ」

幼「あっ、あとね、英和辞書かして?」

男「とりにかえったら――」

幼「遅刻しちゃうじゃんっ!」

男「あはっ、そだね。ごめん」


256 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:47:44.40 ID:EWvYjDKeO
◇◆廊下◇◆

幼「なつかしーなー」

男「去年使ってたんだよね?」

男「この廊下」

幼「そうだよ」

ガチャガチャ
男「さっ、入って」


258 :VIPがお送りします [さる] :2009/10/24(土) 20:51:38.18 ID:EWvYjDKeO
ガタッ

男「あれ?」

男「開かない?」

ガチャガチャ
男「ん?」

ガラガラガラ
男(昨日、管理人さん、鍵締め忘れたのかな?)

男(まぁいいや)


261 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 20:55:56.19 ID:EWvYjDKeO
男「……え?」

男「…………」

男「な……んで?」

幼「どうしたの、おとく――っ!?」

男「この炭、破れた痕」

男「女さんと僕が書いた地図……」

男「誰が!!」

男「誰がやったんだよっ!!!」


266 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:00:35.44 ID:EWvYjDKeO
幼「ひっ、ひどいよねっ!」

幼「おとくん、毎日、毎日頑張って書いてきたのにねっ!」

男「あっ……あれ?」

幼「ん?」

男「ここに落ちてるのって……」

男「女さんと一緒に買った……御守りだ……」

幼「えっ……じゃ、まさか――」


268 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:03:34.76 ID:EWvYjDKeO
男「女さん……が?」

男「でも、何で? おかしい……」

幼「ねぇ、確かさ、展覧会って……明後日だったよね?」

男「うん……」

男「仕上がらない」

男「また僕が、僕が責められる……」

男「僕は悪くないのに僕は悪くないのに僕は悪くないのに!!」

幼「おとくん……」


271 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:05:45.14 ID:EWvYjDKeO
ガラガラガラ

女「あっ、おはよっ」

女「男く――えっ?」
ドンッ

女「キャッ!?」

男「女さん! 女さんがやったんだね?」

男「そうだったんだねっ!!」

女「えっ、え?」

幼「…………」


277 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/24(土) 21:11:08.75 ID:EWvYjDKeO
リア充「――おいっ!」

リア充「また、てめぇ、女を襲って!!」

ドガッ
ボゴッ

男「っ……痛っ」

男「ねぇ、今さあ『また』って言った、よね?」

リア充「てめぇ、前も屋上で襲ってたんだろうがっ!!」
ドガッ

リア充「クラスのみんなの中で告白したんだよ、女が!!」
ボゴッ

男「…………っ」

男「……屋上? 襲った? みんなの前?」


283 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:20:36.46 ID:EWvYjDKeO
男「女さん……どういう……こと?」

女「…………あは」

男「ねぇ、女さん、どういうことなの?」

男「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ?」

女「あははあははあはははっあはははっあはははっあはははっあはははっ」

女「だって仕方ないじゃん!」


286 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:22:53.16 ID:EWvYjDKeO
リア充「……え?」

男「……!!」

女「男くん、凄くカッコイいんだよ?」

女「大好きなんだもん、男くんのこと」

女「誰にも渡したくないの、この女にもっ!!」

幼「!!」ビクッ

幼「おとくん……」

男「おいで……」


292 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:28:32.85 ID:EWvYjDKeO
女「なに、くっついてんの?」

女「私のものなんだよ? 男くんは私を必要としてるんだよ?」

女「男くんは一人だから私しかいないの!!」

男「何言ってんだよ……」

男「おさちゃんだけだ。いつも僕を支えてくれたのは」

女「――――――え?」


295 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:31:35.68 ID:EWvYjDKeO
男「女さん……君とは良い友達になれると思ったけど」

男「無理だ」

男「そして」

ギュッ
幼「あっ……」

男「許せない。僕を陥れた君を」

男「帰る」
すたすたすたすた


300 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:35:12.35 ID:EWvYjDKeO
リア充「えっ……」

リア充「おい、帰るって……。これ、説明聞かせろよ、おい」
すたすたすたすた



女「どうして、どうしてこうなったの?」

女「私が男くんの支えなのに。私が男くんの支えなのに。私が男くんの支えなのに。私が男くんの支えなのに。」

女「どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして?」

幼「うふふっ」

幼「それはね、あなたが『バカ』だからよ。うふふっ」

幼「あはははっあはははっあははあはははっ」


313 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:44:38.57 ID:EWvYjDKeO
幼「私はね、あなたがしているようなことを、いつもいつも」

幼「うふふ、しているの」

幼「あなたがした、悪いことをして逆に引き込むってのは、私が小学生のときに既にしてた」

幼「ふふっ、おとくんはね」

幼「もうね、お父さんやお母さんにも不信感を抱いてるのよ?」

幼「それは二年もかかったけどね」

幼「あなたが、友達になれたのは驚いた」

幼「でも、ありがとうね?」

幼「あなたのお陰で、またおとくんとの結び付きが強くなった、うふふっ」

幼「じゃあね。そこに落ちてるおまもりあげるわ」

幼「男が他の女と買ったヤツなんか絶対にいらないもん」


320 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:48:55.47 ID:EWvYjDKeO
女「…………」

女「私は」

女「ただのピエロだったんだ」

女「あはは」

女「あははははっ」

女「あは…………」ポロ

女「……ふぇ」ポロポロ

女「ヒグッ……グスッ……アッ……え……」ポロポロ

女「本当……ヒグッ……本当に……グスッ……すきだっだのにぃ……ヒグ、グスッ」ポロポロ


323 :VIPがお送りします [] :2009/10/24(土) 21:51:18.95 ID:EWvYjDKeO
以上、完でした




出典:女「全部……そう全部、男くんが悪いんだよ?」
リンク:http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/SS_2009/1256373835.html

(・∀・): 89 | (・A・): 51

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