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2005/08/09 19:02 登録: 真
高校1年の夏休み。 俺は小さい頃から患っていた肺炎を治療するため、T大付属病院に入院した。 ガキの頃は体が小さく、手術するといっても体力がないので、危険だ ということで体力がついた高校まで先延ばしにした。時々激しい熱や発作が起こって死にかけたが、周りの人たちのおかげで何とか助かっていた。
軌道修正しますねw
俺の病室は6人部屋。 隣りに小さい男の子・太一で、向かいが同年代くらいの明るい、可愛い感じの女の子はるかちゃん。あとは優しいじいさん、ばあさんなどだ。 母ちゃんが着替え、スリッパなどを置いて、「また明日来るね」と言い残し、家に帰った。俺は部屋にいてもつまらないので、ロビーの売店や中庭を散歩していた。 夕方になり、薬の時間なのでテレビカードを買って病室に戻った。
部屋に入るなり、はるかちゃんと太一が仲良く話していた。
「お姉ちゃん強いね!」太一が言う。「あたしなんか弱いわよw」とはるかちゃん。
俺は人見知りなので話に入る事が出来ず、ベッドでテレビを見ていた。
すると太一が「お兄ちゃんも一緒にやろうよ! ババ抜きw」と誘ってくれた。
「えぇ、俺はいいよ」と断ったが、早く打ち解けたかったので参加させてもらった。
そこでお互いに自己紹介をした。はるかちゃんは俺と同じ16歳で、バレー部。病気は風邪+軽い貧血?な感じで数日入院するだけだという。 太一は6歳でゲームが好きな可愛いやつ。病気は盲腸。 皆、回復の見込みがあるのでそんな深刻な雰囲気にはならなかった。
俺たちはとても仲がよくなり、テレビそっちのけでオセロ、カードゲームなどをして楽しんでいた。俺はすぐに、はるかちゃんの優しい性格と、明るい笑顔に惹かれていった。
はるかちゃんもそんな感じがした。俺たちは恋愛の話、将来の話について語ったりした。
「真君(俺の名前)は何になりたいの?」とはるかちゃんが言った。
「俺はテレビ局で活躍したいなぁ。はるかちゃんは?」と俺。
「はるかでいいよwあたしは洋服を作りたいな。いっぱいおしゃれしたいし。」
「そっか。頑張ろうね!早く病気を治して!」
「うんw」 こんな他愛も無い会話が楽しみの1つでもあった。
ある日、医者の判断ではるかの退院が延びた。 はるかは不安な顔を見せなかったが、俺には、凄く恐いというのが分かった。 はるかの母親を見ても分かる。少しいつもと違う、静かな感じではるかと話していた。 しかしその後何もないので、それほど心配ではなかった。
太一の退院の日。俺たちは嬉しさ半面、寂しさもあった。 太一は泣きながら「お姉ちゃん達、ありがとね」といってくれた。 「元気でね!バイバイ」と泣きながら言うはるか。
俺も「じゃあな。楽しかった。明日の手術頑張るからな!」といい、握手をして別れた。
太一が退院して、病室には5人になった。俺は明日手術なので、夕食を食べずに寝る準備をした。 すると「真!ちょっと来て!」とはるかが手招きしている。 屋上の、隠れ家のような所まで連れて行かれ、何かとたずねると「明日、手術だよね。頑張ってね! はいこれ。」
ミサンガを貰った。 そういえば太一もつけてたっけ。「お守り。しかもあたしと同じなんだから、成功しないわけが無いw」
「ありがとう。頑張るね」と言うと、俺の手をつかんで「絶対だよ。もぅいなくなるなんで嫌だから。。。」と泣きそうな声で呟いた。はるかは太一が来る前、1人で寂しい思いをしていた。
「ふふw分かってるよ」 俺は無意識に彼女を抱き寄せた。 もうすぐ日が沈む。
手術の日。朝起きて、麻酔を打たれて手術室に運ばれる。酸素マスクをさせられると急に眠くなった。 起きると、無菌室にいた。「真、真!?」母ちゃんの声がする。親父と母ちゃんが俺の手を握る。どうやら手術が終わって16時間くらい眠っていたらしい。
数日後、無菌室から出て、懐かしい病室に帰った。 はるかがいない。俺は嫌な想像をしてしまい、急いで院内を探した。 ナースの方に聞いても、答えてくれない。行き着いた場所が屋上のいつもの隠れ家。
頭に包帯、網をかぶった人が立っていた。 はるかだ。 ボーっと立ち尽くすはるか。
俺は悲しくは無かった。彼女が存在してくれていたという事実が、そこにあったからだ。
俺は思わず「はるか!」と叫んだ。はるかは振り向いて、笑ってくれた。
走ってはるかに駆け寄る。「どうしたの?」聞いていいのか迷ったが、口からでてしまった。
「わかんない。 こんなになっちゃったw 遅いよ。。」はるかが泣いた。
「ゴメン、ゴメン。。」俺は何回もはるかに謝って、思いっきり抱きしめた。
母ちゃんとはるかのお母さんは仲がよい。そのせいか、俺の母ちゃんは俺にだけ説明してくれた。 白血病-
鳥肌が立った。 そんな恐ろしい病気がこんなに身近な、たいせつな人にふりかかるなんて。。
俺は絶望と同時に、助けてやりたいと強く思った。しかし何をしてやれるか分からずただ祈るだけだった。
はるかが、俺の向かいのベッドで衰えていく。咳き込むたびに介抱した。 一緒に寝たりもした。お互いの気持ちを確かめなくてもわかっていた。毎日人目を盗んでキスをした。
それが精一杯で、一人で泣いた日もあった。
俺の退院の日。はるかは泣いていた。俺も涙が止まらなかった。 俺は地方から来ていたので、
毎日会うことが出来ないのだ。 俺たちを繋ぐのは、メールしかなかった。
毎日メールした。毎日電話した。俺は心から、彼女を愛していた。
しかし、ある日突然音信不通になった。 嫌な想像が脳裏に走った。すぐに病院に電話した。
すると
「井上はるかさん・・・今は532の部屋にはいませんが・・」
母ちゃんに頼み、次の日、病院の532の病室に向かった。 彼女のベッドは綺麗に整理してあった。じいさんに聞くと「一昨日、亡くなったそうじゃ。」
俺は信じられずに屋上へ走った。いつもの場所に、手紙とミサンガがあった。
手紙を開いた。
「真へ。
楽しかったよ。 あたし、白血病だったみたい。 でも今はもう恐くない。たとえあたしがいなくなっても、真を想っていれたんだから。あたしのことは忘れちゃ困るけど、心の隅においておいて笑 本当にありがとう。ばいばい」
俺は、その場でただ、泣いていた。 そして今でも、はるかを想っている。
はるか、本当にありがとうね。
読んでいただいてありがとうございました。 俺は、はるかを心の片隅に想いながら、前に進みたいという気持ちで投稿させていただきました。 頑張ります。

(・∀・): 315 | (・A・): 86
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