遺体からカード盗んだ大阪市職員、急死

2012/07/14 16:43 登録:  

【衝撃事件の核心】
遺体からカード盗んだ大阪市職員 “闇”抱えたまま急死
2012.7.14 07:00 (1/5ページ)[westナビ]

逮捕後に急死した副参事が勤務していた大阪市住吉区役所=同区南住吉
 身寄りのない遺体から所持品を盗むという、人の道を外れた犯罪。しかも、容疑者は区役所で遺品管理を担当している大阪市職員だった。死亡男性のキャッシュカードで預金を引き出したとして、大阪府警は6月27日、窃盗容疑で同市住吉区役所保健福祉課副参事の男(55)を逮捕した。大阪市では、河川事務所の職員が清掃作業中に拾った現金を「ネコババ」した事件も記憶に新しく、またもや醜い犯行が明らかになった。男は逮捕後、上司に「ローンの返済などに苦しんでいた」と語った。しかし、その後に急死。魔が差したのか、後悔の念はあったのか。事件の全容解明は困難な状況となった。


引き取り手のない遺体


 犯行が発覚したのは、偶然だったのかもしれない。

 今年1月、70代の無職男性が大阪市住吉区内の飲食店で食事をのどに詰まらせ、病院に搬送されたが数日後に死亡した。

 男性は携帯電話を所持しており、親族の番号が登録されていた。しかし、府警が、身元確認などのため連絡を入れると、「付き合いがないので、うちとは関係がない」。遺体の引き取りも拒否し、住吉区役所が「行旅(こうりょ)死亡人」として取り扱うこととなった。

 行旅死亡人とは、住所や氏名が分からず、かつ親族などの引き取り手がない死亡者。死亡場所の市区町村が葬祭会社に依頼して火葬を行い、官報に遺体の特徴、発見状況、所持品などを記載する。大阪市では平成22年度で75人いたという。

 決まりどおり、男性の遺体は区役所が引き取り、荼毘(だび)に付された。普通なら、ここで話は終わっていたかもしれない。


死んだはずが現金引き出し


 しかし3月になり、区役所の別の部署の業務に関連し、男性に娘がいたことが新たに判明。娘が遺品のキャッシュカードで男性の銀行口座の残高確認をしたところ、死亡しているはずの1月中旬に、数十万円が引き出されていた。

 「誰かが勝手にお金を引き出している」

 娘は慌てて、大阪府警住吉署に届け出た。

 逮捕された副参事は、行旅死亡人に関する区役所の業務を1人で担当しており、火葬の段取りや遺品整理などを一手に引き受けていた。男性の娘が遺骨や遺品を引き取った際に対応をしたのも、もちろん副参事だった。

 残高確認をした娘から届け出を受けた府警は、窃盗容疑で捜査を開始。男性が死亡した後に預金が引き出されており、その間にキャッシュカードを管理していたのは副参事。当然、捜査は副参事を軸に進んだ。

 すると、区役所や副参事の自宅周辺のコンビニの防犯カメラに、マスクで顔を隠して現金自動預払機(ATM)を操作する副参事とよく似た男の姿が映っていた。さらに、このATMの使用履歴から、死亡男性のキャッシュカードが使われていたことも判明。府警はほかの捜査結果などとも合わせ、副参事を窃盗容疑で逮捕した。


「ローンの返済が苦しくて」


 大阪市によると、行旅死亡人は火葬の後、無縁仏などとして埋葬。同市の場合、遺骨を1〜2年間保管した後、毎年9月に市設南霊園(同市阿倍野区)に納骨される。

 無縁仏はこの10年間で増加しているといい、14年には900件だったのが、23年には2倍近くの1737件となった。同市の担当者は「家族や近所の人たちとの絆が薄らぐなか、無縁仏は今後も増え続けるのでは」と話す。

 今回の男性も、親族らから看取られることなく亡くなった。副参事は、そんな境遇の男性から、キャッシュカードを盗んで現金を奪い取った。果たして、どんな思いで犯行に及んだのだろうか。

 逮捕後、同署で面会した上司の市職員(59)によると、副参事は「職場にも亡くなった方にも迷惑をかけた」と謝罪。さらに、「車や自宅のローンなどの返済に苦しんでいた」と動機を明かしたが、「ほかにやっていないのか」と追及すると、黙り込んでいたという。


事態は急変


 逮捕されたことで反省し、捜査も順調に進むかと思われた矢先、事態は急変する。

 副参事は6月27日の逮捕後、1週間が経過したころから、食欲不振や睡眠不足などの体調不良を訴えるようになっていた。7月6日に血液検査を実施したところ、腎不全と診断された。すぐにも入院治療が必要だと判断されたため、勾留停止となり治療が始まったが容体は回復しないまま、8日午前1時に死亡した。

 面会した上司は「(副参事は)すごくやつれていて見るからに衰弱していた。逮捕後は食事ものどに通らず、眠ることもままならないと話していた」と振り返る。容疑者が死亡したことで、事件の全容解明はほぼ不可能となった。


過去にはごみから現金着服も


 回収したり、預かり保管中のものを盗む。手癖の悪い犯罪は、大阪市では珍しいことではなかった。

 22年11月、報道機関などに動画が持ち込まれた。市環境局河川事務所の職員が河川の清掃作業中、回収したごみの中に紛れていたかばんや財布の中から現金を抜き出し、水で泥を洗い流している様子が映っていた。職員らは拾った現金を着服していたのだった。

 その後の市の調査で、回収したブランド品のバッグを自分のものにしたり、各種カードのポイントを勝手に利用したりする行為が次々と判明。27人が関与しており、うち横領した金額の多かった6人が、懲戒免職となった。

 今回の事件は組織ぐるみだったとはされていないものの、遺品管理などの業務は副参事1人に任されており、犯行を容易にできる環境があったともいえる。

 上司は「副参事のことを信頼しており、1人で業務を任せていたことがこのような事態につながってしまった。今後は複数の担当者を置くなどして再発防止に努めたい」と話した。



出典:逮捕前はいつばれるか恐怖におびえ、逮捕後は極めて強度なストレスに襲われ命を縮めた。これぞまさしく因果応報と言えるのでは?
リンク:http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120714/waf12071407010002-n1.htm

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