メリー苦しみ抜いた末にこの世で最も残酷な結末が貴様に降りかかりますように
2012/08/16 14:41 登録: 痛(。・_・。)風
「え?」彼女は目を丸くした。
「昨日がイヴだから、今日はクリスマスでしょ?」
「違うよ」言い終わらないうちに僕は答えた。「キリストの誕生日なんて、僕にはどうでもいい」
「なにそれ」声が裏返り、目がヒクヒクと痙攣している。わかりやすい怒り方だった。
「じゃあ何であたしと一緒にいるのよ!どうでもいい日に呼ばないでくれる!?」
彼女の目は怒りから、軽蔑と悲しみに変わっていった。
「バカみたい。何でこんな男と――」目に涙を浮かべた彼女が踵を返し、駅の方へ向かおうとしたその時、いきなり僕は彼女を抱きしめた。
あたたかい。
コート越しの温もりを数秒間堪能したあと、彼女がサッと僕から離れた。
「何すんのよっ・・」
僕は柔らかな微笑みを絶やさぬまま、彼女に顔を近付けた。怒っていいのか、なにをしていいのか戸惑って目を泳がせている。
困惑の中で不思議と僕らは見つめ合う。
彼女の顔の筋肉が緩んできたので、僕は彼女の鼻の頭にちょこんと指を乗せた。
「今日は」はっきりと彼女の瞳を見つめた。
「君がいちばんきれいな日、だろ?」
メリークリスマス。
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