あと17羽

2012/08/20 19:44 登録: 痛(。・_・。)風

母さんの好きな秋桜が咲く季節になりました。


母さん、いまね・・
すごく会いたいの。


いまでもね、
堪えきれなくなるの。

母さん、ちょっとだけ
聞いてください。




母さん、私知っていたよ?

髪の毛が抜け始めた日
私の前では「あっちゃ〜!次に生えてくるときは金髪かな??」って
笑っていたけどさ、
風呂場で泣いていた事。


母さん、私気づいていたよ?

入院する前に必ず書いてくれたあの置き手紙・・
いつも泣きながら書いてたんでしょ?

だって、滲んでいるよ?
字が・・震えているよ?



なのに、
どうして私を励ます言葉ばかりなの?



母さん、私つくっていたよ?

入退院の繰り返し、
悪化していく身体、
苛立ち・・

「千羽鶴くらい折ってくれたって・・
女の子なんだからそれくらい・・」って
泣きながら言ったよね。


私ね、
ずっと、折っていたよ。
ひとりで、折っていたんだよ。
内緒にしていたんだよ。


早く完成させたくて
早く見せてあげたくて

私ね、必死に折ったんだよ。



でもさ

母さん、あなたは
待ってはくれなかったね。


あと17羽だったんだよ。


母さんの冷たくなった手を離して
残った17枚の折り紙に手をつけたよ。


でも変なんだ・・

黒と白の折り紙しかないの。
母さんの好きな黄色とか赤色とか
たくさんたくさんあったはずのに
黒と白しかないの。


ねえ・・どうしてかな?


あれから4年。


千羽の鶴は今日も母さんの微笑む隣で羽ばたいています。


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