バイトから40歳でH.I.S.社長に!

2012/09/29 23:27 登録: えっちな名無しさん

◆H.I.S.社長 壮絶バイト生活 水商売、大道芸人、大工…あらゆる仕事が役立った
インタビュー H.I.S.社長 平林 朗 氏
「人がいないところで戦った方が、効率が良いし経験にもなる」

旅行代理店大手、H.I.S.の社長である。4年前、40歳という若さで抜擢されたのだが、その入り口は“アルバイト”。就職活動もしていない。異色のバイト経験の持ち主だ。

「最初のバイトは高校1年のとき。学校に行く前、当時新宿にあった淀橋青果市場でセリの手伝いや荷運びをした。いろんな知識が得られたし、仕事という感覚はありましたね」

さらっと言うが、当時住んでいたのは練馬区光が丘。早朝(というか深夜)、約10kmの道のりを自転車で向かう。一仕事終えて通う高校は杉並区の堀ノ内。もちろん移動は自転車だ。しかもそれだけでは終わらない。

「放課後は高円寺の寿司チェーン店。当時は元気だったから苦でもなかったけど、家に帰ると夜10時。銭湯が閉まっていて風呂に入れないのはつらかったね」

懐かしそうに笑うが、苦学生の苦労話には落ちない。

「かわいがってもらったけど、『効率悪いや』って気がつきましてね。当時、青果市場が時給600円、寿司屋が500円くらい。こりゃダメだと」

「これは効率が悪い」の繰り返しからアメリカへ

決して短絡思考ではない。ひと通りやって「効率が悪い」と気づくと思い切りよく舵を切る。パチンコにハマったときも「研究してだいぶ稼いだ」けど、打って稼ぐより「効率の良い」方法をすぐに見つけてしまう。たとえば攻略法の指南ビジネス。でもひと所にはとどまらず、夜の世界にも足を踏み入れる。それはプールバーのバイト。頭角を現して店長を任された。当時はビリヤード全盛期。普通にやっていても経営は左うちわ…にもかかわらず、ここでも“気づいて”しまう。ビリヤード台を売った方がいいんじゃないかと。大理石製で1台100万円が相場のビリヤード台を30万程度で作ることに成功。飛ぶように売れたという。

「でも、やっぱり夜の世界の付き合いが肌に合わなかったんです。このままじゃいけない。アメリカに行こうと思いまして」

渡米。しかしビリヤードで稼いだ金はしょせん“あぶく銭”だった。半年で無一文になる。

「言葉がしゃべれないから、なかなか働く場がない。いろんなことやりましたよ。 当時住んでいた所はメキシコからの不法移民が多くて、たいてい大工仕事をしているんです。見よう見まねで手伝って仲間に入れてもらったり、氷を売っている黒人を手伝ったり。青果市場のときもそうですが、若かったりめずらしかったりすると、興味持ってくれて優しくしてくれるんですね。だんだん、英語も覚えていく」

大道芸人、電話番、なんでも挑戦した。そしてまた気づく。「効率が悪いな、と」。

「じゃあ割の良い仕事はなにかというと、ツアーガイドなんです。でも日本人コミュニティの中では常識なので、ある種の利権になっている。だから他人がやりたがらないところから入っていくわけ。早朝に着く便のお迎えとかね。そのうちオプショナルツアーを誰よりも売るようになって、旅行会社からご指名がかかるようになりました」

“効率化”の一環で起業もしたが、気づけば25歳でパスポートも期限切れ寸前。このままでは「そんなにハッピーになれそうもない」と見切り、帰国を決意する。

「実は会社員に憧れがあったんです。当時のトレンディドラマに出てくるような(笑)。で、ツアーガイドをしていたこともあってH.I.S.の面接受けたら、高卒じゃダメだけどバイトならいいよってことでね。頑張ったら正社員にしてくれるというから頑張りましたよ。結果的には1年で正社員になりました」

といっても「頑張った」レベルが半端じゃない。経歴を買われバイトにもかかわらずバリ島に赴任。手配会社の立て直しを命じられ、現地で奮闘。

「結局、現地に支店を作ることになるんですが、それまでのバイト経験がぜんぶ役に立った。現地の生活にすぐになじめたし、ガイド時代のノウハウを教えてあげると、現地の人に尊敬されるわけですよ」

かくして今日までの礎を築く。破天荒極まるバイト時代だが、一本筋の通った“生き方”なのだ。

「『これじゃダメ。効率悪い』と思うことが多いんです。みんなと同じ土俵で戦うより、人がやっていないことをやった方が効率が良いし経験になる。あとは若さと勢いね。今考えると、怖いもの知らずだったなって思いますよ。でもアメリカだってアジアだって、行けば楽しいって声高に言いたい。行けば何かハプニングがあってもなんとかするしかないでしょ。どんな仕事が自分に向いてるかなんて、やってみなけりゃわからない。だから若いときにアルバイトをする。そして旅行でもいいから、海外を見ておく。これはとっても重要なことです」
(吉州正行)

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