空き教室

2012/12/29 03:47 登録: えっちな名無しさん

俺の通っていた中学校は、いわゆる団塊ジュニア世代が
大量入学するのに備えて建てられたため、かなり大きな校舎だった。

そのため俺が通っていた頃は生徒数も減少しているために幾つもの空き教室が存在した。
その中学校は若干丘陵地に建てられているため、校舎入り口が建物の2階部分に存在していたため、
空き教室は全体的に日当たりのよくない1階部分に多かった。(校庭も2階と同じ高さにあった)

一階の空き教室は5つもあり、使わない卓球台とか大きな地図とか
体育祭やら文化祭なんかで使う様々な用具が無造作に置かれたりしていた。
そして普段は部屋は使わないので全て外から鍵で閉ざされていた。

5つあるうちの2つの部屋は、廊下側の窓の鍵が開いていたので、それを知っている一部の生徒が無断で
侵入して隠れてタバコを吸ったり、シンナーをやってたり、中にはそこでセ●クスをするツワモノもいた。

廊下側も外側も窓には黒いカーテンがかかっており(全ての部屋で)
無断侵入してもこれをキチッと閉めてしまえば外からわからない。
(入った後にその窓の鍵も閉めてしまえば後から入って来るヤツもいない、
もっともこんな場所、普段あんまり遊びに行かなかったけどね)

俺もたま〜にこの空き部屋に行ったことがある。
大概は部活をサボっての暇つぶしで、ちょいとタバコを吸ったり
(時効)エロ本読んだり、ビール持ち込んで菓子食いながらしゃべったりしていた。

一応電気も通っているんだが、外が暗くなってからそれを点けると
教師にバレてしまうので日のあるうちはちょっとカーテンを開けて外の光を取り入れたりしていた。
どっちにせよ北向きで暗いし、外の窓の向こうはすぐに木々が生い茂った丘陵が
立ちはだかっており、鬱蒼とした雰囲気。あまり長居したい場所ではなかった。

生徒間では、あのあたりは昔墓地で、今も幽霊が出るとか、
ここは戦国時代の古戦場で戦死した武者の怨霊が出るとかいろいろとあったが、
実際は別にそういう曰く憑きの場所ではなかった。
(余談だけど、隣町に有名な心霊スポットがあり、そっちのほうが有名だった)

ところがある日、どうやらあの場所に何かがいるんじゃないかっていう噂が立った。
曰くカーテンの位置が前の日から少し変わってるとか、夜中に学校の傍を通りかかった時に、
窓に薄明かりが灯り、ゆらゆら揺れ動く人影が見えたとか、そういう話だった。

それは、例の「生徒が侵入できる部屋」のことなんじゃないのか?
カーテン動いてたのも外光を取り入れるために動かしてたヤツがいたんだろうし、
夜の明かりも、人を脅かすためのデマか、本当だとしても、たぶん夜中に残ってた生徒がいたんだろう。
俺自身、友人と肝試しに夜この部屋に入ったことあるし・・・

ところがその「噂の部屋」は生徒が無断侵入できる2つの部屋ではなく、
完全に閉ざされた残りの3つの部屋だという。まさかね〜。
結局、生徒の噂もあるし、ちょうどその時期に1学期も終わりを迎え夏休みを前に
大掃除の必要かな、ということで、その「開かずの間」を開け、掃除することになった。

運が良いのか悪いのか、「開かずの間」を掃除することになったのは、俺のクラスだった。
たまたまその「開かずの間」の管理を担当してたのが俺のクラスの担任だったからだ。
放課後、担当することになった班(俺も含まれる)がそこに向かった。

クラス全員で行ったわけではなく、学年全体で学校中のアチコチの掃除をそれぞれ分担していたため、
その「開かずの間」に向かったのは、俺を含めて10人ほどだった。

「開かずの間」でない最初の2つの「開かずの間」には特に異変は無かった。
もっとも大量に発見されたタバコの吸殻やビールの空き缶などは先生にとっては
大異変であったが(あとで全校集会でこってり絞られることになる)

そして遂に、本当の「開かずの間」である。
3つあるうちの最初2つは別に何とも無かった。様々な用具が雑然と置かれてあり、
誰も侵入した様子がないのは、一様に降り積もったホコリの量からも明らかだった。

そして残る部屋・・・一番奥、一番北の、一番薄暗い部屋。
じつは此処こそが例の噂だ立った曰く憑きの部屋である。
先生が扉の鍵をガチャガチャ言わせながら開けた・・・。

元々校舎全体の陰に在って薄暗い場所の上、真っ黒のカーテンで閉ざされていて部屋は闇に包ま
れた様だった。
・・・そして鼻に付くすえたような悪臭。なんのニオイだ?!
俺は1番に部屋に入った。なんか好奇心で勢いづいてしまったのだ。

先生が部屋の明かりを点けた。
・・・・何だこれは!!・・・・(岡本太郎風に)
そこにはボロボロになった布団らしきモノ。
煮しめたように汚れた服らしきモノ。
ウイスキーの空きボトルや、中の残り物が完全に腐りきった開けられた缶詰、
なぜかボロい鍋や汚れ切った皿なんかもそこにあった・・・・

エロ雑誌やらボロボロの歯ブラシやら日用品も散乱していた。
壁から壁にボロいロープが張られ、そこに汚れたタオルや下着らしきものが吊るされていた・・・。

この部屋には生徒は誰も侵入できなかったはず・・・なのにこの有様・・・・。
誰か住んでいる・・・・?!
俺は唖然として立ち尽くしてしまった。普段、気の強い親友のNもいたが「何だよ・・これ・・」と
言ったきり黙ってしまった。女子は皆気味悪がって、部屋に入ろうとしない。

先生もどうしていいのかわからないままボーゼンとしている。一緒にいたYという女子が、
「先生、誰か呼んできた方が良いんじゃないですか・・・」と、
消え入るような声で言うと、ハッとしたように我に返り、「そうだな・・うん・・そうだ!」といって
誰かを呼びに駆け出してしまった。

・・・普通、生徒を使うだろ? この状況で生徒だけを此処に残すか?・・・
どうやら今は誰もいないことがわかると、俺やNは部屋の奥へ入っていった。とにかく酷いニオイだ。
脂汗の酢酸臭、他にも垢じみたニオイ、カビくささ、生臭さ・・・・。

床に学校指定のジャージが落ちているのがわかった。えらく汚れていたが、間違いなくそうだ。
何だろ? そういって、手にした箒の柄でそれを引っ掛けて持ち上げてみた・・・。

何かがこびり付いている・・・カピカピに乾燥したものや、乾燥しきれずにまだ粘度が残っているのもあった。
「これ、・・・もしかしてザーメンじゃねえ・・・・?」
何時の間にか隣に来ていたNが言った。・・・そして俺もそう思った・・・。

よく見ると床のあちこちに指定のジャージや体育着がある。なんと制服のブレザーまである。
それらは全て、女子のものであった・・・・。
「ウゲッ!!」
俺は急に吐き気がして、手にしていたジャージを箒ごと床に放り投げた・・・。
 
その後、警察がきた。
部屋中いろいろと調べ回ったみたいだけど、結局その「侵入者」は発見できなかった。
どこから侵入したのかも分からなかったようだ・・。

まもなく夏休みに入ったが、休みを前に学校側から「不審者には注意」と強く勧告があった。
もちろん生徒のほとんどはそれを強く「肝に銘じた」はずだ。
後にあの部屋も含め全ての部屋は、各クラブの部室として開放された。

使わないより使ったほうがいいという学校側の判断だろう。
で、例の部屋だが、そこは野球部の用具入れになった。
女子ソフト部の部室って話もあったけど、立ち消えになった。
そりゃろうだろ。ザーメンまみれだったからな、あの部屋・・・。

出典:そんな部屋を女子に使わせようとするかな普通
リンク:2ch

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