タクシー。

2005/12/01 00:19 登録: えっちな名無しさん

ある寒い夜、髪の長い女が道路の脇に立っていた。
その女は、タクシーを前髪の間から見つけると、今にも折れそうな華奢な腕をあげました。
タクシーは、停まってドアを開けると女に「どちらまでですか?」と聞いたのです。
女は、「○○の交差点を右に曲がり、それからは、真っ直ぐ行って下さい・・・」
と、夜の闇の中に吸い込まれそうなか細い声で答えたのです。
運転手は、「わかりました」というと車を発車させました。
また、運転手が、「今日は、寒いですねぇ〜、」と言っても、女は頭を下げたままで髪の毛で顔は見えなく、返事もしなかったのです。
○○の交差点を右に曲がり、ずっと真っ直ぐ行っているとどんどん山の中に入っていきました。
運転手は、「本当にこっちでいいんですよね?」と聞くと女は、「・・・・はぃ・・・」と答えるだけでした。
運転手は、そのまま、30分くらい車を走らせていると突然女が、「ここで・・・」
と言うのです。しかし、周りは真っ暗で少し先に薄暗い家の明かりがあるのが見えるだけです。
運転手は、車を停めてドアを開けると、女は、何も言わずその明かりのほうに歩いていきました。
運転手は、一時ぼーっと女のほうを見ていましたが「エッ!?ちょっとお客さん!お金払ってくださいよ!」と女がお金を払っていないのに気づき追いかけました。
女が家に入っていくのを見て運転手は、家に走っていきました。
玄関のチャイムを鳴らすと、しばらくの沈黙の後、「はい・・・」と1人の老けたおばさんが出てきました。
運転手は、「あの〜、娘さんだと思うんですが、タクシーのお金を払わないで降りてしまったんですけど。払ってもらえますか?」というと、そのおばさんは、「娘?髪は長かったですか?」という。運転手は、「はい。そうですけど」と言うとおばさんは、「何かの間違えではないでしょうか?私の娘は、一ヶ月前に仕事の帰りのタクシーの中で事故にあって死にました・・・・。」運転手は、「エッ?本当にですか!?」と言った。
おばさんが、少し動くと玄関から仏壇が見えました。その仏壇を指差して「拝んでいきますか?」と聞いた。運転手は、「いぇ・・・、結構です。失礼しました。」と言い帰りました。
おばさんは、ドアを閉めるとニヤ〜と笑い、「由紀!帰ったわよ!運転手さんは」と家の中に呼びかけました。すると中から「やったね〜!また成功したじゃん」とさっきの女が出てきました。
そうです、女はタダ乗りするために父の仏壇を使い嘘をついていたのです。
女は、「お母さん演技上手いじゃん!」というと母もまんざらでもなさそうに、「そ〜お?女優になっちゃおうかしら」とおどけていました。すると女が「あっ!?タクシーの中にハンドバッグ忘れちゃった!!!やば〜い。どうしよう??大切なものが入っているのにぃ〜。」と言いました。
母は、「あら〜〜!!!もうしょうがないわねぇ。電話して本当のこと話して返してもらいましょう。」と言いタクシー会社に電話をしました。
母、「もしもし?○○タクシーですか?」
タクシー会社、「はい。○○タクシーです。」
母、「あの〜、先ほどご利用させてもらったんですけど、車内にハンドバッグをわすれたんですけど。」
タクシー会社、「運転手は、なんていう名前の人だったか覚えていますか?」
母、「え〜っと、、、由紀、なんていう名前のひとだったか覚えてる?
由紀、「たしか〜・・・・・あっ!樋口さんだった!!」
母、「樋口さんだそうですけど。」
タクシー会社、「えっ????本当に樋口ですか??間違いないんですか?」
母は不思議そうに「・・・・そうですけど」
というとタクシー会社の人は、「こういうことは、あまり言いたくないんですけど、
樋口なら一週間前に交通事故で亡くなったんですよ・・・・。すみません、、、ハンドバッグは一応探しますけど、見つからないと思いますよ。それでは」
ガチャッ・・・ツーツーツー・・・・・。













それから私は、タクシーを使うことはありません・・・・・。

(・∀・): 262 | (・A・): 123

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