いまそこにある危機
2013/04/09 15:31 登録: えっちな名無しさん
北朝鮮が建国以来、金王朝の独裁国家であることに違いはないが、先代の金正日と現在の金正恩は、まったく異質の指導者だ。
初代の金日成主席は、主体思想という「主席崇拝思想」でもって、朝鮮労働党を完全掌握することによって、北朝鮮を統治した。
その金日成主席が1994年に死去すると、2代目の金正日総書記は、先軍政治という「軍事優先政策」でもって、朝鮮人民軍を完全掌握することによって、北朝鮮を統治した。
その金正日総書記は、2011年末に突然死した。
続いて北朝鮮は、3代目の金正恩第一書記の時代に入った。
金正恩は、経済建設という「経済発展戦略」でもって、内閣を完全掌握することによって、北朝鮮を統治しようとした。
だから昨年6月に、「6・28経済措置」を出したのだ。
だがこの戦略は、早くも昨年夏をもって、完全に破綻した。
最大最強勢力の120万人民軍が立ちはだかったからである。
中国の改革開放政策は、?小平という強力な指導者のもと、次の5つの段階を踏んで成功した。
?対米関係改善 → ?軍縮(軍人及び軍権の縮小)→ ?経済特区設立 → ?農業分野の改革開放 → ?商工業分野の全国的改革開放である。
つまり、何はともあれ、世界最強のアメリカを味方につけることが先決なのである。
ところが現在の金正恩は、アメリカを完全に敵に回している。
これでは経済建設など不可能である。
また、先代の金正日は、北朝鮮最大最強の組織である朝鮮人民軍を統轄するため、軍を3分割した。
実行部隊である総参謀部、後方部隊である人民武力部、そして思想部隊である総政治局である。
この3つの組織を同列にして、それぞれの忠誠を競わせることで、「3頭馬車」を巧みに御していったのだ。
だが御者が金正恩という若造に変わるや、当然ながら「3頭の馬」は勝手に暴れ出した。
だが素人の手綱捌きでは、暴れ馬を御していくことができない。
そこで御者は苦悩の果てに、ムチを力一杯振り上げて、全速力で走り抜けようとする。
だから馬車は暴走し、どこへ吹っ飛んでいくか知れない。それがいまの北朝鮮の姿なのである。
具体的には、
昨年12月12日に長距離ミサイル実験
今年2月12日に3度目の核実験
3月8日に南北不可侵合意の無効化宣言
11日に休戦協定白紙化宣言
26日に1号戦闘勤務態勢(戦時態勢)宣言
27日に南北間の軍の通信回線遮断
29日にミサイル部隊に射撃体勢を指示
30日に南北戦時状態を宣言
31日に核・ミサイル開発続行を党議決
4月2日に寧辺の核施設再稼働
3日に開城工業団地の閉鎖
中距離弾道ミサイルを東部へ運搬・・・。
以上のように、次々と開戦への"水位"を上げているのだ。
北朝鮮にとって最大の誤算は、これまで最大の味方と頼っていた中国が、敵に回ったことだろう。
金正日と金正恩がまったく異質の指導者であるように、胡錦涛と習近平もまた、まったく異質の指導者だ。北朝鮮はそこを見誤った。
中国の思わぬ離反によって、軍糧が枯渇し、ますます戦争に追い立てられたのだ。
胡錦涛は北朝鮮との関係を「特別な関係」と見なしていたが、習近平にとっては「ただの隣国」である。
もっと言えば「属国」だ。属国のくせに宗主国の言うことを聞かず、物騒な核やミサイルの実験を繰り返すのだから、我慢がならない。
4月4日に、ケリー国務長官と楊潔虎国務委員が電話会談を行ったが、この場で「金正恩除去」を話した可能性がある。
中国は3月7日に採択された国連制裁決議に基づいて、国内の北朝鮮資産の一部を凍結し、北朝鮮への重油・食糧・肥料の援助を一時ストップした。
そして審陽軍区の人民解放軍を大量に、1300?に及ぶ中朝国境へと移動させた。
こうした動きは、米中で協力して「金正恩除去」に入ることを示唆しているようにも思える。
実際、アメリカは迎撃ミサイルをグアムに配備し、イージス艦を西太平洋に派遣し、爆撃機などを準備し、韓国へF-35など最新鋭の戦闘機を売却する。
12日からは、ケリー国務長官が、日中韓を歴訪する。
今後、北朝鮮は、こうした包囲網に対抗するため、最後の抵抗を試みるだろう。
具体的には、次に挙げるようなことを同時に行ってくると、私は見ている。
?NLL(北方限界線)以南の、いわゆる「西海5島」への砲撃
?日本海(半島の東海岸)への中距離弾道ミサイル「ムスダン」発射
?首都ソウルへの全面的サイバーテロ
?ソウルを始め韓国の諸都市でのテロ
つまり、アメリカ軍が出動して米朝全面戦争とならないギリギリの蛮行に及ぶのである。
北朝鮮がこうした凶行に及ぶ日時は、2つの条件を満たす日だ。
一つは、アメリカの休日である。
1950年の朝鮮戦争は、アメリカ軍の休日である日曜日の明け方に、朝鮮人民軍が38度線を南侵して火蓋を切った。
同様に考えると、アメリカ軍が休む日となれば、土曜日夕方から日曜日にかけてが一番危ない。
もう一つは、「9」にちなんだ日だ。
儒教の伝統を色濃く受け継いでいる北朝鮮では、儒教で言う「九州」(全世界)にあたる9の数字を、まるで「神の数字」のように重要視している。
例えば、来る4月14日は、4+1+4=9で、おまけに日曜日である。
さらにこの日は、「太陽節」(4月15日の金日成誕生日)の前日であり、北朝鮮としてはこの上なく「佳き日」だ。つまり、最も危険な日と言えるだろう。
重ねて言うが、金正恩は、本気で戦争を起こそうとしている。
もし第2次朝鮮戦争が勃発したら、日本は対岸の火事でいられるはずもない。
外国人投資家の一斉離脱で、アベノミクスは即刻崩壊だ。
北朝鮮の核やミサイルばかりか、難民から疫病に至るまで、何が襲ってくるか知れない。
加えて、日本国内の不穏な者達によるテロ攻撃も起こるかもしれない。
「若い金正恩が何だか吼えているようだけど、どうせ狼少年みたいなものでしょう」
「仮に何かの衝突が朝鮮半島で起こったとしても、日本とは無関係でしょう」
このような意見を、政治家・官僚・大マスコミ幹部から、最近しばしば聞く。
そのような危機感のない発言を耳にするたびに、その鈍感力に哀しくなってくる。
出典:現代ビジネス
リンク:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35362?page=3

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