ホンダが新型フィットで燃費世界一を奪取

2013/09/09 10:09 登録: えっちな名無しさん

新型「フィット」vs.「アクア」を徹底比較 ホンダがHVシステム刷新で、燃費“世界一”を奪取

(C)東洋経済オンライン

 2011年末。日本の自動車業界に“彗星”のごとく現れたのが「アクア」。トヨタ自動車が満を持して投入したハイブリッド専用のコンパクトカーだ。エンジンとモーターを併用するHVシステムの最新進化によって、ガソリン1リットル当たり35.4キロメートル(35.4km/L、JC08モード、以下すべて同じ)という世界最高水準の燃費性能を達成。エコカー補助金などの追い風も受けヒットしている。2012年度(12年4月〜13年3月)は約28万台を売り、軽自動車を除く国内登録車の車名別販売ランキングで、同じトヨタのHV専用車「プリウス」を押さえて1位に輝いた。

 一方、アクアの登場まで軽自動車を除くコンパクトカー部門で、近年トップの座に居たのがホンダの「フィット」だ。2001年に鮮烈なデビューを果たし、翌年はそれまで国内登録車販売で33年連続首位だったトヨタ「カローラ」を、王座から引きずり下ろした実績を持つ。フィットは07年に2代目へ移行。プリウスという王者の存在はありながらも、近年は国内登録車ではトップ2の常連だったが、12年度は約17万台と3位に落ち、アクアに10万台以上の差をつけられた。

 このままでは済まされない――。これが本音であろう。そんなホンダの逆襲が始まった。

 「魔法のような燃費と走りを実現した」。

“魔法の王国”にあやかる

 9月5日、千葉・舞浜の東京ディズニーリゾート内に立地する舞浜アンフィシアター。ホンダの伊藤孝紳社長は、ウォルト・ディズニーが創り上げた魔法の王国になぞらえて、翌6日から全国で発売する新型フィットの誕生を宣言した。


 フルモデルチェンジ(全面改良)で3代目に生まれ変わった新型フィットは、内外装はもちろん、エンジン、トランスミッション、プラットフォーム(車台)など、すべてを刷新。中でも、「魔法のようなシステム」と伊東社長が胸を張るのが、36.4km/Lを達成したHV仕様だ。アクアを抜くべく、「世界一を目指した」(伊東社長)ホンダの意地を示す進化を遂げた。

 旧型フィットのHVシステムは、エンジンとモーターが直結している構造になっていたため、発進も加速も高速巡航も、常に両方が連動して駆動する状態になっていた。トヨタのHVシステムは2モーター方式で、エンジンを停止しながらもモーターの力で発進できるという特徴が、燃費性能の良さにつながっていた。

エンジンとモーターを必要に応じて切り離す

 ホンダは新型フィットHVで従来システムの弱点を解消。エンジンとモーターを必要に応じて切り離す機構を入れ、発進時はモーターのみ、加速や減速時は両方、高速巡航時はエンジンのみ、といった使い分けができるようになり、大幅に燃費を上げることに成功した。

 そもそも初代フィットは、それまで車体後部(リア)に位置するのが当たり前だったガソリンタンクを、車体中央(センター)に配置するセンタータンクレイアウトを採用。小さな車体で最大限の居住空間を実現するなどの商品性や、優れたデザインなどが高い評価を受けている。日本だけでなく120カ国を超える全世界で販売し、これまでの累計販売台数は487万台にも上る。

 「FIT3」を銘打った3代目は、世界最高水準の燃費性能をはじめ、「クルマづくりの常識を覆した」(伊東社長)初代と同様に、自動車業界に大きなインパクトを与える車となりそうだ。日本を皮切りに全世界へと展開し、「2016年には年間150万台の世界販売を目指す」と伊東社長の鼻息は荒い。


 そして、これから日本市場で始まるのが、アクアとの“頂上決戦”であろう。

 ホンダは、新型フィットを国内で発表する前になんと約2万5000台にも上る受注を獲得している。実車が公開されたのは5日の発表会が初めて。実車を見ていないのに、購入を決めたユーザーがそれだけいるということだ。「初代、2代目をはるかに上回る」(峯川尚専務・日本営業本部長)出足となった。

新型フィットのHV比率は約7割へ

 そして、従来モデルと異なるのはHVに対する消費者の期待の大きさ。2代目はモデル全体の販売に占めるHVの比率が4割程度だったが、3代目の新型フィットは「7割ぐらいになりそう」(峯川専務)という。販売の中心となるHV仕様のライバルは、間違いなくアクアとなる。

 新型フィットHVとアクアには、どんな違いがあるのか。東洋経済オンラインは、旧型フィットとの違いもわかるように、3モデルの主要諸元(スペック)を一覧表にまとめてみた(右図表参照)。試乗はしていないが、展示車両ベースで両方の車も見比べた。

 新型フィットとアクアを見比べ、真っ先に目につくのが価格設定だ。新型フィットHVは163.5万〜193万円。アクアは169万〜194万円。お互いにユーザーの比較検討対象になりえるため、販売現場で、ほぼ“ガチンコ勝負”となるのは間違いない。

 新型フィットHVとアクアの燃費の差は1km/L。これだけで購入の決め手となるほどの差ではないかもしれないが、9km/Lの差で、旧型フィットHVよりもアクアを選んでいたようなユーザーは、迷うかもしれない。

 内外装のデザインは好みが分かれるところだろうが、フィットのほうが高い分、車内は頭の余裕がある。半面、アクアのほうが流れるようなデザインに見える面もある。前後タイヤの距離を示すホイールベースはアクアのほうが若干長いが、センタータンクレイアウトを採用しているためか、新型フィットのほうがアクアよりも後席の余裕はあるように感じた。身長170cm程度の記者の実感では、拳1コぐらいの違いはある。


 走りはどうか。こればかりは乗ってみないと正確なことは分からないが、スペックから少しは推し量ることもできる。そもそもHVの特徴は、エンジンとモーターが得意とするところを、それぞれ補完し合うことで、燃費や走行性能を高める仕組みにある。エンジンは低速回転での燃費が悪いが、回転数を一定に保てば効率はいい。一方、モーターは発進や加速に必要なトルクを、ゼロの状態からいきなり出せるので、出足に効く。

新型フィットHVは高速性能に利点か

 この点で見ると、エンジンの最高出力はフィットのほうが大きく、アクアのほうがモーターのパワーが高いことから、高速性能はフィットのほうが優れ、出足はアクアのほうが力を感じる特性ではないかと、想定される。このあたりは、実際に乗ってみたユーザーの好み次第の部分といえるだろう。

 燃費性能で世界トップに躍り出た新型フィットHV。とはいえ、HV王者のトヨタが黙って見過ごすはずはない。当然、次期プリウスやアクアでは当然のように新型フィットの燃費性能を上回るだろう。「今日から次のクルマ作りを始める」と語る伊東社長。日本勢を中心としたHV競争は今後も過熱していく。

 (撮影:梅谷 秀司)


投稿者からのコメ
いやあ、新型フィット、マジで萌える。
これほど手放しで賞賛できる車は個人的に久しぶり。
マジで試乗が楽しみ!


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