「それでじゅうぶん」小6女児のエッセーに反響続々

2013/10/31 23:12 登録: えっちな名無しさん

「一度でいいから話してみたい」「おやすみって言う」 小6女児のエッセーに反響続々
2013.10.31 13:44 (1/4ページ)[westライフ]

文字盤のついた机で授業を受ける森琴音さん=大阪府岸和田市(松永渉平撮影)

 「神様が1日だけ魔法をかけてしゃべれるようにしてくれたら…」。産経新聞夕刊1面に毎日掲載している「夕焼けエッセー」。その1日付で掲載された大阪府岸和田市の小学6年生、森琴音さん(12)の「わたしの願い」が反響を呼んでいる。事故の後遺症で肢体不自由となり言葉も失った琴音さん。願いがかなうなら、「ただいま」と言ってみたい、お兄ちゃんに電話をかけたい、そして魔法がとける前に家族に「おやすみ」と言いたい−「それで じゅうぶん」とつづる。12歳の魂の声は、読んだ人々の心の奥深くを、優しくゆさぶっている。

 父親の淳さん(35)は「肢体不自由になるまではよくしゃべる子供でした」と話す。だが琴音さんが3歳のとき事故で心肺停止となった。一命を取り留めたが、低酸素脳症の重い後遺症で下半身はまひし、声は出るが言葉にならなくなってしまった。

 現在は岸和田市立東光小学校の6年4組で30人の同級生と学校生活を送る。しかし手を動かすのにも時間がかかるため一部の授業は支援学級「しいのみ」で受けている。発言の際は机上のひらがなの文字盤を指し示す。

 今年9月、エッセーはこの教室で生まれた。一緒に学ぶ肢体不自由の障害のある児童が書いた「一人で歩きたい、一人でごはんを食べたい、一人で字を書きたい」との詩を読んで、「わたしもおなじ」と文字盤を指したのだ。

 同学級担任の西河月美教諭(46)が驚いて、「こっちゃんは何がしたいの」と尋ねると「しゃべりたい」。そこからやりとりを続け、時間をかけてエッセーを書き上げたという。西河さんは「2人で懸命に作業をしました。こっちゃんの温かい家庭が見えてきた気がしました」と話す。

 完成したエッセーを読んだ父親の淳さんは「言葉を失った琴音の思いを初めて知った」と涙が止まらなかったという。ぜひ多くの人に読んでもらえればと、「夕焼けエッセー」への投稿を決めた。

 掲載直後から産経新聞社には、はがきや手紙、メールが次々と寄せられた。「どうか神様、かなえてあげて…」(大阪府茨木市、女性)、「あなたのエッセーで家族のありがたさを考えさせられました」(大阪府和泉市、男性)、「文章を読んでこんなにすぐ涙があふれたのは生まれて初めて」(奈良県生駒市、女性)。子供が同じ障害があるという兵庫県尼崎市の母親からは「どうやって書いたの」との質問も寄せられた。母親の成美さん(36)は「温かいメッセージをたくさんいただいて感動しています」。

 10月の運動会では組体操の輪に加わるなど、活発な琴音さんだが、一番の願いが「しゃべりたい」であるのは、「おにいちゃんとけんかしたいから」と屈託のない笑顔を見せる。残り少なくなった小学校生活でも友達とのおしゃべりが楽しみ。文字盤を使うのでなかなかスピードについていけないが、できれば「そんなんちゃうで」と“ツッコミ”をしてみたいと願う。

 淳さんは「琴音ももっと言いたいことがあると改めて気付かされた。今まで以上に時間をとり、文字盤を使って会話したいと思います」と話している。

(安田奈緒美)






森琴音 「わたしの願い」

わたしはしゃべれない歩けない

口がうまくうごかない

手も足も自分の思ったとおりうごいてくれない

一番つらいのはしゃべれないこと

言いたいことは自分の中にたくさんある

でもうまく伝えることができない

先生やお母さんに文字盤を指でさしながら

ちょっとずつ文ができあがっていく感じ

自分の言いたかったことがやっと言葉になっていく

神様が1日だけ魔法をかけて

しゃべれるようにしてくれたら…

家族といっぱいおしゃべりしたい

学校から帰る車をおりてお母さんに

「ただいま!」って言う

「わたし、しゃべれるよ!」って言う

お母さんびっくりして腰をぬかすだろうな

お父さんとお兄ちゃんに電話して

「琴音だよ!早く、帰ってきて♪」って言う

2人ともとんで帰ってくるかな

家族みんながそろったらみんなでゲームをしながらおしゃべりしたい

お母さんだけはゲームがへたやから負けるやろうな

「まあ、まあ、元気出して」ってわたしが言う

魔法がとける前に

家族みんなに

「おやすみ」って言う

それでじゅうぶん



出典:MSN産経ニュース
リンク:http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/131031/wlf13103114110010-n1.htm

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