すごい怖い思いしたからみんなに聞いて欲しい 前半
2006/01/06 00:46 登録: えっちな名無しさん
ちょっと俺も軽率なところがあったのかもしれない
新年ということで浮かれていた部分もあった
話は今日の深夜2時にさかのぼる
深夜2時都内某所
俺は友達と5人くらいで飲んでいた
思い出話やらくだらない話で盛り上がっていていつ終わるか分からない宴を続けていたんだ
すると友達の一人が言った
「俺車で来てるからいけるところまで行ってみようぜ」
別の友達は「俺は海が見たい」と言った
酔っていた勢いもあってみんな乗り気で店を出た
飲酒運転の罰金は高いと言うのは知っていたけど
裏道を通ればおまわりもいないだろうって言う甘い考えだった
そのままの勢いで友達は車を走らせた
4人乗りの車内で5人がひしめき合って狭かったが
そんなことは気にならないくらい楽しかった
車内での会話もくだらない世間話のような他愛の無いものだった
2時間ほど車を走らせると某県の海岸が見えてきた
さすがに砂浜には車で入ることはできないので
海のちょっと手前で車を停めて歩いていくことにした
この時点で俺を含めみんなのテンションは異常なものがあった
アルコールのせいが大部分だろうが
今思えばそれ以外の力が働いていたのかもしれない
海の手前は高台のようになっていたのか
少し手前で車を停めたつもりだったのに海までかなりの距離があった
実際時間にしたら15分くらい歩いていたのかもしれない
その海へ向かう間中、俺らは取り付かれたように騒ぎ狂っていた
お互いに投げ飛ばしあったりHGの真似をして見たり
シラフの人が見たら気がふれているんじゃないかと思うくらい騒いでいたんだ
それだけ騒いでいるのに全然疲れが出ないどころか
海に近づくにつれてむしろ元気になってくるような、
体の奥底から力が湧き出てくるような変な感覚に陥っていた
きっと俺だけじゃなくて回りのみんなも同じような感覚に襲われていたんじゃないだろうか
そしてやっと海についたんだがそこで妙なことが起こった
その中の一人が酔った勢いでブレーカーを落とした
部屋の中が真っ暗になって他の奴らも流石に動揺してた
そしたら急に屁の臭いがしたんだよ
ブレーカー戻した後で全員に確認したら
「やってない。俺も臭った」と全員が口を揃えて言ったんだよ。
怖いだろ?
うまく説明できないんだが、海だけど海じゃないんだ
昼間の海にあるような開放的な感じは全く無くて
すべてを飲み込むような『黒』がそこにはあった
全員息を飲んでその『黒』を見つめていた
夜の海がこんなに怖いものだとは知らなかった
全員さっきまでの妙なテンションはどこかへ行ってしまったかのようにその場にたたずんでいた
一人が沈黙を破るように言った
「もう帰ろうぜ・・・酔いさめちまったよ・・・」
その意見に異論を唱えるものはいなかった
そのときみんなの気持ちは一致していただろう
『この場から、離れたい』と
そしてみんなとさっき来た道を戻り始めた
この時間の尺の違いはなんなんだろうか?
来たときの道のりは長かったけど長さは感じなかった
騒いでいて気付いたら海についていたような感覚
しかし帰りは・・・ただの苦痛しか残らない
ただ長い・・・ただ長いだけの真っ暗な道
もう騒ぐ元気も俺らには残っていなかった
とぼとぼと来た道をさっきとは逆に歩く
そして何時間にも思える道のりを歩いて車を停めた場所まで戻ってきた
いや、正確には『車を停めたつもりでいた』場所まで戻ってきた
俺の記憶では確かにそこに車があるはずだった
しかしそこに車は無かった。俺は道に迷ったと思いみんなに言った
「この道一本道だったよな?」
だけどみんなは俺の期待していた返事はくれなかった
「ああ、そうだな。こっからあと1時間以上も歩くのかぁ・・・」
俺は自分の耳を疑ったがその言葉に疑問を抱くものはいない
俺はみんなに疑問をぶつけた
「車ってここに停めてたんだよな?」
みんな一瞬驚いたような顔をして急に笑い始めた
俺はちょっとイラッと来て
「何がおかしいんだよ!?」
とつかみかかると一人が俺を制するようにこういったんだ
「車も何も、俺ら歩きでここまで来たじゃないか」
何から何まですべてがおかしかった
俺には確かに車でここまできた記憶がある
それに都内からここまで歩きで来れるような距離じゃないことも分かる
しかしみんなには車で来たという記憶が無いどころか
歩いてここまで来たという記憶があるという
納得はいかなかったが言い争ってる場合でもない
俺らは歩を進めた
そこで俺は気づいた
もうすぐ朝になるじゃないかと。時間的に電車も動いてる
タクシーでも拾って最寄り駅に連れて行ってもらい電車で帰ればいいんだ
そのことをみんなに伝える前に無意識に腕の時計を確認していた
しかし文字盤さえも俺の期待には応えてくれなかった
時計の文字盤は深夜2時、そう、飲み屋を出た時間をさしていた
『そんな馬鹿な!』
携帯の時間も確認したがやはり深夜2時
その時点でもう気が狂いそうだった
俺が先頭になって歩き出して30分くらいが立ったときだろうか
急に俺の携帯が鳴った
ウインドウを見ると一緒にいた仲間の一人からだった
「お前こんなときに悪ふざけしてんじゃねーよ」
そういって後ろを振り返ろうとしたとき変な感覚に襲われた
そう、来たときと同じ、急に騒ぎ出したくなるようなあの感覚に
しかしそのとき俺には確信めいた思いがあった
『騒いだら負け』だと
あのときから徐々に狂い始めていた
すべてはあのときから
俺は後ろを振り返らずにその電話に出た
「・・・もしもし?」

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