日本一心のこもった恋文

2006/02/02 15:51 登録: えっちな名無しさん

天国のあなたへ   柳原タケ


  娘を背に日の丸の小旗をふって、あなたを見送ってから、もう半世紀がすぎてしまいました。

  たくましいあなたの腕に抱かれたのは、ほんのつかの間でした。

  三二歳で英霊となって天国に行ってしまったあなたは、今どうしていますか。

  私も宇宙船に乗ってあなたのおそばに行きたい。

  あなたは三二歳の青年、私は傘寿を迎える年です。

  おそばに行った時、おまえはどこの人だ、なんて言わないでね。

  よく来たと言って、あの頃のように寄り添って座らせて下さいね。

  お逢いしたら娘夫婦のこと、孫のこと、また、すぎし日のあれこれを話し、思いっきり甘えてみたい。

  あなたは優しく、そうかそうかとうなづきながら、慰め、よくがんばったねとほめて下さいね。

  そして、そちらの「きみまち坂」につれて行ってもらいたい。

  春、あでやかな桜花

  夏、なまめかしい新緑

  秋、ようえんなもみじ

  冬、清らかな雪模様

  など四季のうつろいの中を二人手をつないで歩いてみたい。

  私はお別れしてからずっとあなたを思いつづけ、愛情を支えにして生きて参りました。

  もう一度あなたの腕に抱かれ、ねむりたいものです。

  力いっぱい抱きしめて絶対にはなさないで下さいね。




数年前に開催された、第一回 『 きみまち恋文全国コンテスト』で、きみまち恋文大賞(郵政大臣賞)に輝いた恋文。

(・∀・): 441 | (・A・): 119

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