少年と手編みのマフラー

2014/12/08 10:36 登録: えっちな名無しさん

私もアラフォーとなり、息子も無事高校卒業したので
今日はまじめに書きたいと思います。

2年前の出来事ですけど、息子のサッカーの試合にママ友3人で
観戦に行ったんです。

12月でとても寒くて、防寒して行きました。
試合は何とか勝って盛り上がりました。
試合後ママ友と談笑してたら、一人の少年に目がとまりました。

少年の持ち物がとてもボロボロなんです。

シューズ入れは破れてて、シューズの先っぽが出てるし、
エナメルバックも角が擦れて穴が開いて、中身が出てました。
そこにはテープらしきもので補修してあるみたいでした。
ドリンク入れる容器もふたが壊れてて、友達に笑われてました。

『物持ちのいい子だなぁ〜』と思っていたところ、ママ友も少年に気づいて
笑いながら『すごくないあれ、もはやカバンじゃないでしょ』とこ小声で
言ってました。
それほどボロボロだったんです。

周りのみんながベンチコートを着ているなか、少年は薄い剥げたような
ウインドブレーカーを着てて、見てるだけで寒そうでした。

ぼーっと眺めていると、少年が袋からマフラーを取り出し首に巻きはじめました。
それを見た瞬間、心臓が止まりそうになりました。
そのマフラーに見覚えがあったからです。

それは、まぎれもなく私が編んだマフラーでした。
当時気に入ってた編み方で、ツートンカラーのものでした。

少年はマフラーをした後、手袋を付けました。
その手袋を見て、私は固まってしまいました。
それも私が編んだものだったんです。

マフラーと手袋は、息子が小学4年の時に編んだもので、
息子にはよく作ってあげてたけど、1回だけ息子の友達に編んであげたことがあります。

『まさかK君』
『ウソでしょ』
『もう8年も前だよ』

もう、信じられない気持ちでいっぱいでした。
声をかけたい・・・でも分かんないよね。

K君は小学校4年の時、1年間だけ息子と同じ小学校に転校してきて、
同じサッカーのスポ少に入りました。
とても仲良くしてくれました。

K君のご両親は事故で亡くなられてて、おじいさんが育てていると聞きました。
おじいさんもご高齢で年金生活では厳しいらしく大変とは噂で聞いてました。

K君には3つ下の妹がいて、すごくよく面倒を見てました。
真夏の練習の時なんか、給水タイムになると真っ先にドリンクを持って
妹のところに持って行って飲ませてあげてました。
真冬の練習では、自分も寒いだろうに上着を着せてあげてました。

わたしはそれを見て、涙があふれ、K君と妹にマフラーと手袋を編んだんです。
K君にあげた時、K君は満面の笑みで
「あったけぇ〜〜」って喜んでくれました。
でも部費やら遠征費やら出費は多く、5年生ではスポ少は退団しました。
5年生の時、K君はサッカーがしたいみたいで、よく練習を見にきてました。
自分のところにボールが来ると嬉しそうに蹴ってました。
練習で校庭の隅に転がってしまったボールを使ってよく妹と遊んでました。

でも6年生の親御さんから危ないとか注意され、先生にも言ったらしく
K君は来なくなりました。そのあと全く見かけなくなり、心配してました。

そんなK君が大きくなって、好きなサッカーができてるんだって思うと、
わたしは涙が止まりませんでした。

周りの子達が有名メーカーのネッグウォーマーや、手袋をしているなか、
短いはずのマフラーと、小さいはずの手袋をして、
また「あったけぇ〜〜」と言ってました。

その言葉を聞いて、わたしはその場を動くことができず、
ただただあふれる涙を拭くだけでした。

この季節になると思い出します。














出典:ぶろぐ
リンク:ブログ

(・∀・): 140 | (・A・): 42

TOP