うかつな記念写真

こんばんは。愛し合うカップルの皆さん。

　今、彼氏彼女関係にある皆さんはアレをしてる時に自分達の写真を撮ったりしますでしょうか？　もし経験があるならそれは凄く恐ろしい事なんですよ。
　今日は私の今だから話せるお話を書きますね。そして教訓にしていただければ嬉しいです。

　それはもう十年以上前。私、目久美（仮名）が１６歳でアイドルのタマゴだった頃の事です。
当時、芸能界はアイドル氷河期なんて言われていました。
でも私がデビューした頃からまた盛り上がりを見せ、Ｈ・Ａ子ちゃん、Ｋ・Ｍ穂ちゃん、そして私の三人は『三人娘』なんて言われてアイドル雑誌で引っ張りだこでした。
　ところで皆さんにとって１６歳のアイドルってどんなイメージですか？　清純でキャピキャピで「恋愛なんかしたことありません！」ってイメージでしょうか？
でもそれはあくまで幻想に過ぎないんですよ。
アイドルの子ってみ〜んな自分がカワイイっていう自信があるし、虚栄心と自己顕示欲の固まりだし、「のし上がってやるわ！」みたいな覇気のある元ヤン系な子が多いんですよ。
　そういう私も例外じゃありませんでした。生まれてから１６歳の当時まで可愛い可愛いとチヤホヤされてきたし、自分でも絶世の美少女だとうぬぼれてたし、事務所からキツく禁止されていた恋愛も密かにしっかりとしていました。
　私は清純派美少女という世間での評価の裏側で、美少女である私に釣り合って私をグイグイ引っ張ってくれるようなワイルドなタイプの男が好きな女の子でした。
そして１６歳の時に学校のヤンキーの女友達から紹介されたのが一つ年上の彼『マナブ』（仮名）でした。
トラック運転手をしながらバンド活動をしているというマナブは身長180cm以上もある長身と私好みのワイルドなルックスで、会って直ぐに好きになってしまいました。
さらにマナブは元某暴走族の頭でキックボクシングをやっていたので喧嘩も無敵だったそうです。
でも私の前では決して粗暴な人ではなく、英会話はペラペラだしサッカーも得意で優しくて非の打ち所の無い人でした・・・ただ一つ、浮気性な事を除いては。

　とにかく私とマナブは付き合い始めました。オフが取れてマナブのアパートへ行けば当然のように肉体関係を結びました。
私を清純派と信じて応援してくれてたファンの方には残酷な事かもしれませんが、もちろん私にとってマナブは“初めての人”じゃありません。
中学の時に学校一の秀才でルックスも良い先輩と付き合った時にバージンは捨てました。美少女ほど自分の魅力が分かってるし、早くイイオンナになりたいから初体験は早いんですよ。

　そして・・私の人生を狂わせることとなる軽率な行為をしたアノ日が来ました。
そのオフの取れた日。私とマナブは某ホテルで密会しましたが、マナブは何を思ったかカメラを持って来ていて「記念写真撮ろうゼ」と言い、アレする前にセルフタイマーで抱き合った二人の写真を撮りました。
そしてアレの最中にもマナブが後ろから覆い被さる姿をセルフで。そしてアレが終わった後で私が半裸で飲み物を買おうとしてる姿をマナブが撮りました。
　私はマナブに「ちょっと〜！私アイドルだし、こんな写真ヤバいよぉ〜。外に出たらどうするのよ！」と言いましたが、マナブは笑って、
「バ〜カ、冗談だよ！　フィルムなんか入ってる訳ないじゃんか！」と言いました。
　私はうかつにもそれを信じました。それが６年後にどんな事態を招くかも知らずに。

　それから６年後。私は特に演技が上手いわけではありませんでしたが、アイドル若手女優の道を歩み初めていました。
マナブとの関係は彼のあまりの浮気性が我慢できずに一年程で終わっていました。
　そして運命のアノ日・・。
　その朝、私は仕事の打ち合わせで事務所に行くとマネージメント部長が「目久美、ちょっといいか」と私を部屋へ呼びました。
私と向かい合った部長は“ある雑誌”を私に突きつけ、
「ここに写っているのは目久美、確かにキミか？」と言いました。
そのお馬鹿な芸能ゴシップ雑誌の表紙と冒頭の数ページを見た私は数秒後、記憶が蘇ると顔面蒼白になり絶句しました。
　それは・・６年前にマナブとホテルで撮ったであろう赤裸々な写真の数々でした。
マナブは・・フィルム入ってないって言ってたのに。
　さっそく各メディアで大騒動になりましたが、事務所は私を守るために「〜今回の事は心苦しく思っています〜」なんていう釈明にもならないコメントを私のコメントとして流して黙殺を決め込みました。マナブも事務所から謹慎処分にされたようでした。

　この日から私の清純派のイメージは崩れ去りました。
色んな情報からデビュー当時に撮ったものと推測したのでしょう、ファンだった方からも、
「１６、７で男くわえ込んでたヤリマンだったのかよ！」と罵声を浴びせられました。
　その後黙殺によってなんとか事態は収まり、私は汚れたイメージながら女優を続け、さらに数年後にはヒルズ族で勝ち組の彼に見そめられて玉の輿結婚をしました。
　でも・・何か満たされなくて一年程で結婚生活は終わりました。
　私みたいな女は・・お金やセレブな生活だけじゃ満たされない女だったんですね。
マナブのように傲慢な程の自信家で野獣のように体の欲望も満たしてくれる男だったんですね。

　みなさんも将来ヤバイ事になるような写真は絶対に撮らないで下さい。本当に怖いですよ。私のように人生が狂ってしまいますから。