夕子-雅の人形
2015/10/02 17:01 登録: あでゅー
20151002-『夕子-雅の人形』byあでゅー
1.出会い
夕子さん、彼女と出会ったのは、まだ残暑厳しい日の夕暮れだった。
私は当時学生でアルバイトに氷運びをしていた。
そのお得意さんが彼女の店だった。
「おあがりやす」
「どうも済みません。
じゃ、頂きます」
よく冷えた麦茶を頂いた。
彼女は、私がそれを飲んでいるのをニコニコしながら見てた。
私は少し恥ずかしくなり、お礼を言って、そうそうに立ち去った。
しっかし、美人だなー。
一人で店をやっているのかな?
そう思って帰り道を歩いていると、バイト先に友人の羽賀が来ていた。
「よう、お疲れさん」
「よっ、どうした?」
「それがさー、コンパに面子が集まらなくて」
「人数あわせか、いいよ」
「ありがたや、恩に着るよ」
彼には日頃授業の代返やらノートやらでお世話になっている。
こんな事位で恩に着るとは、逆にこちらの方が恐縮する。
コンパの席で女子が、「私今日は生理なんです、だからエッチ出来ません」、と大声で宣言した。
あの人の口からこんな事を聞いてみたいなー、と妄想する。
途端に股間が熱くなる。
いかん、と思い円周率の暗唱をして息子を黙らせた。
コンパが終わり支払いの計算をしていると、女の子が誘ってきた。
「悪い、今日は見たいテレビがあるんで、済まない」、と断った。
君みたいな軽い子はカンベン、と思っていた。
「しっかし、勿体無いなー、頂いちゃえば良いのに」、と言う羽賀の言葉に笑って誤魔化す、そんな偏屈だった。
その日、夕子さんでオナニーをした。
(竹内くん、私今日は生理だから中で出しても大丈夫だよ)
そんな事を妄想しながら行った。
ある日、夕子さんが相談があるといって来た。
お店のカキ氷の機械が古くなって、もう買い替えの時期だそうだ。
私はカタログを見せて、「これなんかあそこの店でも購入していて結構良いみたいですよ」と教えた。
それからは、夕子さんは何かあると私に相談するようになった。
それで分かった事だが、夕子さんには無くなった旦那さんが居たみたいだ。
今恋人はいるのか、何故再婚しないのか、は分からない。
けれど時折見せる寂しそうな姿は、きっと誰もいないのだろうと思う。
年が10才以上離れてはいるが、そんな彼女を欲しいと思った。
いや、結婚したいと思った。
2.逢瀬
それは大学2年目の夏だった。
買い物に出かけ漸くお目当てのCDを手に入れた時だった。
道端にうずくまる人がいた。
「大丈夫ですか?」
声を掛けて見ると、それは夕子さんだった。
今日は用事で遠出をして、ちょっと立ち眩みがしたようだ。
私は、肩を貸して家まで連れ帰った。
布団を敷き、着物のまま寝かせた。
ヒンヤリシートが利いたのか、大分良くなったようだ。
「ありがとう」
「いいえ、困った時はお互い様ですから」
「実は私生理で。
それが重い方なのね。
ごめんね、重かったでしょう?」
「いいえ、そんな事ありませんから。
気にしないで寝てください」
彼女の口から「生理」と言う言葉を聞いて、私の股間は堅くなった。
「もう少し側にいてね」
「はい」
彼女は白湯を一口口に含み眼を閉じた。
彼女は1時間ほど眠り眼を覚ました。
それに気付かずに私もうとうとしていた。
その時だった。
彼女は私の手をそっと掴んで、自らの股間に持っていったのだ。
私は途中で気付いたが寝た振りをした。
手が着物を分けて彼女のあそこに触れた。
薄い毛並みの中に導かれると、そこは濡れていた。
「あっ、うーーーん」
僅かにあえぎ声が聞こえる。
彼女は私で自慰をしているのだ。
艶かしい声と、強く擦り付けられる手で私は破裂寸前だった。
程なくして彼女は行った。
もう我慢できない!
私は眼を開き彼女の唇にキスをした。
それはもう狂おしいほどの思いで。
「だめ・・・」
その言葉には意味が無かった。
彼女は強く唇を貪った。
そして私は思いを遂げた。
3.別れ
今日も私は彼女の家に行く。
まるで恋人の様に。
それを知った芳賀が言う。
「もうやめろよ」
「良いじゃないか、お互い独身だし」
「あの人は昔芸子だったんだ」
「そんな事とっくに知っているよ。
何故そんなに気にするんだ?」
芳賀は黙ってしまった。
「・・・好きなんだ」
「えっ」
「お前の事が好きなんだ」
私は何も言えなかった。
悪いな、俺は女が好きなんだ、と言えば終わるのに。
この時は怖くて言えなかった。
私は、「悪い」とだけ言って家に帰った。
その晩、私は叩きおきされた。
警察に。
「田中夕子さん、彼女が昨夜殺されました」
それ以降の言葉は私には入って来なかった。
私は放心状態でパトカーの乗せられ、長い事情聴取をされた。
殺したのは芳賀だった。
それから1年の留年をして大学を卒業した。
その後僧侶に成った。
それは彼女が只殺されたからでは無い。
首を折られて殺されていたから。
遺体安置著で見た彼女は首の骨が肉を裂き飛び出していた。
190cmもある大男の力だ。
無理も無い。
私はその業を供養するために僧侶となった。
だが、幾ら拝んでも、幾ら修行しても、この苦しみから逃れられない。
(終わり)
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↓1999年以前に書いた実話です。
これから広げて書きました。けど、10枚程とエラク短いですが。
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1999-2『雅の人形』byあでゅー
あれは高校の修学旅行の出来事だった・・・。
京都での自由時間、私達はお土産屋の通りに入り込んだ。
見るもの何もかもが情緒的な、なにか古の風習や風格が感じられるような、そんな感覚に成っていたと思う。
なにせ、北海道の田舎から出てきた人間だから、歴史とか風習や雅と言う言葉に弱い。
そんな風に、只お土産屋の雰囲気を楽しんでいると、一軒の人形屋が目に入った。
そして、その中の一体の人形に、私は吸い寄せられていった。
雪のような白い肌、優しく見つめる瞳、鮮やかな真紅の唇
傘を包むほっそりとした指、振り袖にまとった柔らかい物腰
この世のものではない
美しい・・・、美しすぎる
私は震え、居ても立ってもいられずに、売り子を呼んで叫んだ。
「これを下さい!」
それも、箱に仕舞ってある同じ人形ではなくて、
「あの展示している人形が欲しい!」
と言って、頼み込んだ。
そう、人形の顔は一体一体肉筆なので、微妙に表情が違うのだ。
私はどんな旅行でもそうだが、自分にさえ箸一本として買い帰る事は無かった。
それは、私が貧しい家庭だった為、実生活に必要の無い物を極力買わない様にしていたからだった。
その私が買った初めての自分へのお土産、それが彼女だった。
私は、そのお気に入りの彼女の入った箱を、衣類で包み込んでカバンに入れ、修学旅行の道中ずっと大切に抱きかかえて過ごした。
修学旅行から帰り下宿に着いた私は、真っ先にあの人形の箱を開けた。
しかし、・・・首が折れていた。
あの美しい人形が、この世に一体しかないあの雅やかな人形が、・・・死んでいた。
私は力なく立ち尽くし、涙をポタポタと畳の上に落とした。
そう、私は惚れていたのだ、あの人形に。
それは二度目の恋だった・・・。
20年近く経った今も、あの人形の遺体は、実家の押し入れに大切に置かれてある。
生きていれば、今も私を虜にしていたかもしれない、あの雅の人形。
供養すべきか、それとも継ぎをして添い遂げようか・・・。
出典:オリジナル
リンク:オリジナル

(・∀・): 5 | (・A・): 6
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