俺らのバンド
2006/04/25 03:00 登録: えっちな名無しさん
あれは2年前の話だ。俺は大学のサークル仲間とロックバンドを始めた。
メンバーは俺の幼馴染と大学で知り合った友人2人。
俺はドラムで幼馴染の浩太はギターだった。
高校からベースを始めた俺なんかと違って浩太は子供の頃からギターを愛し
「将来はぜってーギターで飯食うんだ!」とかって俺に話してた。
俺らは小学校から一緒でそんな俺も浩太の影響で音楽に引き込まれた。
時々、大学で歌ったり小さかったけど充実したライブが行え俺らは幸せだった。
でも浩太はそれじゃ足りないらしくよく俺らと喧嘩した。
「こんな小さいライブじゃだめなんだよ!!俺はもっとすごいところでギターを弾きたいんだ!!」
そんなところから浩太のギターに対するものが俺らなんかより全然大きく、夢を持っていることが伺えた。
そんなある日、俺らにやっと小さなライブ会場で歌える機会がやってきた。
それは浩太と俺が土下座してまで手に入れた機会だった。
4人は涙を流して喜んだ。
浩太のその嬉しそうな顔が今でも忘れられない・・。
ライブを1週間後に控えたある日、いつものように俺らは練習をしようと集まった。
しかし、一度も練習を休んだことの無い浩太がなぜか今日は来ていなかった。
俺「あれ・・・浩太は?」
バンド仲間「しらねぇ、おかしいなあいつのかぎってよ」
少し嫌な予感がした俺は浩太の住んでいるアパートに行ってみることにしたんだ。
でもアパートには誰もいなく俺はどうしようもなく不安になった。
それから3日、浩太は一度も大学に来なかった。ライブまであと4日。
だんだん俺らも浩太のことを話すようになり、心配になってきた。
そこで俺らは全員で浩太のアパートへと向かった。
インターホンを押したが反応が無い・・。俺がドアを開けるとドアはカチャと開いた。
俺らはどきどきしながら、中へと足を踏み入れると中はごみだらけだった。
バンド仲間「なんだこれ・・」
バンド仲間「おーい!!浩太!」
俺は窓にもたれかかっている浩太を発見した。浩太の顔は青ざめて何も考えていないような感じだった。
俺が浩太に話しかけるよりも先にバンド仲間が叫んだ。
バンド仲間「オイ・・なんだよこれ」
そこには浩太が中2の頃から愛用してたギターがぼろぼろになって放り出されてた。
俺「おい!!浩太!!おまえ・・」
俺は驚きと怒りで叫び、浩太につかみかかった。
だがそのときに俺は気づいた。
浩太には右手がなかった。
包帯が巻かれていて指というものはまったく存在しなかった。
後ろでバンド仲間が「ヴッうう」と嗚咽にも似た声で泣き出した。
つられてもう一人もそして俺も号泣した。
浩太はツーと1筋の涙を流して俺にこういった「無理だよな・・・。」
俺は浩太をたまらず抱きしめた。「もうギターなんて弾けねぇよなぁぁ」
俺らは4人で抱きしめあって号泣した。
今、思い出してもどうしようもなく涙があふれてくる。どうしても止まらない。
浩太はこの前の練習に行く途中、交通事故にあって右手を失った。
俺らは4日後のライブを中止しようと心に決めた。だが、浩太に止められ「絶対に来てくれな」といってしぶしぶその場を後にした。
4日後、助っ人のギターを起用してライブを成功させた。
だが、浩太は来なかった。
その翌日。浩太の母親から浩太が飛び降り自殺をしたと聞かされた。
俺は悔しかった。何で死ぬんだよ・・・。何で死ななくちゃいけないんだよ。
心臓の下あたりのドキドキが止まらなく、1日中、震えていたのを覚えている。
通夜に集合した俺らは浩太に「馬鹿やろう」と泣きながら焼香を済ませた。
そして俺らは誓った。あいつのためにも最高のバンドを作ってやろう。ベタな話だが。
この話をこうしてここに書き込むのも恥ずかしい話だ・・。
今はその真っ最中。明日にはけっこう大きいライブが控えている。

(・∀・): 180 | (・A・): 99
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