特別な1日
2017/10/26 17:35 登録: えっちな名無しさん
社会人3年目。そろそろ転職を考えていた今日この頃。
通勤途中にスマホを取り出して無数にある転職サイトから無料で見つけられるサイトを巡回しながら朝食のこっぺぱんを食べながら歩いていた。
3年も通った道、歩きスマホは危ないと心の片隅に思う処がありながらもやってしまう。いや、出来てしまうのだ。
今思えば危ないと分かっているならやめておけばよかった。
そんなことを言っても時は戻らない。
なぜこんな後悔をしているかと言えば・・・まさに今トラックに轢かれて空に舞っているからである。
「これは転ぶときによくスローモーションになるというあれか、貴重な体験をしているんだな。」
痛みも感じてないし、恐怖もない。
たぶん即死なんだろうなと思った。
――――――――
・・・あれからどれくらいの時間が経っているのだろうか。眼を開けたつもりでも真っ暗のまま。暑くもなく、寒くもない。
体を動かしても動かせている感じもしない。これが死ぬって事なんだろうか。
「人って死んだら生まれ変わるのかな。それとも天国とか地獄に行って過ごすのかな。」
そんな事を考えていると遠くから光が近づいている事に気づいた。
「あ、あれ?なんか見える。ていうか死んでなかったのか?ここはどこだろう」
遠くに見えていた光がゆっくりと近づいてきている。
すると光の真ん中に人影らしき影も見えるようになっていた。
おお、これはまさか神様ってやつか?今から天国か地獄か裁かれるのだろうか?
「やーやーやー、結構派手に死んでしまったみたいだね!」
明るく話すその声から、女性だと言う事だけはわかった。
「えっと、ここはどこですか?」
「ここは君のいた世界でいうあの世かな!」
「んーっと。話せる事と話せない事があるんだけど、どっちから聞きたい?」
話せない事なのに聞けるのだろうか?なんとなく嫌な予感がしてはいるが、気になる。
「では、話せる事からお願いします。」
「あはは真面目だね!んじゃーまずは死因ね。貴方は大型トラックに轢かれて即死!」
そんな明るく死因を言われても実感が沸かない。今こうして生きてる(?)状態なのも納得できていない。
「それじゃ次は話しちゃいけないことね!パンパカパーン!貴方は今まで生きていた世界とは違う世界に転生する事に決まりました!」
さらっと言うのか。こういう人に秘密事は話せないな。
それにしても転生?違う世界?なんだか良く分からない。生まれ変わる説が正しいってことなのか?
「転生する時に特殊能力を選ばせてあげる!欲しい力とかある?手から唐揚げが出せるとか!」
理解が追い付かない。手から唐揚げ?魔法でもあるのか?
「えっと、良く分からないんですが・・・。転生ってこのままの記憶があって生まれ変わるって事ですか?」
「そうだよー!まぁ見た目とかは変わっちゃうんだけど。で、どんな力が欲しい?」
「んー欲しい力。パッと思いつくのは時間を戻したいとか・・・」
「おー時間を操る力かぁ。結構強力なの思いつくね!」
「でもそんな強力な力だといろいろ制限強くしないといけないんだよね!使用回数とか!」
なんとなく他の力はピンと来ないし。制限付いても時間を戻せるなら使い勝手も良さそうだ。
「それでもいいです。時間を戻せる力にしてください!」
「りょーかーい!じゃあ時間を戻せる力を上げるね!」
「転生したら赤ちゃんからだけど、10歳の誕生日に今の記憶とか全部戻るようになってるから」
「そうしたら時間の能力の使い方もわかるからね!」
「なるほど。ちなみに制限とか使い方とかは?」
「それは今から説明するよ!」
そう言って背中からタブレットを取り出した。この空間にもそんな物があるのか。
「えっとー・・・あーやっぱり。」
やっぱり?なんかまずいのだろうか。
「んー使えるには使えるんだけど・・・使用回数が1回だけみたいだね。どーする?違うのにする?」
「いえ、1回でいいです。それで使い方は?」
「使い方は簡単だよ!手を上に掲げて”タイムワープ”って唱えるだけ!もちろん日本語でオッケー!」
「なるほど分かりました。」
「じゃあ時間を戻す力を渡したら転生の間ってところで異世界に転生させるからね!」
そうして神様から魔法をもらった。
「これでもう使える様になったんですか?」
「うん!使えるよ!でも今使ったら転生した後使えなくなっちゃうから気を付けてね!」
「はい、分かりました。」
そうして俺は手を上に掲げた。
「”タイムワープ”!」
――――――――
気が付くとここは俺が事故死した横断歩道の手前。手にはスマホとこっぺぱん。
「うん!今日もこっぺぱんがおいしい!」
だから俺は毎朝こっぺぱん。
もちろんつぶあんだ!
出典:絶対
リンク:つぶあん

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