2006/05/26 20:22 登録: えっちな名無しさん

翔(本名は翔子です)は俺の幼馴染で、今現在彼女です。
幼馴染が恋人に発展する話はよくあるけど、俺たちはちょっと違う感じだと思う。

親同士が中学時代からの同級生らしく、とても仲がよかった。
結婚も同じ年にしたらしいし、さらに第一子の誕生も同じ年。
その第一子が俺と翔。
生まれたのは俺のほうが早かったが、そんなに違いはない。
それに生まれたときの記憶なんてないから、翔の異変に気づくことも、
覚えていることももちろんなかった。

小学校の入学準備が始まる頃、やっと翔が病気だと分かった。
病名は覚えていないけど、ベッドに寝たきりで、翔の周りには様々な機械があったことはなんとなく記憶がある。
時折、翔の親が「ごめんね」といって泣いていたことも覚えている。
まだ幼かった俺は、それだけでもう翔が死んでしまうのかと思った。

でも翔は明るかった。
自分は何かしら重い病気にかかっていると分かっているはずなのに、少なくとも俺の
前では弱い部分を見せなかった。病気の重さを知らなかっただけなのか。
『これ買ってもらったんだぁ!いいでしょ〜?』
『もうすぐでお誕生日だね』
『小学校って楽しいかな』
『いっぱいお友達ができるといいね』
俺はガキだったから、病気の重さをまだ知らなかったから笑顔で話を聞いていた。
でも今思うと、そのときから翔は本当に笑っていたのだろうかと疑問を抱く。
数日が経って、翔が退院できるかもという話を聞いた。

入学式。翔の姿は見えなかった。
俺は心配になって親に「翔は?」と聞くと、「風邪なんだって」と返ってきた。
親の顔に曇りがあったなんて分からなかった。

授業が始まっても、翔は学校に来なかった。
1ヶ月に何回か。こない月もあった。大丈夫かなと心配していると
親は翔は病院でひらがなを勉強しているとのこと。元気だとも聞いた。
初めてかいたであろう翔からの手紙が届いた。
『がっこうはたのしいですか?・・・・はやくいきたいな』
すが逆になっていたけど、でも一生懸命書いたんだなって思った。

高学年になると、それなりに常識は持っていた俺。
そしてなるべく翔のお見舞いに行けるよう、習い事も一切していなかった。
学校から帰ると、すぐさま翔の所にいった。
翔は相変わらず入院しているけど、前のように機械をつけてはいない。
点滴は常にしていたけれど、ある程度は自由に動きまわれるようだ。
翔は病院で勉強していたので、分からないところを聞きあったりもしたし、
学校であったこともいろいろ話した。
翔はうれしそうにそれを聞くから、俺は暗くなるまでずっと喋り続けた。

5年生の時の卒業式。翔が来た。
数十回目の登校。新しく買ったっぽい服を着て、元気に登校してきた。
『もう大丈夫だよ。これからちゃんと学校にこれるから』
俺はうれしかった。
涙目になったのをからかわれたが、「6年が卒業するからだよ」といってごまかした。

6年生になって。本当に翔は毎日登校してきた。
今までとは打って変わってはしゃいでて、とても病気とは思えなかった。
俺は今まで一緒にすごせなかった分の、翔との学校生活を、1年で埋めようと
ほとんど一緒にいた。からかわれても何も言い返さなかった。
本当に翔なのかなと疑った時期もある。でも翔は翔だった。
病気が治ったんだなと思った俺は、翔と走り回ったりケンカしたりして、
楽しく過ごした。

中学生になってもそれは変わらず。
翔は吹奏楽部に入り、フルートを吹いていた。
『あこがれてたんだ』と、銀に光るフルートを大事そうに抱えていた翔。
中1の夏。
翔が倒れた。

病院に入院することになった翔に会いに行こうと病室に行くと、またあの機会が
翔の周りで動いていた。翔は苦しそうに息をしていた。
翔の親に聞いてみた。今度は病気を理解できそうな気がしたから。
『翔は・・翔子は何の病気なんですか?』
「お医者さんに説明されたんだけどね。忘れちゃった。でもそんな重い病気じゃないよ。すぐ退院できるって・・・・」
翔のお母さんは、俺に、涙ながらに説明した。俺は確信した。
?翔は助からない?

それからの俺は変だったのかも知れない。
病気を知ってかしらずか、翔の元気もなくなってきた。
親たちも、俺たちに「なにかおかしい」という。
翔が苦しそうに息をしていた隣で、俺は手を握ることしかできなかった。

ある深夜。電話がかかってきた。
『もうだめみたい・・・』
翔のお母さんだった。
俺と母さんはすぐさま病院へいって、翔のお母さんに会った。
家族以外は病室に入れないと医者に言われ、俺と母さんは病室の外でまった。
数分後。ピーという音が鳴り響き、翔のお母さんのなき声が聞こえた。
俺は我慢できずに戸を開け、中を見ると翔は寝ていた。
だけどまったく動いていない。胸も上下していない。
俺は翔に駆け寄り、両手で頬を包んだ。

まだ暖かかった。

『翔?翔!冗談だろ?ふざけてるのか?目あけろよ!』
涙を流しながら翔を揺らす俺を、母さんが翔から遠ざけた。
そのとき、かすかに翔のまぶたが動いた。
『翔?・・・・』
名前を呼ぶたび、翔が動いて見えた。

看護婦さんが、翔の酸素マスク(?)をはずそうとしたとき、
翔は「たか(俺)・・」と言った。唇がそう動いたように思った。
俺は「翔」を繰りかえりてばかりだったけど、それに反応しているようだった。
病室が静かになった頃。

『ん・・・ふぁ』

翔が息を吹き返した。
いつの間にかピッピッという音が聞こえ、早くなっていた。
家族以外は出され、医者や看護婦が急いで手当てに当たっていた。



あれから3年。
翔はいまでも元気に生きている。
病気が完治したわけではないが、倒れることもない。
翔は「聞こえたよ。何度もよんでいたの」といまでも言っている。
正直恥ずかしいが、いま翔は俺の彼女としてずっと隣にいる。


受験地獄が終わり、めでたく同じ高校に入学できた俺たち。
翔が久々に俺の家に遊びに来た。
そのとき親はいなかったので多少緊張気味で。
顔を真っ赤にして俺の部屋に入ってきた。

とりあえず話したりして。
沈黙の後に意を決し、
「キスしてもいいですか・・・?」(なぜか敬語)
「・・・・・うん・・・・」   (顔真っ赤)
軽くね!ホントニ軽く。
翔がすっごくかわいかった。




かなりコンパクトにまとまった。。。本当はもっとあるんだけど長くなりそうなので。
翔との初体験談もあるのですが・・・またいつか。


出典:ありがとう(泣ける話(?)
リンク:http://moemoe.mydns.jp/view.php/1768

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