妹と焼きプリン

2006/06/17 22:04 登録: えっちな名無しさん

ある夕方6時過ぎくらいの時間、大学から家に帰る途中、公園に
なにげ無く寄ったら高校2年の妹がいた。何してんだあいつは。
妹はブランコに腰かけ、しかしブランコをこぐ訳でもなく、ぼんやりうつむいていた。

「優子。何してんのお前」
「あ、お兄ちゃん」

そういえば、昨日体重計にのって「はあ!?」とか叫んでたな。それか。

「さては太ったのを気にしてんだろ」
「いや、新しいドラえもんの声があまりにキモすぎて鬱になってたとこ」

いや妹よ。それはないだろう。確かにキモイが。
しかし、妹があからさまにボケる時は必ず何かあった証拠だ。
おそらく、お気に入りの焼きプリンがいつも寄るコンビニになかったとか
そんなところだろ。

「心配ない優子。焼きプリン俺が2個買ったから」
「はあ?何でプリンの話が出てくんの」

違ったようだ。何か雰囲気がマジだ。告白して振られたとかだろうか。
こんな時こそ妹の心の隙間に入るチャンスだ。焼きプリンもあるし。


「優子辛かったな・・・・・・・」

まずは探りだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

喋らない。まさかビンゴか。振られたのか?でも、結構、妹かわいいのにな。
こんなにかわいい妹を振るヤツが居るとは、世の中分からないものだ。

「辛い時は泣けばいいんだ優子。そうだ、今夜添い寝してやろう」
「お兄ちゃん・・・・・・・・・・」

心が少し動いたな。今だ。

「ほら、焼きプリン2つともやるよ」
「あたしゃ、食いしん坊か!!」

そう泣きながら笑っていた妹は少しだが元気になった気がした。
帰り道、詳しく聞くとやっぱりクラスの男子に振られたそうだ。
でも、話しながら妹は笑っていた。

「お兄ちゃんが、あまりに焼きプリン勧めてくるから笑っちゃったよwwwww」


まあ、新しいいい男を見つければいい。可愛いんだし。
帰り道、俺は妹との心の距離が少し近付いた気がした。

「お兄ちゃんありがと・・・・・・・」
「焼きプリンの礼はいい」
「違うって!!」

そういって妹は楽しそうに笑っていた。

そして風呂上り

「お兄ちゃん焼きプリンはー」
「ああ。ほら」
「ちょっと、4つあるよ?」
「ああ。全部お前のだ」
「さては自分の分もちゃんと買ってたな!」
「いや、まだある。」

そう言うと俺はさらに2つ追加した。

「あたしゃ食いしん坊か!!」

妹は今まで見たことのない笑顔だった。
しょうがない。また今度自分の分は買うか。

その後、風呂に入った俺は今日の事を思い出していた。
妹は振られたみたいだが、少しは元気になったのかな?
笑っていたから大丈夫か。

「お兄ちゃん寝る時声かけてねー!準備があるから」

不意に思考を遮られる。妹の声が脱衣所からした。
何?優子のヤツ「添い寝してやる」って本気にしたのか。
冗談だったんだが。

風呂から出て大学のレポートを書き終えると12時を回っていた。

「そろそろ寝るか」

一様声をかけておくか。大学生にもなって妹と添い寝なんてありえんが。
俺はそんな事を考えながら妹の部屋を開けた。
ノックも無しに開けたのが悪かった。妹は昼間見せた笑顔とは違っていた。
泣いていたんだろう。目が赤い。

「あっ・・・・・もう声かけてよ!!ていうかノックして!!一人エッチしてたら
どうすんの!!」

照れ隠しなのは兄妹だからすぐ分かるのだが、こんな時までボケる妹だった。

「一人エッチしてたら、ご褒美に焼きプリンさらに2個追加だ」
「何のご褒美よwwwwwwww」

さすがに、この俺の切り返しは予想していなかったのか、妹は吹き出していた。

「ほんとに一緒に寝るのか?」
「今日だけ・・・・・・・・」
「そうか・・・・・・・・もう遅いし、すぐ寝るぞ」
「うん」

電気を消して妹のベットで一緒に寝る。なぜなら俺の部屋にはクーラーがなく
妹の部屋にはあるからだ。

「今日、辛かったな」
「・・・・・・でもお兄ちゃんのおかげで多少気が楽になったよ。ありがとう」

何か変な雰囲気だ。いつもはふざけ合ってる仲なのに、何か心の距離がいつもより
近いというか。俺は妹に対して心の奥で思っている事を言おうと思った。

「優子。何か俺に出来る事があったら言ってくれよな」

「うん。・・・・・ていうかお兄ちゃん何か変だよ?変にやさしいし・・・・」

「そりゃ、お前の事が好きだからだ」

「へ?」

暗くて顔は見えないがかなり驚いた様子だ。恐らく近親と勘違いしてるんだろう。
俺が言いたいのはそんな事ではなかった。

「お兄ちゃん・・・・・あたしの事、妹としてじゃなく女として好きなの・・・?」

「いや、そういう事じゃない。俺はな、お前に幸せになってほしいだけだ」

「よく分からないよ・・・・・・妹として好きって事?」

「俺はお前の事を女として好きとか、そんなのとは違うんだ。女として好きっていうのは
 お前の存在を例えばクラスメートの女と同列に見てるようで嫌なんだ。俺にとって
 お前はそんな赤の他人と同列の価値じゃない。もっと上だ」

妹は静かに聞いていた。俺は妹の頭を撫でながら続けた。

「簡単に言えば恋人とかより上の存在だ。俺とお前は兄妹だ。だから、俺は無条件で
 お前の味方だし、どんな時も例えば世の中全部がお前を信じなくても俺は無条件で
 お前を信じるし、一番お前の幸せを願ってるし、一番お前の事が好きだ」

「うん」

「俺がお前のことを好きっていうのは、セックスとかキスとかそんなもので繋がって
 いたいんじゃなくて、心で繋がっていたいということだ。家族愛の発展型といえば
 いいのかな。すまんな、うまく言えんが・・・・・・」

「いや、何となく分かったよ。お兄ちゃんの言いたい事」

「そうか?」

「うん。何か今の聞いて安心した」

「近親相姦じゃなくて良かったってか?」

「いや、そうじゃなくてお兄ちゃんといると無条件で安心できるっていうか」

「そういう事だ。俺たちは兄妹だ。世間的には付き合えない仲だ。まあ、俺もお前も
 付き合う気はないが、お互いが大切に思っていて、困った時に本気で心配してくれれ
 ばそれでいいと俺は思う」

「そだねwwww」

「ああ。じゃ、寝るぞ」

「お兄ちゃん」

「あ?」

「大好き」

「焼きプリン3個追加だ」

「焼きプリンはもういいってwwwwwww」



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