再会
2006/07/25 11:43 登録: ミンナミン
俺はその時仕事中だった為、週末に再会を約束し、
メールアドレスと電話番号を交換した。
約束した通りの時間にバイクで行ってみると
既にSはその場所に立っていた。
約束の場所はSの家から300m位離れた所にある公園だった。
付き合っていた時も学校帰りにそこでさよならを言い合った
いわば思い出の場所である。
Sは飾り気の無いシンプルな格好だが
雰囲気に良く似合う服を着ていて実に素敵であった。
いや、でも顔が綺麗と言うわけではない。
ブスと言う訳では無いが美人ではない。
俺だって別に格好良くもないから、
中学の時は付き合っていたと皆に知れても
大して話題にすら成らなかった位だ。
改めて再会の挨拶をし、それじゃどっか行くかと俺が言うと、
『東京タワーに行きたい』
などと不思議な事を言った。
昔確かに2人でよく行ったのだが、
最近は全く行っておらず、正直面倒だったが笑顔でOKした。
俺はバイクで来ちゃってたものだから、
どこかにバイクを置いていかなければならず、
その場所を探していたのだが、
『あたしもバイク乗っているんだ だからヘルメット取って来る』
などと言って家の方向に走り出した。
走りながら『待ってて!』と大きな声で言い、
俺は遠ざかっていく背中を見ながら心の中で『うん』と言った。
暫く待っているとヘルメットを持ったSが現れ、
『じゃあ行こう!』と元気よく言った。
『え?S自分のバイクじゃないの?』と聞くと
『いいじゃん大きいバイクなんだから』と返してきた。
まぁいいかと思い、そのまま後ろにSを乗せ東京タワーまで行ったのである。
到着した後展望台に上ったり、水族館を見たり、
怪しげな土産物屋を冷やかしたりしながら結構楽しみ、
食事も終えた後でそれじゃ帰るかと言うと
彼女が突然言い出した
『ミンナミンは付き合っている人いるの?』
『え、いないけど何で?』
俺は書いた通り格好良くもないから本当に彼女がいなかった。
『あたし駅で会った時めちゃくちゃ嬉しかったんだ。
だって高校行って自然消滅して連絡取れなくなったミンナミンと
久し振りに会えたでしょ だから』と言う。
『別に嫌いになって駄目になった訳じゃないから
今でも結構好きなの 本当に。』
ええええ!ちょっと驚いちゃったよ俺。
俺はそういう風には特に意識しなかったし、
単に久し振りの再会で遊ぶと言う事だけだと思っていた。
だから『あぁそうなの・・・参ったなぁ』などと
意味の無い言葉ばかりが口から出てきた。
そんな駄目な俺の言葉をバシッと遮り、Sは言った。
『もう一度付き合えない?』
何度も書くけど俺は格好良くない。
なぜだ?なぜ大人になってまで俺と付き合いたいのかわからず、
俺は本当に混乱してしまった?
しかし返事はしなければいけない!男として人として。
『よし、付き合おう。でもなぜ?』と一応聞いてみた。
付き合おうの言葉でSの表情はぱっと明るくなったのに驚いたが、
その後に続く言葉で更にびっくりした。
『ずーっとミンナミンの事思ってた。自然消滅した後もずっと。
離れ離れになって更に好きになって、でも連絡できないし、
偶然再会した時は本当に嬉しかったんだ』と目を赤くしながら言う。
本当かよ!と心の中で思ったりもしたが、
表情を見ていると嘘だとは到底思えなかった。
俺にはそんな魅力あるのか?と自問自答したが、
どうしてもそんなもんがあるとは思えず、また混乱した。
だが、付き合うことは決めた。しっかり返事もした。
だから言ってあげた。
『ありがとう。長い休み時間だったけど、また今日から始めよう』と。
そしたらSは声を上げて泣き始めた。
その泣き声に振り返る人も結構いて、
恥ずかしかったけど、そこは俺も一生懸命恥ずかしさに耐え、
Sを抱きしめてあげる事ができた。
その後結局Sの家まで送って行ったのだが、
丁度Sお母さんがそこにいて驚いた。
中学の時は良くお母さんとも話したりしていて、
顔見知りどころか随分親しかった。
勿論Sと別れた後は1度も見ていなかったが。
『あらー、ミンナミン君久し振りねぇ 背伸びたじゃない』と言われ、
そういえば中学の頃から15センチは伸び、
180を超えていたから驚いたようだ。
『上がって行ったら?』との言葉を貰ったが、
『今日はこのまま帰ります』と言い、
『Sと付き合うことになりました またこれからもよろしくお願いします』
とさっき見せた意気地なしの俺とは打って変わって
しっかりとお母さんに宣言する事ができた。
隣でその光景を見てSがまた泣いていた。
お母さんは『あらそうなの こちらこそよろしくね』と
大して心を動かされた感じではなかったが、
後日聞いて見ると、前の夜にSから俺と付き合いたいから告白すると
相談&宣言をされたそうだ。
女の子と母親はそういう事も話すんだなぁと思ったりした。
ちなみにお父さんも知っていたようで、
ずっと後になって『Sをよろしくな』と言われて驚いた。
その日はそこで別れたが、
もうメールアドレスも電話番号も知っているのだ。
互いに連絡を取り合い、週末ごとに会うようになるのである。
続きから少しエロくなるからジャンルかえる為ここで切ります。 続く
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