わしと先輩とナイチンゲール　06

前編：わしと先輩とナイチンゲール　05
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ナイチンゲールその６の１

当時はかなり田舎の方にすんでいたので、地元はヤンキーがたくさん
居ました。そしてみなさんご存じの通り、そういうところの若者はえ
てして結婚が早いわけでして。わしと先輩の共通の友達が結婚する事
になりました。もちろんデキちゃった婚ですが。そして結婚式に呼ば
れたのですが、世間は狭いモノで、その友達の奥さんになる人がナイ
チンゲールと同級生だったのです。わしも先輩も当日までそのことを
知らずに、まあ飲み会とか好きなので張り切って出席したのですが、
会場に入ると、居るじゃないですか！ナイチンゲールが！黒とバラの
模様のオーガンジーで仕立てたと思われるちょっとレトロ調に胸元と
背中の見えるドレス来て。。。っていうか、あんた花嫁より目立って
るよ。。。と言いたい気持ちを気持ちだけにとどめて、わしも先輩も
話しかけられても無視しようということにしました

結婚式と言ってもそんなにきちんとしたモノではなく、披露宴とごっ
ちゃになったような感じで、ホテルのホール借りて行われてたんです
が、友人の挨拶を先輩がする事になっていて、先輩がその友人の事を
熱く語っていたのですが、ふと気づくと、隣にナイチンゲールが居る
じゃないですか。しかも号泣しながら。絶対無視するときめてたので
無視してたんですが、横で「男の子の友情と男女の愛情ってどっちが
強いんだろうね？」とか「私男の子に生まれたかった。そしたらきっ
と○○君（先輩）にもっと大事にしてもらえたのに」とか、よくわか
らないことを聞こえるようにブツブツ言ってます。先輩はゲイじゃ無
いから大事にっていうのはちょっと違うんでは？とか思っていると、
挨拶が終わり、先輩が戻ってきました。

先輩はナイチンゲールが居るのに気づいたらしく、なかなかこっちに
こようとしなかったんですが、わしが辛そうな顔をしているともどっ
てきて、「なんか話とかした？」とか聞くので、「いや、無視してま
す」っていって、それから横にナイチンゲールが居るので二人の会話
（いやその周りの人の会話すらも）弾まず、ちょっと気まずい雰囲気
になっていました。そこに天の助けか、なんとナイチンゲールも挨拶
をする事になっていたようで、名前を呼ばれ、マイクの所に、号泣し
た後の化粧落ちまくった顔を拭いながら立ったのでした。「私と○子
（友達の嫁）との出会いは。。。」出だしはありがちです。そしてそ
のまま淡々とスピーチが続き、無難に終わるのかなと思ったわし達が
馬鹿でした。

「○子（友達の嫁）、××君（友達）と出会えてよかったね。○子は
人生で一番好きになれる人に出会ったんだね、うらやましいよぉ。。」

ここでしばし泣きが入り、会場は少し感動ムードへ。。。が、次の台
詞が、「○子（友達の嫁）は××君（友達）の事本当にずっと大好き
だったもんね。。。私も今すごく大好きな人がいるの（ここで先輩の
方を見たせいで会場の視線が先輩の方に集まった）。。。」しばし無
言の後、小声で「私ね。。。私ね。。。私ね。。。」だんだん声が大
きくなる。そして「○○君（先輩）の事が大好きなのぉぉ（半絶叫）」

会場全体しばし呆然、そして泣き崩れるナイチンゲール。横を見ると
違う意味で半泣きな先輩。。。

そして次の瞬間酔っぱらった親族と思われる人が、「○○君（先輩）
ってどいつだぁ？と笑いながら言ったので会場の雰囲気は和むも、わ
しら二人は硬直。先輩さっき挨拶してたし、会場のみんなわかってて
しかもナイチンゲールが先輩のこと指さしてるではないですか。そし
てその酔っぱらった親族と思われる人が、先輩を呼びに来て、先輩も
場の雰囲気から断ることも出来ずに、ナイチンゲールとツーショット
に。なんかわからないけど会場内はみんな拍手。。。なんかわからな
いけど、照れながらも妙にうれしそうにニコニコしているナイチンゲ
ール。。。結婚式はぶち壊し。。。はっきり言って新郎新婦少し怒っ
てましたが、まあ何とかお開きに。

そして、先輩と２人で逃げるように会場を後にしようとしたのですが
ナイチンゲールがダッシュしてきてこう言いました。「なんか私と○
○君の結婚式みたいだったね、さっきの人にお似合いだって言われち
ゃったよ（満面の笑み）もし二人が結婚するとかなったら、もっとこ
じんまりした所でしたいなぁ。人いっぱい居ると疲れるし。みんな気
使って楽しく無いかもしれないし。」と。それってあんたみたいな人
が来たら嫌だって事？と聞きたい気持ちを抑え、無視すると決めてい
たので何も言わずに帰路につきました。っていうかおまえが気使えよ。。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり


ナイチンゲールその６の２

冬休みに先輩と二人でロンドンに行った。わしはどっちかっていうとパ
ンク小僧だったのでロンドンに憧れていて、２人で行った方が安かった
ので先輩も行く事に。宿泊はホテルではなく現地の友人の家へ。１週間
滞在した。しかし、ナイチンゲールには国境など関係無かったのであっ
た。年末で街はどこもデコレイトされていて綺麗だった。わしと先輩は
とりあえず買い物をして友人宅へ帰宅。すると、友人が、「さっき日本
から電話があったよ」とのこと、当時、まだ国際電話が高かったので無
茶する奴も居るモンだなぁと思いつつも、名前も何も言わなかったらし
く、またかけ直すと言っていたそうなので誰だ？位しか気にしていなか
った。しかし、一応そこは何処？と聞かれたらしく、友人は親切にも
（ブッルクリーと言うところに居たのだが）セントラルからのラインと
かまで親切に教えてあげたらしい。

それから２日間は何事もなくすぎ、すっかりロンドンを満喫していたの
だが、不幸は大晦日ソーホーにあったパンクスのたまり場みたいなパブ
でやってきた。まず友達が来て、「お客さんつれてきたよ」と言う。わ
しらは誰だ？と首を傾げていたが、次の瞬間我が目を疑った。ブラック
ライトで薄暗い店内にピンクハウス（丈ちょっと短め）を着た、でかい
奴（海外なのでそんなにはでかくない）がいた。頭の中では否定してい
たが視覚は確実にナイチンゲールだと告げていた。。。友人に話を聞く
とブルックリーの駅から電話があって、わしらは居るか？っていうから、
パブに行ってると言ったら、場所教えてくれって言われたので、女の子
一人だと物騒なので連れてきたとのこと。。。わしはそうでもなかった
けれでも、先輩は完全にパニック。別のフロアに逃げたりしていたが同
じ店内そう逃げ続けられるはずはない。

その間にわしは事の次第を友人に説明。友人は平謝りだったが「こんな
所まで追いかけて来る位なんだから少しくらい相手してあげなよ。かわ
いそうに。」とのこと。彼にとってナイチンゲールは別にでかくないし
怖くもないらしい。。。そうこうする間に先輩が捕まった。「ねぇ〜嘘
みたいだと思わないぃ〜？日本の外でも一緒に居るなんてさぁ〜」と、
自分で望んで行動しているのに偶然か運命みたいな言い方を。先輩はす
っかり機嫌を損ね、仕方ないので帰ることに。すると友人が、「あ、今
日、彼女も家に泊まるから。ホテルが気に入らない場所だったらしくて
キャンセルして家に泊まればいいよって言ったから」と。。。それを聞
いて先輩撃沈。友人の家につくまで一言も喋らない。。。それに引き替
えナイチンゲールと友人は楽しそうに盛り上がっている。わしは。。。

友人宅に到着。先輩は酒をガンガン飲みへべれけになって現実逃避。友
人は相変わらず、ナイチンゲールと盛り上がっている。ふと友人とナイ
チンゲールの会話が耳に入る。「ニューイヤーになる瞬間みんなキスす
るんだよ。。。」あー、友人が余計な事を吹き込んでる。。。でもまあ
先輩が避ければ良いことだから問題ないだろうと読んだわしが甘かった。
そしてその時がきた。カウントダウン。５．４．３．２．１「ハッピー
ニューイヤー」と盛り上がった瞬間ナイチンゲールが行動に出た。先輩
に素早く抱きつきキスを！先輩は飲み過ぎていたせいか、とっさに何が
おきたか判断出来なかったらしく、フリーズ。。。それを見ていたわし
は、もっとフリーズ。。。友人爆笑。やっと正気を取り戻した先輩が逃
れようともがくがナイチンゲールに力ではかなわない。

先輩はナイチンゲールの唇を噛んでなんとか逃れそのままトイレに直行
嘔吐。ナイチンゲールは幸せオーラ全開。そしてそれぞれ色々な意味で
眠れぬ夜を過ごし、朝、「じゃあ私、ホテル帰る」って。「あれ？キャ
ンセルしたんじゃ無かったの？」と友人が聞くと「だって友達とツイン
で同じ部屋だもん。」と、言い残し笑顔でありがとうと言いながら去っ
ていった。これが先輩とナイチンゲールの初めてのチューだった。。。
後で聞いたのだが、ナイチンゲールと一緒に行っていた女の子は大晦日
何処も行かずに一人でホテルの窓から花火見てたそうだ。。。不憫な。
しかも友人宅の電話番号教えたのは先輩の親だった。。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり。
続編：わしと先輩とナイチンゲール　07
http://moemoe.mydns.jp/view.php/4940

出典：恋愛板
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