ゆうな

2006/09/12 02:51 登録: えっちな名無しさん

俺は、正直、霊魂の存在は、頭のどこかで信じてるのかもしれないが、
幽霊のとか、先祖の祟りとかその手の物は信じていない。
だいたいなんで、可愛い子孫をご先祖様が祟るのか理解出来ない。
でも、お墓とかは大事にはするタイプ。死んだ婆ちゃんとか好きなんで。

そんな俺が経験した・・・・恐怖でないような、でも奇妙な体験話。
いわゆる幽霊とは違うが、普通では、絶対にあり得ない話だ。

ある冬の日の出来事(それは11月だった)。
幽霊怖い!の弟は、いつもオレンジ色の小電球を付けて寝てるが、
俺は、幽霊とか信じてないし、逆に寝にくいので部屋は真っ暗にして寝ている。
ちなみに俺が寝ているのは1階の和室。弟は2階の洋室の自室だ。
俺の隣部屋では、ふすまを隔てて親父が寝ている。

俺は、いつも通りに午前3時か4時頃に布団に入った。だんだん冬らしく寒くなってきた頃だ。
ものの数分で眠りに落ちた俺を、誰かが布団の上から胸の辺りを揺れ動かして、
「ねぇー、パパ遊ぼうよ!」「ねぇー、パパ! パパ!」と起こした。
部屋は真っ暗だ。
外から街灯の光が障子を通してうっすらと部屋を照らしてる程度。
でも、俺の枕の右側の畳の上に、正座をして、俺を起こそうとしている女の子が見えた。
かなり寝ぼけていた俺は、「へぇっ? パパ?」となにげに呟いた。
その女の子は、小さく頷いた。
しかし俺は、その瞬間パニクった。そして恐怖に打ちのめされた。
ウチにそんな小さな女の子は居ないし、当然俺にも子供なんて居ない。
「うわぁぁぁぁぁぁー○▼×◆※?×□※●・・・・」と、
声にならないわめき声を上げながら、布団を頭から被った。
心臓の鼓動が聞こえそうなくらいドキドキしている。マジで本当に激しくドキドキしていた。
内心「お化け、お化け、お化けが出たー。怖ー、怖ー、怖ー」と思っていた。

俺は、布団を被りながら、必死に自分に言い聞かせた。
「これは夢だ。夢を見ていて寝ぼけてるんだ。現実と夢がごっちゃになってるだけだ。
 世の中にお化けなんて居る訳がない」
でも、まだ心臓はドキドキしている。「落ち着け、落ち着け、落ち着け」と何度も言いづけた。

・・・・が!!! それは、夢でもなければ、俺が寝ぼけてる訳でもなかった。
その女の子は、また俺の胸当たりを布団の上から揺り動かして、
「ねぇー、パパどうしたの? 早く遊ぼうよぉー!」「ねぇー、パパ! パパったら〜」と、
執拗にその女の子は、俺に遊ぼうと訴えてきた。
俺は、心の中で言い続けた。「頼む、消えてくれ! 消えてくれ!」
でもなぜか「俺は、君のパパなんかじゃない、さっさと向こうへ行ってくれ!」とは言えなかった。
相変わらず、その女の子は、遊ぼう!遊ぼう!と言い続けている。

しかし俺は、今までSEXなんてしたことはない。だから俺に子供が居る訳がない。
はっきり言うが俺は童貞だ。どう見ても、客観的に見ても俺は異性にモテるタイプではない。
比較的幼い子供には何故か気に入られて、初めて会った子でも楽しく遊んだりはするが、
俺とSEXをして俺の子供を産んだとか、あるいは産もうと思っている女性は、
(この広い世の中、女性の数は星の数程いるとしても)誰一人として居ないはずだ。
今後も、そう言う女性は、俺の目の前には現れないと思う。
(以前、従兄弟の奥さんに変なことを車の中で2回されただけだ。風俗などにも行ったことはない!)

いずれにせよ、俺には子供なんて居ないのだ。
でも布団の外では、確かに小さな女の子が俺に遊ぼうと言っている。これは確かに現実だ。
俺は、布団の中で激しくパニクりながら思った。
「やはり、この女の子は、幽霊なのか? 父親を失った幽霊の女の子が彷徨っているウチに、
たまたま俺が寝ている部屋にたどり着いた。そして俺のことを実の父親だと思っているのか?
そうだ、そうに違いない。でも、取り憑かれたらヤバイな、大変なことになりそうだ」

そんなことを思いながら、1つの案を思いついた。
「そうだ! 部屋の電気を付けよう!」
これを読んでる人は、「しょうもない案だ」と思うかもしれないが、俺には、これしか浮かばなかった。
実は、何があっても良いように、電灯のヒモに更に長いひもを付けていて、寝ながら、電気の
オン、オフを出来るようにしてあった。
そのヒモは、枕の左斜め下にある。勇気を持ってそのひもを引っ張ろうとした。
電気さえ点けば、その女の子は消えるはずだから。
(25年程前、ウチの母親は、坊さんの幽霊を見た。目をこすっても見えたそうだ。
 めがねを掛けても見えたそうだ。しかし電気を付けたら消えたそうだ)
その話を思いだした俺は、勇気を振り絞って布団から手を出し、手探りでヒモを見つけ思いっきり引っ張った。
電気が点いたのは、布団の中からも分かった。眩しい感じがする。
しかし、安堵したのもつかの間。第2の恐怖が俺を襲った。
掛け布団のわずかな隙間から女の子の膝小僧とスカートが見えた。
「おい、おい、幽霊なのに消えないじゃないか。冗談やめてくれよ」と、全身で震えていた。
女の子の「パパ、遊ぼうよー!」と言う可愛らしい声は、相変わらず布団の外から聞こえてくる。
「ヤバイ、どうしよう。このままこの女の子は、俺をあの世に連れて行く気なのか?」
なんて考えてるウチに、俺を揺り動かしていた女の子の手が、今度は俺の掛け布団をはごうとし始めた。
「うわあわあわ・・・・怖い、怖い、怖い」俺は心の中で叫んでいた。

そして、とうとう俺の顔の半分程が布団から出てしまった。
そしてハッキリと見た! その女の子の顔を!!
俺は、子供は好きだがロリコンではない。でも、思わず心奪われそうになるくらい、
可愛らしい女の子だった。「か、かわいい〜。超可愛いじゃん」
年齢は5才くらいか? 丁度、親戚にひろよちゃんと言う小さな可愛らしい女の子が居る。
丁度その子と同じくらいに感じた。
そしてその女の子の顔を見てから、さっきまでの恐怖感やドキドキはどこかに吹き飛んでしまった。

女の子と目があった。その子は、微笑みながら「パパ、遊そぼ!」とまた言った。
俺は、その子の可愛らしい仕草に思わず「う、うん」と頷いてしまった。
布団から出て、あぐらをかいて座っている俺にその子が抱きついてきた。
そして「パパ、ぎゅってして!!」って、甘えてきた。
軽く抱きしめながら、その子の髪をいい子、いい子してあげた。
この子の手は、とても柔らかで紅葉みたいにとても小さくて可愛かった。
その子は、上目遣いに俺を見て、少し微笑みながら気持ちよさそうにしていた。
「ああ、この子が20才くらいの子だったら、最高なのになぁ」なんて少しエロイ妄想しながら、
頭を撫でてたら、また要らぬ想像が俺の頭に浮かんだ。
もしかして、再度この子の顔を見ると化け物になってたり、あるいは、口からドヴァーと
血でもを吐いて、ウヒヒヒヒとか笑うんじゃないだろーな、なんてよくホラー映画にありがちな、
結末が頭の中を駆けめぐった。
俺は、頭を撫でながら、恐る恐るその子の顔を見た。やっぱりさっきの可愛らしい女の子だった。
今度は、白い小さな歯(乳歯?)を小さな口から覗かせながらその子は、大きく笑った。
本当に、その子は楽しそうだった。俺も、想像してたような事が起きなくてホッとした。
体の重さも、触った感じも、髪も、普通の5才くらいの女の子と何も変わらなかった。

俺は、その子に聞いてみた。「お名前は何て言うの?」
その子から急に笑顔が消え、怖いくらいにキッと俺をにらみつけて、
「パパ、ゆうなのこと忘れちゃったの?」と、言ってきた。
俺は、かなりマズイと思った。この子は、怒って化け物に変身して、俺をあの世に連れて行くのか?
と思ってしまった。
しかし、俺から出た言葉は「違うよ。ゆうなは、来年小学校に入るだろ? だから一人でお名前が
言えるのかな?って思って試してみたんだ」だった。
「なんだよかった! パパ、ゆうなのこと忘れちゃったのかと思った」と笑顔がこの子に再び戻った。
正直、5才くらいにしてはしっかりとしてると思った。

でも、この子を抱っこしながら思った。いくら可愛いとは言え、俺が見知らぬ子を抱いているのは、
おかしな事だし、奇妙なことだ。事実、あり得ない出来事だ。
でも夢ではない。しっかりと俺は一人の少女をこの腕に抱いている。
やっぱり怖くなった。この状況が飲み込めなくなった。
そこで思ったのは、名前と住所を言わせれば(聞き出せば)、何か解るかもしれないと言うことだ。
俺は言った「ねぇ、ゆうなちゃん、自分の名前を住んでる場所を一人で言えるかな?」
「うん、言えるよ!」そのゆうなという子は、大きな声で、名前と住所を言い始めた。
「※ ゆうなです!」(※は、俺と同じ名字だった!)
「おうちがあるところは、※※市※※※ 1××9番地です!」
・・・って、おい! そこは俺んち住所じゃねーか!! 俺は、一体この子は何なんだーと思った。
それに隣の部屋に寝てるはずの親父が起きてこない。
これだけこの子が笑ったり、幼児特有の奇声を発したりしていると言うのに。

俺は、益々訳が分からなくなった。でも、確かに子供は俺の上に座って、甘えたり、笑ったり、
保育園での出来事を楽しそうに話している。
どれくらいの時間、この子と遊んだことだろう。大分遊んだ気がする。
子供好きな俺にとっては、楽しい一時でもあった。

急に、抱っこしている女の子の顔から笑顔が消えた。
「パパ、もうお別れの時間が来ちゃった・・・」と大粒の涙をこぼし始めた。
俺は、その顔を見てたら、思わず胸がキューンとしてしまった。
俺は「大丈夫だよ、また逢えるよ。そしたらまた一緒に遊ぼうね」と言った。
その子は、大きく頷いた。
でも、その子は、まだ悲しげに泣いていた。

俺「今度、いつ逢えるの?」

女の子「・・・・」

俺「・・・・」

女の子「8年後だよ、パパ!」と言ったかと思うと、まるで蒸発するかのように、
その子は、俺の腕の中からかき消えた。

・・・その瞬間、部屋は、元の真っ暗闇に戻っていた。
俺は、(再びパニクり)急いで、電気を付けたけれど、もうその少女は消えていた。
夢か? 幻か? 幻覚か? 一体なんなんだ?

やがて布団の中で眠りに落ちた俺は、朝を迎えた。
昼食の時、親父がぽつりと言った。「昨日、久し振りに金縛りにあったよ。
その間、お前の寝てる部屋から、何か話し声や笑い声が聞こえてきたがTVでも見てたのか?」
俺は、「え?」と思ったが、もう一つ消せない事実がある。
少女は消えたが、あの子が持って来た小さなうさぎのぬいぐるみは、俺の枕元に残っているのだ。

あの子の言う8年後って一体何なんだ? 
俺の子として産まれてきて、再び再会するという意味か?
でも俺に結婚とか、妻とか、子供とか・・・・うーん、これからもあり得ない事だろな、恐らく。



出典:実話恐怖体験談 四談目
リンク:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1156734282/l50

(・∀・): 410 | (・A・): 111

TOP