ペットにまつわる話

2006/09/28 02:50 登録: えっちな名無しさん

 親の職場の同僚が離婚するにあたって飼ってた犬を手放す事になり、
うちの親がその犬を引き取ることにした。
自分(当時小学4年)は子犬が来ると思ってもうおおはしゃぎ。
後から考えれば、離婚で犬を手放すなんて身勝手な話だと思うが
当時、小学生だった自分はそんなことにまで考えは至らず、
ただひたすら、子犬が来ることが嬉しく、前の日は楽しみで眠れないほどだった。
犬が来る当日、学校が終わるや否や全速力で走って帰った。

 でも来てたのは生後1年半のでっかい紀州犬♂だった。
かわいい名前を色々考えてたのに「じん」と呼ばないと反応しない。
正直がっかりした。

でも紀州犬は賢い犬だから自分とすぐ仲良くなれる
・・・と思ったのは自分だけだった。
散歩に連れて行くとすぐリードをふりきって脱走しようとする。
ご飯をやろうとすると歯を剥き出して襲い掛かってくる。
しまいに自分は腕を酷く噛まれてからじんのことが嫌いになったので、
じんの世話は母親がするようになった。

 暫くしてじんも反省したのか、性格が急激に丸くなっていった。
大人しくなったのでまたじんのことが可愛くなり、自分が世話をする様になった。
するとじんも言うことをよく聞くようになってくれて、
本当に心が通い合っている気がした。
ああ、これでじんも本当にうちの犬になった、と思って嬉しかった。

そして年月は流れ、じんが我が家に来てから約5年がすぎたころ、
ある日散歩の途中、急にじんが狂ったようになって走り出した。
何度も叱っても、全く耳に入らない様子で猛烈な力で引きずられた。
家に来てから今まで一度もこれほど興奮したことはなかった。
何事が起こったのかと自分も気が動転しつつ、じんが向かう先を見て謎が解けた。

じんは5年ぶりに元の飼い主の人を見つけたのだ。
じんは元の飼い主の人に飛びつき、体は喜びのあまり小刻みに震え、
千切れんばかりにしっぽを振りまくっていた。
前の飼い主の人はが人に飛びつかれ洋服が汚れることに嫌そうにしつつ
じんを迷惑そうになでていた。 

自分は育ての親には適わないことを知って、悔しいやら切ないやらで泣けてきた。
じんの事を最初、性格が悪い、と自分は思ってた。
でも、そうじゃなかった。
本当はすごく義理堅くて愛情深いのだ。
うちに来てしばらくは元の飼い主に対する忠誠心から、
自分のいうことを聞かなかったのだ。
身勝手な理由で手放されたのに育ててくれた人のことをいつまでも忘れられない。
じんはそういう犬だった。
犬飼ってる人、頼むから最後まで面倒を見てあげてください。
邪険にされてもやっぱり育ててくれた人が犬は一番好きみたいだ。

その後、じんがあんなに嬉しそうな様子を見せたことは死ぬまで二度となかった。


出典:ペットにまつわる感動話
リンク:http://hobby8.2ch.net/test/read.cgi/dog/1086359595

(・∀・): 136 | (・A・): 46

TOP