従姉妹と私 夏祭り

2006/10/22 22:21 登録: Depend

こんにちは。前回や前々回のものにコメントをくれた方々、有難うございます。
さらにわかりにくいということなので。仮名をつけることにします。
前回の続き、ではなく、少し前の話を書きたいと思います。(最近周りが忙しく、特に変わった話がないため。)

俺:圭
従姉:友
従妹:凛
兄貴:昌

さて、今回は一年前の夏の話になると思います。
もしよろしければ。読んでみてください。

1年前の夏。俺はいつもの様に自分の部屋で友達と遊んでいた。
最近やらなかった音ゲーにはまりだして。みんなで騒ぎながらやっていた。
すると、隣のリビングから母さんの声が聞こえた。

「圭ー!今から友ちゃんたちが来るから。友達とはまた違う日に遊びな。」

なんともむちゃくちゃな理由で解散させられる友達。
だけどみんないつものこととわかっているので、いまさら何も謂わなかった。
従姉妹は二人とも、人がいると極端にしゃべらなくなる。
特に従姉のほうがほとんどしゃべらない。
だから従姉妹家族が来るときは、友達とは遊ばないようにしていた。
大体くると止まっていくので、次の日は休日の日が多い。
今回は夏休みなので、無関係だった。
友達と別れたあと。リビングに向かった。
リビングでは母さんがテレビを見ながら寝転がっていた。

「うへぇ。ぐうたらだね」

「やることやったからいいの。」

「まぁ、いいけどね。」

俺はそんな会話をしながら。冷蔵庫からリプトンを取り出して。コップ一杯分一気に飲み干した。
クーラーは冷房が効きすぎて、寒いくらいだった。

もう1杯、リプトンを入れてた。

「なぁ、友ちゃんたち何時にくるって?」

「んー?しらんよ。そのうちくるやろ」

・・・結局いつも通りなのね。
いつもは昼前に来ることが多かったが。その日は昼になってもこなかった。
夕方、日が落ちて綺麗な夕暮れが見え始めた時間だった。
俺は自室で趣味に没頭(内容は気にしない方向で)
何気なしに窓の外を見てみると。白い車が見えた。

『お、きたか。』

俺は玄関まで出て行った。
いつもと変わらない光景だった。
玄関には2人が立っていた。
あれ?一人足りないような気がする。
一番最初に挨拶したのは、従妹だった。

「おっす!タコちゅう!」

「いらっしゃい。お前ら随分遅かったな。つーかタコちゅうってなんだ?」

「うー、気にすんな」

「気になるっていうか凛ちゃんしゃべり方が男っぽいのな。」

「私は疲れたんだよー」

「疲れてるのとはあんまり関係ないとおもうが。てか来る前に疲れてどうするんだ・・・」

とりあえず布団のある部屋に連れて行く。

「ところで友ちゃんはどこいった?」

「お姉ちゃん?車の中じゃないかな?」

「そうか。ありがと。」

俺は従妹を放置して、クルマに向かってみた。
車の中を覗いても、友の姿は見つけられなかった。
仕方なく自室に戻った。

すると、俺の制服をきた従姉が立っていた。

「うぁ、圭ちゃん。お、おはよ。」

俺は思わず固まってしまった。何より気づかれず入る事ができたことに対して。

「うぁ、じゃねぇよ!つーか俺の制服なんで着てるんだよwwwしかもおはようですか。」

俺の制服は自分からしてもかなり大きなサイズを買ったので。当然従姉には大きすぎる服だ。袖から手が出ていなく。服だけで下まで隠れていた。
い、いろんな意味でかわいいかも、と一瞬思ってしまった。

「う、え?あぁ、今度演劇で男の子のキャラやるからそれで・・・。」

「あんまり関係なくないか?」

「いいじゃん別にー。減るもんじゃないし」

「布地が擦り切れる。」

「意外と細かいね・・・」

「父さん似でね、まぁとりあえずいらっしゃい。今日も泊まっていくのか?」

「一応ねー。あ、パソコン借りてるね。」

「そういうのは借りる前に言うものな。じゃぁ、明日遊ぶ予定も決めようか。」

「あ、予定だけどね。今日のならあるよ?」

俺は思わず時計を見た。時間は6時ちょっと(だったと思う)
今から行くとしたらカラオケくらいしかないだろう。

「この時間からどこ行くんだ?カラオケとかか?」

友はにっこりと笑いながら俺に近づいてきた。

「ね、祭りいかない?」

「ん。祭り?」

「うん、さっきくる途中に張ってあった。」

そういえばこの時期には近くの駅でなかなか大きな祭りが開かれている。
確か今日は二日目だったはずだ。

「その格好で?」

俺の制服をきたままの従姉を指差した。

「ちっがう!普通の服でいくよ!」

「わかった。んじゃ、準備してくるから、お前も適当に準備しといてくれ。」

「うん、わかったー。」

「それと制服ほしかったらやるぞ?」

従姉はぱっと顔を向けた。

「本当?!」

「兄貴がもういらないだろうから。兄のならもってっていいぞ。演劇で使うならちょうどいいだろ?」

「んー。やっぱりいいや。昌ちゃんのはエンブレムおっきいし」

そうやってやんわり断られた。

そして俺達は。親のクルマに乗り、祭りに行った。
兄貴と従妹を誘おうとしたんだが。兄貴はゲーセンに、従妹は眠っていたので、二人できた。

あたりはさっきより暗くなっていた。
だけど、少しまだ明るさを残していた。

「おー、結構にぎやかだな。てか、五月蝿すぎるかもしれない。」

「ちょっと五月蝿いね・・・まぁ、夏休みだしいいじゃん!」

「どういう理屈だ・・・」

「気にしない気にしない!早くいこ!」

わかったわかったと返事をしたところで、俺は重大なことに気がついた。

「なぁ・・・」

「え?どうしたの?」

「財布わ す れ た」

「・・・・・・」

「大変申し訳ございませんでした。取りに行ってまいります。」

こうして二人だけの夏祭りは始まった。

財布を取りに言った後、祭りをじっくりまわった。

「もう、しっかりしてよね?」

「すまん。素で忘れてた。」

「圭ちゃん変なところで抜けてるもんねー。」

「まぁ、否定はしないな」

露天を見てまわっていると、光るブレスレット(曲げると光るやつです。)が売っていた。

友はそれをじっと見ていた。

「うぁ、懐かしいな、よく小さいときの祭りで買ってもらったなー」

「そうだねー、ね、買わない?」

「同じこと考えてたな。おじさん、それ二つください。」

俺は青色のブレスレットを。従妹は赤色を選んで二人で手首につけた。
ぼんやりと光る赤と青が綺麗だと思った。

それから二人で焼きとうもろこしを食べた。
一人じゃ食べきれないかもしれないというから、1本だけ買って半分ずつ食べた。
いつもの祭りより、ちょっとおいしいと思えたような気がした。
従姉も嬉しそうだったから、よしとしよう。

それから、マンゴーヨーグルトなるジュースを手に入れて。ベンチで休憩した。
不気味なジュース(意外とおいしかった。)を飲みながら、少し将来のことなどを話した。

「ね、圭ちゃんは大学いくの?」

「ん、俺は働くと思う、ま、どうだかわからんが。友ちゃんは大学いくんだろ?」

「うん、多分行くんだと思う、お母さんが五月蝿いし。」

「そうか、まぁ、最後は決めるの結局お前だろうし。」

「うん、そうだね。一緒に大学行けても楽しいかもよ?w」

「楽しいだろうけど、金がかかるからね。」

「そっかー。私、高校行くときもよっぽど昌ちゃんや圭ちゃんと同じ学校にしようとしたんだよ?」

「へぇ、でも〇〇商業にしたんだな。」

「お母さんが・・・」

「・・・・・・」

従姉はまじめだったので、お母さんの言うことを聞いたのだろうか。
なんだかやりきれない気持ちになる。
でも、他人の家に口を出してはいけない。と思ってもいた。

「・・・そろそろ帰ろうか。」

「うん、そうだね。あ、ジュースのみきれなかったから。残り飲んでくれる?」

「ん、わかった。」
俺は従姉の飲みかけのジュースを受け取ると。一気に飲み干した。

そして。来た道をゆっくり戻っていると、従姉が立ち止まった。

「ねぇ。あそこはいらない?」

「ん?」

眼を追う先には、定番、お化け屋敷。

「お前、ああいうの好きだっけ?」

「ホラー映画とか怖いけど、大丈夫!」

どういう理由だ。。。と聞きたかったが、入りたいらしいので入ることにした。
中に入ると、かなり狭かったので、互いの肩が触れ合う。
少しだけどきどきしながら、足を進めた。

「ね、手握るよ?」

「ん。かまわんよ」

従姉はゆっくりと手を握ってきた。
夏の暑さとは違う。心地よい暖かさがそこにはあった。

中は真っ暗でほとんど見えないが、通路には蛍光塗料の看板が張られていた。
何事もなく終わるかと思い、出口に近づいた。
すると、真っ黒な髪の女性が立っている。
動く気配は。ない。

従姉と小さな声で。

「おい、何この人、動く気配ないし。」

「どうしたんだろうね、具合でも悪いのかな?」

俺は少し待った後、ポンと背中を叩いて。声をかけてみた。

「あの、大丈夫ですか?もしかして具合が悪いとか?」

すると女の人はいきなり振り返り。

「ぎゃぁあぁぁああああああああぁぁあ!」

大きな叫び声を上げながら走っていた。

従姉と俺は、あまりの出来事に唖然としていた。
そのとき、従姉が俺の腕をしっかりと掴んでた。

不思議な気持ちのまま、外に出ると、さっきの女の人が立っていた。

俺の顔を見ると、すぐに謝ってきた。

なんでも、肩をいきなり叩かれたので、化け物と勘違いしたらしい。
はた迷惑な話だが、あまりにも謝罪してくるので、気にしないでいいといって。その場を離れた。

「さすがに化け物と間違えられた人は始めてみたよー」

「五月蝿いw仕方ないだろう。」

「圭ちゃんの顔が怖かったんじゃないのー?」

迎えの車が来るまで、ベンチで座って待っていた。

祭りの音は、少しずつ静かになってきた。

鈴虫のなく綺麗な声が聞こえた気がする。

「ね、来年もまた、二人で夏祭りこようね。」

「ん、いつも来てるだろ?二人ではないが。」

「いいからいいから、約束ねっ」

「はいはい、約束約束。」

そうして赤いブレスレットを見ながら、嬉しそうにしている。
なんだかこっちまであったかい気持ちになれた気がした。
だけど、光はもうぼんやりと小さくなってしまった。
なんだか消えたらもう、二人で祭りにこれない気して、少し怖くなった。
気のせいだろうがね・・・w
こんなもので喜んでくれるなら、何個でも買ってやるのにな。


そしてクルマの中に入り。そのまま眠ってしまった。

後日、ブレスレットを冷凍庫に入れると再び光ると聞いたので、冷凍庫に3日間くらい入れてみたが。
結局光ることはなかった。

だけど今も、そのブレスレットは、冷凍庫の中で眠っている。



以上です。稚拙な文章を読んでいただき有難うございました。

出典:オリジナル
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