一人旅で気付いた幼馴染への想い
2006/10/28 15:29 登録: えっちな名無しさん
954 :名無しさんの初恋 :2006/10/28(土) 08:23:36 ID:oQYFwZ9K
さて埋めるか
955 :954:2006/10/28(土) 08:53:42 ID:oQYFwZ9K
俺にはエミという幼馴染がいる。幼馴染どころか小学校1年〜中学3年まで同じクラスという腐れ縁で、家も割と近所のため家族ぐるみの付き合いもしてる。
小学生の頃は2家族でスキーとか海とかにもよく行ってたしエミも姉のアユミもうちに泊まりに来たり、俺もエミの家で飯を食わせてもらったりってこともあった。
エミは優等生を絵に書いたようなやつで勉強の成績も学年で5番には入る。
スポーツはたいしたことないがピアノが得意・・・・というと、おしとやかな子をイメージしそうだが性格はすごく明るく、男子女子分け隔てなく話し特に男子からは結構モテてたみたいだ。
俺の方はというと勉強はクラスの平均前後、スポーツは部活でバスケをやってたが、2年の夏にいろいろあって面倒になり退部した。恋愛に関しては、告白→玉砕が1回でモテるわけでもなくほんととりえのないヤツだった。
最悪なのは母親同士だ。
学校で起こったことはエミの母親経由でうちのおかんの耳に入るし、家でのこともその逆ルートでエミの耳に入る。
おかんは何かにつけてすぐエミと俺を比べるし、エミは俺が何かしでかすとまるでおかんのように偉そうに説教する。
昔は一緒にいて結構楽しかったような気もしたが、いつの頃からか俺にとってエミは苦手な存在になっていた。
956 :954:2006/10/28(土) 08:55:11 ID:oQYFwZ9K
中3の夏休みの前、俺は駅に止めてた自転車を盗まれた。
まぁ、そんなにいい自転車じゃなかったしかなりボロかったので、あまり悔しくはなかったがとりあえずの足に困った。
幸い、大学のサイクリング部で、自転車に詳しい従兄がいて3台持ってるうちの1台を譲ってくれることになった。
従兄の家に行ってその自転車を見て驚いた。その自転車は競輪とかの自転車レースで使うような自転車の形をしてた。
俺はその自転車を見た瞬間これで旅をしたいと思った。その想いは夏休みが近づくにつれ日に日に強くなった。
中3の夏休みといえば受験に大事な時期ということは分ってたが、俺は「旅に出る」という言葉に取り付かれたかのように、従兄にいろいろ相談したりして計画を練った。
そして夏休みに入ったある日、おやじに打ち明けた。
957 :954:2006/10/28(土) 08:56:27 ID:oQYFwZ9K
「とーさん、話があるんだけど・・・」
「なんだ、改まって」
「自転車で旅したい」
おやじは少し考えているようだった。
「旅?どこ行くんだ?」
「○○まで行って××回って帰って来る」
「金持ってんのか?」
「3万円くらいある」
「わはははは、3万て野宿かw」
「うん、でも一週間くらいだから1日3千円と計算して2回くらいネットカフェとかマンガ喫茶に泊まるつもり」
958 :954:2006/10/28(土) 08:57:21 ID:oQYFwZ9K
「あのな、世の中なお前の思うとおりにいくとは限らんぞ」
そう言うとおやじは自分のサイフを覗くといくらか出し、デスクの引き出しからもお金を取り出し俺に突き出した。7万円あった。
「それで10万になるだろ。貸しとく。ある時払いの催促なしでいいが、絶対返せ」
「えっ、い、いいの?」
「条件がひとつある。なんかあった時の為に携帯のバッテリー切らさないように旅しろ」
「うん、わかった」
「それから、かーさんにはまだ黙っとけよ、うるさいからなw」
「うん」
おやじが若い頃バイクに乗ってたのは知ってたが○○にも××にも行ったことがあるのに少し驚いた。
受験とか勉強のことを何にも言わないのが少し気味が悪かったが、とりあえずこれで出発できると安心した。
959 :954:2006/10/28(土) 08:59:02 ID:oQYFwZ9K
出発前日の晩飯の時、俺はおかんに宣言した。
「かーさん、俺明日から自転車で旅してくるよ」
おやじはニヤリと笑ったが、案の定おかんはブチキレ。受験があーだ、成績がこーだ、今勉強しないと将来がどーたらって顔を真っ赤にして怒った。
「勉強は帰ってきて頑張るから。それにとーさんの許可はもらったよ」
おかんの怒りがおやじに向いたと思った瞬間、おやじの声のトーンが変わった。
「勉強がそんなに大事か?じゃ受験で失敗したことのある人間の将来は真っ暗か?」
おやじの声が少し大きくなる。
「勉強も大事だってことぐらいマサキだって分ってるよ。でもな、バスケやめてフラフラしとったこいつが自分から言い出したんだろ?気持ちよく行かせてやれや」
おかんはそれっきり黙り込んでしまった。
俺は少しくらいはおやじに信用されてたんかなと思うとなんだか嬉しい気がした。
960 :954:2006/10/28(土) 09:00:49 ID:oQYFwZ9K
出発の朝、自転車とか荷物とか点検してるとおやじが開店の準備(我が家は商売屋)に起きて来た。
「とーさん、行って来ます」
「おぅ」
「あの、かーさんどうしよ・・・」
「大丈夫だ、ほっとけw」
「8日には帰ってくるから」
「マサキ、旅を楽しむ秘訣教えてやろうか?」
「うん」
「あんまり計画を立てないことだ」
「え?」
「計画なんかいくら立てても状況は容赦なく変わるぞ。で、「計画どおり行かない」ってアタフタするより「まっ、こういうこともあるさ」で行ったほうが気が楽だろ」
「うん」
「楽しんでこい」
「うん、じゃ行ってきます」
自転車に跨りペダルを踏み少しずつスピードをあげると、夏とはいえ早朝の風は気持ちよかった。
961 :954:2006/10/28(土) 09:03:17 ID:oQYFwZ9K
出発して3日目。旅は順調だった。さすがにひざしが強く日焼け止めもあまり効かずに体中日焼けしまくってたし、体が少し重い気もしてたが、予定通り明日には○○に到着しそうだった。
夕方、ウエストバッグの中の携帯が鳴っているのに気付いた。見たことのない番号なので無視してたが、しつこく何回もかかってくるのでとってみた。
「もしもし」
「マサキ!!何やってんのっ!」
「はぁ?お前だれだよ」
「エミだよ!エミッ!」
「携帯買ってもらったのか?」
「今日買ってもらった・・そんなことよりマサキ何やってんのよ」
「おかんから聞いたのか?」
「おばさん心配してたよ」
「ウゼェ・・・・・お前に関係ねぇだろ」
「心配してんのにそんな言い方ないでしょ!すぐ帰ってきなさいよ!」
俺はなんか家出少年あつかいされた気がしてカチンときた。
「あのさ、お前が携帯買ってもらって嬉しいのはよーく分ったから、他の人に相手してもらえよ。じゃぁ、なっ!」
962 :954:2006/10/28(土) 09:04:14 ID:oQYFwZ9K
携帯を切るとすぐに、またかかってきた。
「なんだよっ!!」
「話の途中で切らないでよっ!」
「こっちはバッテリー気にしながら旅してんだよ!しょうもないことでかけてくんな!」
一瞬の沈黙のあと
「ばかぁぁぁぁぁ、もう帰ってくんなぁぁ・・・・・・・・・プチッ」
ん?気のせいか?泣いてなかったか?まぁ、いいや知ったことじゃねぇ。いつもエミに説教されてた俺は少しせいせいした気分になっていた。
963 :954:2006/10/28(土) 09:05:43 ID:oQYFwZ9K
次の日の昼、○○に着いた。自分で立てた計画どおりに目的地に着いたので少し自信がついた気がした。
筋肉痛が気になりはじめたのでその日は○○でのんびり過ごすことにした。
土産物屋に入り、おやじとおかんに酒のつまみとかまんじゅうみたいな物を宅配便で送った。代金をレジのところで支払うとガラスケースの中にある貝殻のネックレスが目に入った。俺は昨日の会話を思い出しながらも、エミの土産にと買った。
その後名物を食ったりスーパー銭湯でのんびりしたりして予め調べておいたマンガ喫茶で早目に寝入った。
次の日はそうでもなかったが、その次の日からはいろんなことが起こった。
まず自転車が2回パンクし修理が不慣れなので時間がかかるし、暑くて気分が悪くなり吐きそうになる。
夜になると雨が降りはじめ、寝れる場所を探しながら進むが見つからず結局徹夜で走り続け、明け方マンホールで滑って転倒。
ケガはたいしたことはなかったが足の筋肉痛がひどく歩くのも辛くなった。
それでも××になんとか到着し電話BOXのタウンページでビジネス旅館を探して予約した。
964 :954:2006/10/28(土) 09:07:23 ID:oQYFwZ9K
旅館に着くと年齢を聞かれたりしたがなんとかごまかして2泊し、とにかく体を休めることに専念した。
一日目はひたすら寝てた。
二日目、荷物の整理と洗濯をし地図を見て計画の練り直しをしようとした時、ふと携帯を見るとおやじからメールが入ってた。
○○の土産サンキュ。ありがたく酒のつまみにさせてもらう。
過ぎ去り行く青春を謳歌しようと必死に旅するバカに乾杯!
俺は「こんなこともあるさ」で楽しむことを思い出すとニヤつきながら地図をしまい、おやじに返信した。
とーさんの言うとおりなんでもかんでも思うようにいかないもんだと実感中です。
8日に帰ると言ったけど3.4日遅れそう。
おやじからの返信
了解。まぁしっかり楽しめ。
965 :954:2006/10/28(土) 09:08:59 ID:oQYFwZ9K
夕方になるとまた携帯にエミからかかってきた。
「もしもし」
「あの、この前はごめんなさい・・・」
「いや、俺も悪かったよ」
俺はなぜか素直になってた。おやじのメールを見たからか、心に余裕みたいなものがあった。
エミは探るような口調で話してきた。
「さっきおじさんと話したよ。マサキ苦戦してそうだって・・・・・大丈夫?」
「ははっ、苦戦ってw・・・・・・大丈夫だよ」
俺が笑ったからか、エミがホッとした様子が伝わってきた。
「あのさ、花火大会まで帰ってこれる?」
「花火大会?なんで?」
「えぇぇ・・・・・・一緒に行く約束したじゃん・・・・・・・・」
「はぁ?いつ?」
「去年お姉ちゃんと3人で一緒に花火見に行ったじゃん?」
「あぁ」
「で、来年も見ようねって言ったらマサキも・・・そうだな・・って・・・・」
「なんだよそれ、ただの相槌だろ」
エミの声が震え、とぎれとぎれになった。
966 :954:2006/10/28(土) 09:10:36 ID:oQYFwZ9K
「あ、あたし・・お母さんに・・・あた・・しの・・・浴衣・・も・・・マサキの・・・じんべえ・・・も・・頼んだ・・・んだよ?」
「何泣いてんだよ、こんなことで泣くなよ!」
「だっ・・・て・・ずっと、楽しみに・・・してたのに・・・」
「分ったよ、分ったから・・・12日だろ?間に合うように帰るから」
「ほんと?・・・・でも、大丈夫?」
「なんとかするよ」
おばさんにじんべえ作らせといて行かなきゃマズイよなぁ・・・まぁとにかく今日はさっさと寝よう。
間に合わなかったら土下座でもするしかないな・・・
翌日は朝3時にスタートすることにしてた。日が昇って暑くなる前に距離を稼ぐ作戦だ。
最後の2日は山越えで距離を稼ぎにくいので、なるべく涼しい時間帯に走ることにしてた。
山の中で野宿で1泊し、そのあと昼間は休憩したりしてペースも落ちたが、夜は気が付いたら徹夜で走ってた。
967 :954:2006/10/28(土) 09:12:09 ID:oQYFwZ9K
自転車に乗って一人旅してるといろいろ考えることがあった。
今までの自分の情けなさやら親への感謝とか帰ったら受験勉強頑張ろうとか・・・・・・
一人旅というのは自分と向き合っていろいろ考えるのに時間がありすぎる程ある気がした。
自分の町まであと60?の道路標識が見えたとき、ふとエミのことを思った。
なんなんだ?あいつは・・・たかが花火大会ぐらいで泣きやがって・・・・昔からすぐ泣くくせに付きまとって勝手に世話焼いて・・・・
そいえば、俺が裕子に告白してふられた時も大袈裟に励まされたりしたよなぁ・・・俺いつから、エミが苦手になったんだろ・・
「あぁっ!」
俺はとんでもない事を思い出した。
968 :954:2006/10/28(土) 09:14:21 ID:oQYFwZ9K
それは中1の時だった。クラスで結構モテてたエミと俺が幼馴染ってことを知った男連中が羨ましがるのが理解出来ず「あんなやつたいしたことない」とか言ってたら話がエスカレートしてなぜかみんなの前でエミの胸を触ることになった。
俺はエミの後ろに回り込むと背後から抱きつくようにして両手で胸を触った。
エミは小さな悲鳴をあげて驚き、両手で胸を隠すように押さえながらしゃがみ込んで、俺を見て涙を浮かべた。
男連中から「うおぉぉぉ」と声があがるとバカな俺はヒーロー気分でガッツポーズしてた。まったくバカなやつだ。
その後俺はクラスの女連中から変態あつかいされ、エミに謝れとかさんざん文句を言われたがずっと無視してた。
今思えばあの時からエミに対して、まっすぐに向き合えなくなってる気がした。
エミは1週間もしないうちに前と同じように普通に話かけてきた。
俺はますます引け目を感じて、そのうちエミが苦手になったんだ・・・・
969 :954:2006/10/28(土) 09:16:37 ID:oQYFwZ9K
あの時は悪いことしたな・・・・エミもなんでいつまでも、俺みたいな幼馴染かまってんだろ・・・
あれ?自転車漕いでつらいとかじゃないまったく別の感覚だ。胸がギューッと締め付けられるような感じがする。
俺は無性にエミが愛しくなってた。
俺どうしたんだろ・・・疲れとか眠気とかで頭おかしいのかな・・・・・・
いや、間違いない俺きっとエミが好きなんだ・・・・現にこうやって花火大会に間に合わすために必死で自転車漕いでるしなw
俺は自分がエミが好きなことをはっきり自覚した。
そして「もうエミを絶対泣かさない」「あいつが喜ぶのなら何でもしてやろう」と心に誓ってた。
11日の朝7時頃、俺はフラフラになりながらもなんとか家にたどり着いた。
店におやじとおかんがいて開店の準備をしてた。
970 :954:2006/10/28(土) 09:17:57 ID:oQYFwZ9K
俺は疲れた様子を悟られたくなくて無理やり元気にふるまった。
「ただいま!」
「おぅ、おかえり!わはは、お前真っ黒じゃん、なんだコケたのか?ボロボロだなw」
おやじが笑う。
「まったくこの子は・・・・」
おかんが涙ぐんでた。
「いろいろご心配かけました!明日から勉強頑張ります!」
俺はなぜか素直に言ってた。
残った金をおやじに渡そうとすると
「持っとけよ。それでエミちゃんに何か奢ってやれ」
「え?」
「お前心配してここ4.5日毎日顔出しに来てるぞ」
「そうなん・・・」
971 :954:2006/10/28(土) 09:19:39 ID:oQYFwZ9K
「汗くせぇなぁ、とりあえず風呂入れよw」
「うん」
俺は久しぶりに家の風呂に入ると自分の部屋に行き荷物を開けてたがいつのまにかベッドで寝てた。
途中一回トイレに行った記憶はあるが、部屋に戻ってまた寝てたみたいだ。
何時間寝てただろうか・・・部屋に人の気配を感じて目が覚めた。エミがいた。
「おかえりなさぁいw」
「うぉ!え?なんで?あぁ、ただいま。い、今、何時?」
「11日の夕方の5時前でーす。てか、すごーいマサキ真っ黒だよぉ、ケガは大丈夫?」
「つか、人が寝てんのに何勝手に入って来てんだよw」
「おじさんがいいって言ったもん・・・・・・・・久しぶりだなぁマサキの部屋」
「そうだな」
「あっ、そうそう、これ、はいっ」
972 :954:2006/10/28(土) 09:21:14 ID:oQYFwZ9K
エミのお母さんが作ったじんべえだった。
「着てみてよ?」
俺は断りかけたが着る事にした。
「おぉーマサキ似合ってるよぉ。明日これ着てね」
「おぅ」
俺はエミに買った土産を思い出し、バッグから取り出すと渡した。
「これ、お土産」
「えぇぇ、あたしに?マジで?なになに・・・・・・・・・・・・・・キャーかわいいよぉ、これw」
エミは貝殻のネックレスを取り出すとすごく喜んでくれた。
「ありがとう。マサキにしてはセンスいいじゃん。なんで?珍しいじゃんあたしにお土産なんか」
「さぁ、なんとなく」
俺は明らかにエミを意識していた。必死でいつものように接しているつもりだったけど自分でも自分が変なのに気付いた。
やっぱり昨日つか今朝自転車漕ぎながら感じてたエミへの思いはマジっぽい。
973 :954:2006/10/28(土) 09:22:25 ID:oQYFwZ9K
「さては、マサキ、あたしに恋してるな?」
いつもエミが俺に言ってる冗談だが、この時はなんか見透かされているような気がしてかなりドキッとした。
「ば、ばれた?」
俺は冗談めかしてごまかした。
「なにそれw・・・・・・・・・・・・・・・いつもなら「死ね」なのに・・・・」
「そーだっけ?」
それからしばらく旅の話をしてたが明日エミが家に来る時間を決めるとエミは家に帰った。
ヤバイなぁエミ感づいたかなぁ・・・・
俺はキョドってた自分に少し後悔したが、この時はまさか自分が告白なんかするとは全然思ってなかった。
次の日約束の時間にエミはうちに来た。
974 :954:2006/10/28(土) 09:23:47 ID:oQYFwZ9K
「こんにちはー」
「おぉーエミちゃんかわいいなぁー」
「ほんとー?」
エミとおやじの声がした。
店に降りると水色に花柄の浴衣を着て髪をアップにしてるエミが少し照れたように笑って立っていた。
俺はいつのまにか見とれてた。
「あっ、あれ?アユミちゃんは?」
「お姉ちゃんは彼氏と行くんだって」
「えぇぇアユミちゃん彼氏できたんかぁ・・・って、じゃ今日は2人?」
「そーだよw」
「お前贅沢言うなよ。エミちゃん一人でも、お前にはもったいなさ過ぎるぞ」
と、おやじが俺を冷やかす。
「そーだ、そーだぁ」
975 :954:2006/10/28(土) 09:24:58 ID:oQYFwZ9K
俺は心臓がバクバクしてるのに必死でおどけてごまかした。
「つか、これってもしかしてデートかぁ?」
「そうだよ、思いっきりデートだよぉw」
「エミちゃん、こいつ「今」金持ちだから全部奢ってもらえよ」
「やったー」
店が騒がしいのに気付いたのか、おかんが出てきた。
「エミちゃんせっかくだから写真撮ってあげよう」
エミはかわいくピースして写真に写った。
「おばさん、今度はマサキと一緒に撮って」
「えぇー俺はいいよぉー」
「いいからいいから早く早く」
俺は滅茶苦茶照れたが、エミに腕を引っ張られ写真に納まった。
「あっ、そうだ!」
とエミは自分の携帯をおかんに渡してこれで撮ってくれと頼んだ。
「マサキも一緒に写るのっ!」
俺はもう言われるがままになってた。
976 :954:2006/10/28(土) 09:26:38 ID:oQYFwZ9K
やっとの思いで家を出ると、エミは商店街のゲームセンターでプリクラを撮りたいと言った。
「さっき、さんざん撮影会やったじゃん」
「プリは別なの!」
まぁいっか・・・・俺は今日はエミの言うこと全部聞いてやろうと思った。
商店街は車道が車の通行止めになって、いろんな露店が出ていた。
プリクラの機械の操作とかは、さすがというかやっぱ女の子は詳しい。
何枚か撮ってあとはUFOキャッチャーのぬいぐるみをねだられたりした。
ゲームセンターを出てもその日のエミは超が付くくらいハイテンションで俺はかなり戸惑ってた。
でもその時は、「まぁ、泣くぐらいだからよっぽど楽しみにしてたんだろうな」くらいにしか思ってなかった。
俺はエミにねだられるままに付き合った。
977 :954:2006/10/28(土) 09:28:12 ID:oQYFwZ9K
やがて花火大会の時間が近づいてきて俺とエミはカキ氷を食べながら花火がよく見える高台の公園に向かった。
エミは俺に向かっていちごのシロップで赤くなった舌をだした。
「見て見て、真っ赤でしょw」
ほんとにかわいくてドキッとしたが必死で平静を装った。
俺は「俺達周りからみたらカップルに見えるのかなぁ」とか「ほんとにエミが彼女だったらなぁ」とか思ってた。
「あれ?エミ、そのネックレス・・・」
「やっと気が付いたか、まったく鈍いやつめw」
「浴衣にはちょっと合わないかもしんないけど、せっかくマサキがくれたから着けて来てやったんだぞ」
腕に金魚すくいですくった金魚が入ったビニールを提げ、カキ氷を食べてるエミは、ほんとアイドルみたいにかわいかった。
でも、かわいいと思えば思うほど「俺なんかじゃ釣り合わねぇな」と思えた。
978 :954:2006/10/28(土) 09:29:53 ID:oQYFwZ9K
「お前、今日やたらテンション高いな?」
「そっかな?」
「そーだよ」
「マサキは今日すんごい優しいね」
「どこがだよ」
やがて商店街を抜けて、少し高台にある公園に着いた。そこは花火大会の会場からは少し離れているが見晴らしがよく地元の人しか分かりにくい穴場だったが思ったより見物人が多くベンチは全部人でうまっていた。
俺とエミは座れるところを探し、スベリ台の階段に並んで座った。
やがて打ち上げ花火があがり始めるとエミは「わぁー」とか「きれい」とか楽しそうに眺めていた。
俺は気付かれないように花火よりエミの横顔ばかり眺めてた。
979 :954:2006/10/28(土) 09:31:25 ID:oQYFwZ9K
打ち上げ花火は40〜50分くらい続き、やがて花火大会が終わった。
「じゃ、帰ろうか」
「うん」
「あっという間だったな」
「そだね・・・・・・・・あのさ、また来年も一緒に来れるかな?」
「ははっ、来年は高校生になってるぞ・・・・・・・・・・もしエミに彼氏いなかったらな」
「マサキこそ彼女出来そうだなぁ」
「無理無理、俺は」
「なんで?もしかして、まだ裕子のこと・・・・」
「おいおい、俺そんなに未練がましいヤツに見えるのか・・・」
「いや、そーじゃないけど・・・好きな子いるのかなぁと思って」
「お前こそどーなんだよ、さんざんモテるくせに」
「・・・・・・・・・」
「ん、どした?」
「えーとね、えーと・・・・・マサキ、真面目に聞いてくれる?」
980 :954:2006/10/28(土) 09:34:24 ID:oQYFwZ9K
俺とエミは家の近所の公園のベンチに座った。
「あたしね、小学校の3年生の時からマサキ一筋だよ」
「へ?えぇ?な、な、なにが・・・・」
俺は頭の中が真っ白になって何も考えられなかった。ただエミの口から出てくる言葉を待った。
「マサキのこと大好き・・・・マサキの彼女にしてくんないかなぁ」
「ちょ、ちょっと、お前、な、何言ってんだよ、からかってんのか?」
俺はほんとイタイくらいみっともなくうろたえてた。
「からかってなんかないよ。マサキが突然いなくなって寂しかったよ・・・・・2週間も顔見ないなんて初めてだし。もう幼馴染ってごまかすの辛くなっちゃって・・」
「ちょっ、ちょっと待て、俺の話聞いてくれ」
俺は旅の最後、昨日この町へ60?の道路標識を見てから思ったエミへの気持ちを全部正直に話した。
エミは途中からハンカチで涙を拭きながら「うん、うん」とだけ言って俺の話を聞いてくれた。
981 :954:2006/10/28(土) 09:36:45 ID:oQYFwZ9K
「泣くなよー、頼むからー」
「うっ、う、だって・・・」
俺はエミが落ち着くのを待ってから言った。
「エミ、今までほんとにごめん。俺お前が自慢出来るような彼氏になるからさ、俺の彼女になってくれ」
「うん・・・ずっと一緒だよ?突然どっか行ったりしないでよ?」
「わかった」
エミは目を少し赤くしたまま笑って俺をまっすぐに見つめてきた。
俺は我慢出来ずにエミを抱き寄せると唇を重ねた。エミは目を瞑ってそれに応えてくれた。
唇が離れるとエミは俯きながら照れたような笑いをうかべて言った。
「普通、告白してすぐキスするかぁ?」
「ごめん」
「あやまるなよぉw」
982 :954:2006/10/28(土) 09:38:44 ID:oQYFwZ9K
「ねぇ、もしかしてマサキ、ファーストキス?」
「あぁ」
「やったぁ、よかったぁ〜」
「なんだよそれ」
「ほんとはあたしもマサキも3回目なんだよ」
「はぁ?」
「でも起きてる時したのは今日が初めて」
「起きてる時?」
「小5の夏休みにマサキの家族とうちの家族で海行ったじゃん」
「あぁ」
「帰りの車の中でマサキが寝てる間にファーストキス奪っちゃったw」
「な、な、なんだよそれぇ」
「で、2回目はね・・・・・・・・・・・・・・聞いたらマサキもっと驚くぞぉ」
983 :954:2006/10/28(土) 09:40:28 ID:oQYFwZ9K
「いつだよ」
「昨日w」
「えええぇぇぇ・・・・・・・・・・・マジで・・・・・」
「まじだぜぃw」
「お、お前さー・・・・・ひどっw」
「ごめんね・・・・・・もしかして引いた?」
「まぁいいけどな・・・つか、うれしいかな。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今度お前が寝てる隙にしてやるからな」
「いいよ別にw・・・・・・・・・・・・・・・・・ね、もう一回キスして?」
俺は左手でエミをゆっくり抱き寄せキスした。エミは俺の右肩にしがみついてきた。
なんの匂いかよく分かんないけど、すごくいい匂いがした。気が付いたらさっきより長くキスしていた。
エミは照れ笑いを浮かべて言った。
「うれしいなぁ」
俺も少し照れたが必死にごまかした。
984 :954:2006/10/28(土) 09:42:50 ID:oQYFwZ9K
「そろそろ帰ろうか」
「うん」
公園の出口に向かって歩いていたらジャングルジムの所でエミは俺の左腕に自分の腕をからませてきた。
「マサキ、小学校3年生の時ここであたしを助けてくれたの覚えてる?」
「助けた?」
「うん、○○さんちの犬が鎖外れて逃げ出して大騒ぎになったじゃん」
「あぁ、ジャッキー脱走事件かw」
「あの時、ここで遊んでたらさジャッキーが来てさ、マサキが「エミ、こっち来い!」ってジャングルジムの上にあたしを引っ張り上げてくれたじゃん」
「あぁ覚えてる」
「あたし必死でマサキの腕にしがみついてさ、マサキ片腕で上まで引っ張り上げてくれてさ、マサキってすごいなぁって」
「恐かったよなぁ、あれ。シェパードだったよなぁ」
「あたし、あの時からマサキのこと好きになった気がするよ」
「マジで?・・・・・・・・・じゃ、俺ジャッキーに感謝だw」
985 :954:2006/10/28(土) 09:44:01 ID:oQYFwZ9K
俺とエミは腕を組んだまま公園から出るとエミの家に向かった。
「あれ?送ってくれるの?」
「当然だろ」
「やったぁ、彼女になったらそーいう特典もあるのかぁ」
「でもすぐそこじゃん」
「でもうれしいよ」
エミの家に着くとエミがおばさんに俺がじんべえ着てるの見せたいとかで玄関で待つことに。
986 :954:2006/10/28(土) 09:45:01 ID:oQYFwZ9K
「マサ君久しぶり〜」
「こんばんは。おばちゃん、じんべえありがとう」
「うん、なかなか似合ってるよ。ちょっと大きかったかな?」
「いや、そんなことないよ、全然大丈夫」
「自転車で○○行ったんでしょ、あんまりお母さん心配させちゃだめよ」
「あはは」
「あがってコーヒーでも飲んで行きなさいよ」
「いや、いいです帰ります」
「えぇーいいじゃん」
「いや、いいよ。じゃまたな」
「おやすみなさーい」
「おやすみー」
「マサキー、メールするからぁー」
「わかった、じゃぁ、なー」
俺は一人でいろいろ考えながらニヤニヤしてた。
987 :954:2006/10/28(土) 09:47:06 ID:oQYFwZ9K
ついに彼女出来たぞ・・・・・ってエミが彼女かぁ・・・・
エミ小3から一筋って、ほんとかなぁ
俺、あいつが喜ぶようなこと何かしてやったっけ・・・・あははっ、思い浮かばねぇや・・・くそっ、俺今まで何やってたんだろ・・・
急にエミが、けなげに思えてきて胸がつまった。
小3から4、5、6、中1、中2、中3で6年くらいか・・・今から6年ていったら・・・・大学の4年頃かぁ・・・・・
俺はそんな訳の分からん計算なんかしながら家に帰った。
部屋で着替えてるとエミからメールが来た。
988 :954:2006/10/28(土) 09:48:59 ID:oQYFwZ9K
今日はありがと。一生忘れらない日になったよ。
これからは彼女としてもよろしくお願いしまーす。
俺の返信
俺も絶対一生忘れないと思う。
今まで知らなかった「とんでもないこと」知らされたしなw
こっちこそよろしく。
エミからの返信
また明日会えるかなぁ?会えなかった2週間分取り返したいよぉー
俺も、ほんのさっきまで一緒ににいたのに、会いたくてしょうがなかった。
結局、我慢出来ずにエミの携帯にかけた。
989 :954:2006/10/28(土) 09:50:43 ID:oQYFwZ9K
「あれ、もしもし?マサキ?」
「・・・・・・・・・・俺なんさ、小3からやり直したいくらいだよ!」
「え?」
「エミ、大好きだぁ!!」 プチッ
あははは俺何やってんだろ、完全に壊れてるよwww
エミから携帯がなった
「勝手に切るなぁぁぁ、あたしだってマサキ大好き!!」
俺とエミはこれじゃバカップルだとか言って笑いあった。
携帯越しにも関わらずエミの笑い声が心に心地よく響いた。
おしまい。
出典:幼馴染同士の恋愛
リンク:http://love3.2ch.net/test/read.cgi/pure/1139553169/l50

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