犬のタロ吉

2006/11/24 21:13 登録: えっちな名無しさん

昔、犬を飼ってたんですよ。一匹の子犬。
柴犬で名前はタロ吉っていいましたよ。
うちのねーちゃんがそりゃもうめちゃくちゃに可愛がっていましたよ。
毎日餌もやって、毎日散歩にも行って。
タロ吉もねーちゃんも幸せだったんですよ。
そんなある日ね、突然両親から離婚の話が出たわけですよ。
で、僕らは色々あって結局かーちゃんに着いていくことにしたんですよ。
でも。
かーちゃんの新しい住居はペットは飼えなかったんですよ。
とーちゃんの方もだめみたいでタロ吉を捨てなきゃいけなくなったんですよ。
それにねーちゃんがものすんごい怒っちゃって。
「人間の勝手で飼えなくなったから捨てるなんてあんまりだ!!」って。
わんわん喚いてたんですよ。
今まで見たことないくらいの涙流してたんですよ。
これには流石に僕もいたたまれなくなって、僕からもお願いしましたよ。
タロ吉を捨てないでって。
でもだめなものはだめ、もちろん捨てることに変わりはありませんでしたよ。
僕は観念してねーちゃんに言ってやったんですよ。
「タロ吉、山に返してあげよう? タロ吉、自由にしてやろう?」って。
タロ吉を逃がすためにかーちゃんの運転する車に乗ってもねーちゃんずっとタロ吉のこと抱いて泣いてましたよ。
山に着いてもねーちゃん全然タロ吉のこと離さないでずっと泣いてましたよ。
「ねーちゃん、タロ吉も辛いけど泣いてないんやで? 笑顔で送ってやろうや?」
そういってねーちゃんを慰めましたよ。
ねーちゃんもようやく踏ん切りが着いたのか、車から降りてきたんですよ。
タロ吉…タロ吉…言いながら、顔は涙でぐしょぐしょで。
僕も「タロ吉…じゃあな…」と一瞥して頭をなでたんですよ。
ねーちゃんもじゃあね…と言ってタロ吉を離したんですよ。
そしたらタロ吉がブワァ――――――――ッ!!って全速力で駆け出していったんですよ!!
もう落ち葉とかもブワァ――――――――ッ!!舞い上がって!!
ねーちゃんももう愕然としてて。という話でした。

出典:人志松本のすべらない話
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