西宮雄一 その1

2004/07/05 13:41 登録: えっちな名無しさん

112 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/11 09:28
【11月3日 はれ】

せっかくの休みの日だというのに、親父に朝っぱらから起こされた。
なんか、とっとと身支度しろっていいやがる。 どこへ連れて行くつもりだろう?
俺が幼い頃から母ちゃんが死んで、あまり「親の愛情」ってもんに触れていないからって、
久しぶりに親子のコミュニケーションでも図りたいのか? 

洗面台に向かって寝癖を整えていると、玄関のチャイムが鳴った。
親父が出迎えていたのは、40くらいの清楚な感じのおばさんと、中学生か高校生か
微妙な感じの女の子だった。  
「じゃあ行こうか」と、親父は二人を連れて出かけようとし、俺の方を見て
「お前も来るんだよ」 と、強引に俺を車に押し込んだ。

わけのわからないうちに、高級な雰囲気のレストランについた。
4人で食事会? よくわからない。
席につくなり、ソムリエがワインリストを持ってくる、日本語が載ってねぇメニュー、わけわかんねぇ。
親父は不慣れなのか、照れながら「適当で。」といった。
 
とりあえず自己紹介させられた。 
おばさんも女の子もなんか俺にフレンドリーな感じだ。

料理のコースが進んでいく。
親父と、おばさん、女の子は楽しそうに会話を交わす。
俺だけ蚊帳の外って感じだ。 
「早紀ちゃん、高校受かってよかったね」と親父。
「おじさんにもらったお守りのおかげだよ」と女の子。
「ふふ、早紀、もう『おじさん』じゃないでしょ?」とおばさん。
「あっ、そうか。ゴメンね、おとうさん!」と女の子…… ??

ん?俺の頭にはクエスチョンマークが20個くらい浮かんだ。
が、すぐにどういうか想像がついた。 俺は親父に問い詰めた。
「あら、善次郎さん、雄一さんに言ってなかったの?」とおばさん。
「いや、なんかコイツと二人の時に面と向かって言うのも照れくさくてよ」と親父。
都内の、フランス料理だかなんだかの高級レストランで、俺は、親父が再婚することを、
今日、初めて知った。俺は親父にちょっと怒った。 そういうことはマジでちゃんと言っておいて欲しい。
父と息子男同士、照れてる場合じゃないだろう。

「ええと、な、なんか知らされてなかったみたいね、、突然でびっくりしたでしょう。
 もう、善次郎さんったら、、」 とおばさん。

「あ、ああの、よろしく、、、」俺が新しい家族に向かって出た、精一杯の言葉だった。
「なに照れてんだオイ」と俺の背中を叩きながら親父が笑う。こいつムカツク。

そしたら、
女の子は俺に微笑みながら、言った。「よろしくね、お兄ちゃん」

・・・?なんか、その言葉を聴いて、変な感じがした。


114 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/11 23:07
【11月14日 はれ】

家に、新しくできた家族が住むようになった。
が、しかし、問題があった。
早紀という女の子、新しくできた「妹」、と同じ部屋で暮らさなければいけなくなった。
部屋がないのだ。

もともと、俺には姉がいる。そいつとはこの狭い家で、同じ部屋を共有していた。
二段ベットを置き、こっからここは俺ゾーンってな具合で境界を作っていた。
よくそれで喧嘩とかになったもんだ。
姉はもう社会人となって家を出ているが、最近音信不通になっている。

というわけで、俺の部屋を再び、今度はこの子と分けるようになった。
「今までだって姉ちゃんと使っていたんだから、平気だよな?」なんて親父はのんきに言うが
冗談じゃない。
今度は、いままでは赤の他人だった女の子なんだ。いくら義理の妹とはいっても。

ああ、しばらくは眠れそうにないな。

121 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/11 23:20
【11月15日 くもり】

早紀と二人で、部屋の真ん中に向かい合って座る。
「ええと、早紀ちゃん、とりあえずこの部屋の境界線とか作ろうか?」と俺。
「うん?別に私は気にしないけどな。」と早紀。
「でも着替えのときとか人を呼ぶときとか、なんかそういうもろもろで、
 仕切りみたいのは必要でしょ?」と俺。
「ふふ、友達とかとは外で遊ぶし、着替えるときも別に仕切りなくても平気だけどな。」と早紀。
それを聞いて一瞬、着替えシーンを想像してしまったが、すぐに自己嫌悪と共に我に返った。
なんか、ざっくばらんな子だな。 
まあこんな性格もあって、早紀とはすぐに打ち解けあった。


意外と俺とは趣味もあった。
俺が好きな音楽、好きな映画、好きなゲーム、好きなスノボ、、、
俺が好きなものはみんな、早紀も好きだった。

新しい家族になじむために、無理して趣味を合わせているだけかもしれないけど。
それでも、結構楽しく会話とかできた。 

とうとう、夜がきた。
俺が平常心を装って買ってきたばかりのアルバムを聴いていると、
風呂上りの早紀が、パジャマ姿で入ってきた。

「何聴いているの?」と、俺のしているヘッドホンの片側を取って
自分の耳につける早紀。 一瞬顔が近づき、湯上りの香りもあって俺は妙に興奮してしまった。
その興奮した自分にすぐにブレーキをかけて、取り繕うようにそのアルバムについて説明した。
「あー私も、リップスライム好きだよ!いいよね。この曲。」
といいながら、俺のすぐよこにちょこんと座って、一曲の間ずーっと、二人で聴いていた。

早紀は初めて見た印象ではそんなに、ブスでも美人でもなく、まぁ普通よりはちょいかわいいくらいの
感じだったけど、こうして肩が触れながら並んでいると、やっぱりかわいくみえてしまう。
ああ、この曲がもうちょっと長ければいいのに。なんて思ってしまった。

早紀のパジャマ姿に、目のやり場が困る。
曲が終わると俺は、ヘッドホンを早紀に渡して、風呂にいってくると言い残して
部屋を出た。 やっぱりドキドキしている俺。
湯船につかりながら、平常心を取り戻そうとしていた。

風呂から戻って牛乳パック片手にリビングに行くと、おばさん、もとい新しいお母さんがいた。
さすがにいきなりお母さんとは呼びにくく、英子さんと呼んでいる。
(早紀は親父のことをもうすでに、おとうさんなんて呼んでいるが、、、、)
「早紀と仲良くしてあげてね。」と英子さん。 やさしい顔で言った。
俺は、なんか自分のやらしい部分を見透かされているような感じがして
ちょっと自分の心にカモフラージュするために、訴えた。
「いやぁ、でもちょっとヤバイっすよ、いきなり同じ部屋ですからねぇ。
 せめてカーテンかなにかで仕切れればいいんだけど、ははは。」
とさわやかに。あくまでもさわやかに頑張って言ってみた。 お互い、はははと笑っていた。
2,3会話したあと、俺は部屋へと戻った。

早紀はまだ起きていた。

早紀は「おかえり。」とかわいい笑顔でいった。 すっごく照れくさかった。
せっかく風呂で積み上げた平常心にも早くもヒビが入った。

早紀は、荷物の整理をしていた。
自分の机の上に次々と小物を並べている。
それを横目に、髪の毛にドライヤー当てながら、今日はさっさと寝てしまおうと布団に入った。
「もう寝ちゃうの? まだ10時だよ。」
たしかに、中学生じゃないんだから10時に寝るのは早すぎるとは思うけど、
今日はなんか、妙にドキドキしてるし、ゲームやテレビ見ている場合ではなかった。
「明日早いんだ。 んじゃ、お休み。」なんて言い訳をして布団をかぶった。
「あ、電気消すね。」と気を使ってくれた。「ううん、いいよいいよ、電気つけたままで。まだ片付いていないだろ。」
なんて、言う俺のセリフ、明らかに震えていたような気がする。
今思えば、こんなに過剰にドキドキしなくてもいいと思うが。俺のアホ。

「おやすみ、お兄ちゃん。」、、、、早紀に声をかけられた今日の最後の言葉。
なんかお兄ちゃんって呼ばれるの
すごく、なんか、ムズムズする。 しばらく慣れそうにないや。
寝たふりするのはすっごく疲れる。 本当に寝れたらすごくいいんだけど。

1時間後、早紀の作業が終わったようで、部屋の電気が消され、早紀が2段ベットの上へ
昇っていく様子が伺えた。 

結局そのまま、さらに1時間後くらいには早紀の寝息が聞こえてきた。
なんかホッとしたような、ガッカリしたような、、、、ガッカリ?どういうことだ俺ってやつは。

180 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/13 01:17
【12月5日 はれ】

最近けっこう慣れてきた。 最初の頃よりは別段、早紀を意識しなくなった。
そのかわり、かなり仲がいい。
一緒にCD買いに行ったり、その帰りに映画みたり、
夜遅くまで一緒に起きていたり、お互い会社と学校へ行っている間にメールのやりとりしたり、、、
とりあえず気持ち的には、妹っていうより友達って感じがしてきた。

でも今日、会社から帰ってきて疲れてそのまま部屋のソファーで寝てしまったのだが、
ふと目が覚めると、早紀が真横で寝ていたから
寝顔が間近にあってビックリしてしまった。 
あの頃のドキドキをまた取り戻してしまったよ、くそ。

俺が起きてびっくりした拍子に、早紀も目を覚ました。
「あ、お兄ちゃん、おはよう、、、」だってさ。 もう夜中だというのに変な気分だ。
「なんかお兄ちゃん、気持ちよさそうに寝てたから、私も眠くなっちゃったよ。あはは。」
その純な笑顔に、まだドキドキは収まらない。 なんでだ?

183 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/13 01:27
【12月5日 はれ】

中途半端な時間に目を覚ましたあと、電気をつけて
早紀と深夜番組見ていた。
そのテレビで、売れなさそうな芸人がディズニーシーで大はしゃぎしていたが、
早紀はそれをみて、「ねー、今度一緒に行こうよ。ディズニーシー。」って。
普段から、ディズニーシー行ってみたいって言っていた早紀だが、
俺は、とりあえず、「うん、いいね、行きたいね。」っていつものように相槌うった。
それなのに、「じゃあ、いつ行く?来週の土曜日は?」なんて具体的にスケジュール決めてきたのだ。
早紀はなぜか、やる気だしてるな。 結局、来週の土曜日に行くことが決定してしまった。

そういえば、一緒にどこかへ出かけるのは、近所の映画館やボウリング場とか。
遠出してまでのデートってのはまだなかった。それを考えたら、ちょっと楽しみかな。

そういえば、俺今日風呂入っていなかった。
なので風呂へ行こうとしたら、「あ、私も。 一緒に入ろっか?」なんていいやがる。
俺はあからさまにあせってしまって「な、何いってんだよ。」って。みっともねぇ。
「あはは。冗談だよ。」だとさ。 ちっ。

186 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/13 01:41
【12月13日 はれ】

明日はいよいよ、早紀と二人でディズニーシーへ行く。
俺らが住んでいる千葉県の市川市からは、電車で20分くらいだけど、
今までに比べれば結構遠出だった。 
二人で一日中でかけることを両親に伝えるのはちょっと抵抗あったが、
親父や英子さん二人とも「仲がいい」くらいにしか思われていなかった。 まぁ、実際そうなんだけどさ。

舞浜駅へつくと、人出がものすごかった。
俺は、早紀が人ごみに流されそうになったので、つい反射的に手を差し伸べて、
早紀も俺の手を握って人ごみから脱出したのだが、
結局ディズニーシーに入っても、そのまま手をつないだままだった。 
門をくぐった瞬間にそのことを意識しだしてしまい、多分俺は顔がちょっと赤くなっていただろう。

そこでタイミングが悪いことに、俺の会社の同僚の三上とその彼女に出くわしてしまった。
そういえば三上も今日ディズニーシーでデートだとかいってたな。 失敗した。
三上は「おう西宮!なんだ彼女か?」とか言ってきたので、つい見栄を張ってそのまま
「彼女」ということにしてしまった。 三上一行と別れた後、ちょっと気まずかったけど
早紀は「ふふ、私彼女に見えるのかなぁ? いいのあんなこと言って?」と笑顔でフォローしてくれたのでちょっと気が楽になった。

そして、楽しいデートはあっという間に夜になった。

187 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/13 01:46
【12月13日 はれ】

そのまま疲れながら、帰りの電車に乗った。
運良く、二人ならんで座れたんだけど、早紀はすぐに眠りに入ってしまった。
そのとき、俺の方に寄りかかってきたんだけど、なんか今日はそういう系の事が多くて
もうすっかり慣れっこだった。 あ、いやいや、本当はまだドキドキしていた。

いつの間にか俺も眠り込んでしまい、そのまま、おりる駅を過ぎてしまった。

駅員に起こされたときは、なんと埼玉県にいた。
さすがにもう戻れる電車はなくなっており、携帯の着信をみると案の定家から何件も着信が。
俺は電車を寝過ごしてしまったことを、親父に言い訳して
始発までファミレスかどこかで過ごすと言っておいた。 
親父は、「早紀を襲うんじゃないぞ」とか言っていたけど、そんなつもりは、、、、ない、、たぶん。

188 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/13 02:21
【12月13日 はれ】

俺と早紀は、始発まで暇を潰せそうな場所を探したけど、
どこも見つからなかった。
早紀はとても寒そうにしていたので、近くの店先の階段下のスペースで
ホットの缶コーヒーを両手にもって、二人で小さくなっていた。
俺は、自分のコートを早紀にかけてあげたら、早紀は「二人で着よう」っていって
俺にもかぶせてくれた。 二人で一つのコートをはおいながらコーヒー飲んで
肩とか寄せ合っていた。 俺の心臓の鼓動が聞かれないか不安だ・・・

そのとき、変なおっさんが近寄ってきたので、危険を感じてその場を離れた。
せっかく風よけになるいいポジションだったのに。 あのおっさんのテリトリーだったのかもしれない。あはは。
途方にくれていたら、光々と明かりがついている建物を発見した。
喜び勇んで、駆け寄ったら、
そこは、ラブホだった。 

俺は、これまでにないとてつもない動揺を出してしまったが、それを取り繕うためについ
「とりあえず寒いし、ここ入ってる?」と言ってしまった。最近自分の動揺を隠すために、「とりあえず」って言葉、使いすぎ。
早紀は「いいよ。」ってちょっと赤らんでうなずいた。

部屋に入ると、回転ベットがあって、照明はピンクで、ガラス壁のお風呂があって、、、
というような、ベタなラブホではなかった。 ごく普通のビジネスホテルをちょっと広く、見栄えよくしたような。
暖房の効いた部屋に、ベットに腰を下ろして倒れこんで、ん〜〜〜って伸びをしていたら、
早紀もすぐ隣に倒れこんできた。
やばい、でもまだなんとか理性は十分残っていたよ。
そのまま、布団をかけて二人で一緒に朝まで眠りこけて、次の日に
無事(?)家に帰ってきた。 親父には怒られたが。

早紀いわく、「また行こうね。お兄ちゃん。」だって。 
こんな心臓に悪いデートは、もうやだ。 うそ、うそ。ヤダでもなかったりする・・・・

205 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/13 22:52
【12月24日 はれ】

今日はクリスマスイブ。 お互い学校や会社帰りに待ち合わせをして
食事をする約束をしていた。
今日は俺の親父と英子さんは、新婚気分中ってことで二人も出かけているのだ。
だから、俺らも多少遅くなっても問題なかった。

ディズニーシーの一件以来、俺と早紀は出かけるときは手を繋ぐようになっていた。
慣れてしまえばごく普通のことなんだろうけど、やっぱり変な感じ。

おいしいと評判のスパゲティー屋でお腹いっぱいになった後、ちょっと街をふらふら歩いてみた。
そこかしことカップルだらけで、早紀も「やっぱりクリスマスイブだね〜」とか言う。
どうなんだろう。 最初、大学生だということがビックリしたくらいの童顔な早紀だが
俺と一緒にあるいている姿は、カップルと見られているんだろうか?

駅前の外人が売っている路上アクセサリー屋で、5000円くらいの指輪買ってあげる。
いい社会人が、クリスマスプレゼントにそんなチンケな安物アクセっつーのも情けないが、
妹にちゃんとしたクリスマスプレゼントをあげるっていうのも、どこか恥ずかしい。

にもかかわらず、早紀はうれしそうにず〜っと指輪を眺めてた。 アホか。

そういえば、俺の姉貴も毎年クリスマスには俺にTシャツやら、セーターやらくれたっけか。
俺は、どうせならゲームがよかった。とか、だっせえ。とか文句たれて、俺からは何もお返ししなかったけど
(それについては勿論、ビンタくらったけど)
姉貴のプレゼントは全部、現在の保管場所を網羅しているほど、大切にとっておいてある。

そうか、早紀もこんな感じなんか。

家に帰ってくると、ガラーンとしている。そうだった。親父も英子さんも出かけているんだった。
早紀とふたりっきりか・・・・

早紀とふたりで部屋にもどると、俺はとっととネクタイはずして普段着に着替えてソファーに倒れこんだ。
早紀は俺のところに座って、「今日は疲れた?」とか言いながら頭なでてきた。
俺がかなり疲れている表現をすると、早紀は「じゃあ、さっきの指輪のお返しに、マッサージしてあげる。」
と、俺の背中に乗りかかり、肩をもみだした。

ひ弱な女の子のカタモミなんて気持ちよくもなんともないが、
広い家で二人っきり、こんなに密着されると、いやがおうにも意識してしまう。くそぅ。
「あんな安ものの指輪で、そんなにうれしいか?」と聞くと、早紀は頭を俺の肩に、もたれかかってきながら、
「すっごい、うれしかったよ。 どんなものでもうれしいものだよ?」といった。 かわいすぎるんだよ。

それがきっかけで、今までもらったプレゼントトークになってきたのだが、
俺が姉貴からの毎年のクリスマスプレゼント話をすると、
なんか早紀はさっきとはちょっとかわって、そっけなくなってしまった。 ??機嫌が悪くなったのか?よくわからない奴だ。

今日はそのまま、二人とも眠りにつこうとした。
と、思ったら、早紀は二段ベットの上から降りてきて、
「なんか天井のシミが幽霊の顔みたく見えるから、今日は下で寝させて。」と言ってきた。
「じゃあ俺が上にいく」って言おうとした前に、早紀は俺のベットの中に入ってきた。
俺はそのままベットから出られなくなってしまった。

しょうがないからそのまま早紀と添い寝した。 久しぶりだ。こんなに眠れない夜は。 あ〜あ。

それにしても、天井のシミなんて、今日突然ついたもんじゃないだろうに。
何故今日に限ってそれが幽霊にみえるんだろう。

そんなことを考えながら、早紀の寝顔を見ていたら
早紀はこっちに寝返りうってきた。 こんなに顔と顔が近づいたのは初めてだろってくらいの距離に
早紀の顔がある。

どうしようもなくなり、俺は早紀に背中をむけて何とか寝付こうとした。
それなのに、早紀はどんどん俺の方に体勢を変えてくる。 寝相が悪いにもほどがある。
あ〜、マジでやばい。 やばすぎる。 もうだめかも。

232 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/14 22:37
【12月31日 はれ】

大晦日、カウントダウンの時に一緒にテレビをみてすごした。
なのにあとちょっとで新年ってところで早紀が、俺にもたれかかって眠ってしまった。
その寝顔がけっこうかわいかったので、ついちょっと見とれてしまった。
カウントダウンの瞬間だけ起こしてあげたが、すごく眠いというので、ベットで寝るように言った。
したら、「いっしょに寝よう」だと。 俺はちっとも眠くないのだが・・・

しょうがないから、ベットに運んでやって完全に寝付くまで添い寝してあげた。
クリスマスの日から、早紀とは一緒の布団で寝ているから、その辺はもう慣れてしまった。
が、早紀は俺の頭の下に手を回して抱きついたまま寝てしまった。 成り行きで俺も早紀を腕枕する形になった。
早紀の腕を俺の方が押しつぶしている。 つらくないのだろうか?

それにしても動くに動けない・・・ 寝息が俺のアゴのあたりをくすぐる。なんか、もう、限界。

早紀の寝顔を見つめていると、本気で変な気分になってくる。くそ。
完全に寝付いてしまったようだ。
「早紀」となんども声をかけ、それを何度も確認すると、俺の中になにやら怪しい色の感情が湧き上がってきた。

とりあえず俺はキスをしてみた。 とりあえず軽いやつ。
・・・なにも起きない。 ノーリアクション。

が、なぜかいい年した野郎の行動として、無性にみっともなくなってきたので、やめようとした。
でもやっぱり、最後に下唇をかるく吸って、それでやめようと決めた。
早紀はまだまだ眠っているようだ。 おそるおそる早紀の下唇を自分の唇ではさんでみる。
やっぱり起きない。 そのままの体勢をしばらく楽しんでいた。

ふと、早紀が微妙に唇を動かしているような感じがした。 あわてて俺は唇をはなした。 早紀は起きない。
俺は早紀を起こさないように、ベットを出た。
タバコを吸いすこしは、冷静さを取り戻した。 自分にビンタを2発いれて、なさけなさをかみして、ソファーで寝た。寒すぎる。

やな年明けだ。

242 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/14 23:14
【1月1日 はれ】

早紀といっしょに初詣へ出かけた。
晴れ着姿の早紀は、童顔のせいもあってか、めちゃめちゃかわいく見えた。
車で、ちょっと遠くの大きな神社へ向かった。

神社で賽銭を済ませた後、まだまだ時間もあったのであたりを散歩して回った。
甘酒程度で、顔が真っ赤になっている早紀は、いつにも増して密着してくる。とはいっても
着物着ているから、それほど密着感は感じられなかったが。

途中で親父と英子さんを家へ迎えに行き、そのまま午後は新年の親戚まわりをした。
その間、早紀はずっと俺のそばを離れなかったので「仲がいいわね」と親戚のババァどもに冷やかされる始末だった。
俺はもう早く帰りたい一心で、ずっと無表情だった。 なぜか早紀はニッコニコしてたが・・・

家へ帰り、早紀も普段着に着替えると、家族4人居間でテレビを見ていた。
俺は親戚まわりの疲れで、早々に部屋へと戻ったが、すぐその後を早紀が追ってきた。
なんかこいつ、今日はやけになついてくる。 ウザくはないけど、ちょとやりにくい。

部屋でしばらくテレビを見てると(結局テレビみてる俺・・・)
早紀は「疲れたー」っていいながら俺に抱きついてきた。
俺ももう抵抗する力もなく、そのままもたれかかって一緒にまったりしてた。

それにしても、夕べのこと、バレてないよな? あの時、ちゃんと寝てたよな?
ちょっと不安になってきた。

253 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/15 23:40
【2月10日 はれ】

最近は休みの日とかはほとんど二人で出かけ、いろんな所へデート(?)した。
早紀はいっつも俺のそばを離れず、俺がちょっとトイレへ行こうとするにもついていこうとするほど。 かわいい。
そんな早紀と、とうとう今日、キスをしてしまった。 正確にはもうすでにしているんだけど。

俺が会社から持ち帰った仕事を、部屋でノートパソコンに向かって励んでいると、
そこへ早紀が大学から帰ってきた。 
早紀は俺の背中にぴったり自分の背中をつけて、「疲れたよー」と、かまって欲しいオーラ全開で叫んだ。
「なに壊れてんだオメー」と声かけると、いきなり早紀は俺のわき腹をくすぐってきた。
そういう時は俺もやりかえす。 こういう意味不明なじゃれあいはもはや日常茶飯事だったから。
やさしく軽めに早紀を突き飛ばすと、早紀はオーバーに、転がって行った。
そこでドアに体当たりして、「痛たーーー」と頭抑えて涙目だった。 あいかわらずアホな奴だ。

ふと早紀はドアのところから動かない。 なにやら本棚と壁の隙間を眺めている。
「なに見てんだ?」「何これ?」「?」
早紀が隙間から取り上げたのは、写真立てだった。
そこには、俺と姉貴が昔スキー場でとったツーショット写真だった。 
親父が撮ったもので、俺にとっては何の変哲もないタダの姉弟の写真だった。 
どこへ行ったかと思ったら、こんな隙間に落ちていたのか。

早紀は「誰、この女の人?」と、さっきのじゃれあいモードから急に無表情になって言った。
そういえば、姉貴はここ一年音信不通で、早紀は俺の姉貴の顔をしらなかったのかもしれない・・・・

「あ、いやそれ姉貴だよ。」と俺。
「うっそ〜、彼女でしょ。」と、冷やかしながら、しかし決して目が笑っていない早紀が返す。
「いや、姉貴だって。」
「本当に?」
「そうだよ、これだって。これが、俺にほら、クリスマスプレゼントとか毎年くれて・・・」
「ふ〜ん、でも仲よさそうだね。 腕組んでるし。」
「ああ、んまぁ、ね。」

しばらく沈黙が続いた。 なんでこんな空気になったのかはわからない。
ただ、早紀はさっきとはうって変わって、ものすごく機嫌が悪くなっているのは確かに感じ取れる。
間に耐え切れなくなって、俺は背中を向けて仕事の続きをしようとした。
が、手につかない。 間を繋ぐために、
「それ、俺が高校生くらいのころに家族3人でスキーいった時の写真なんだよ。
 家族でどこかへ出かけるなんて、それ以来なかったなぁ」
と、ペラペラしゃべりまくった。
「ふーん。」と、早紀は平坦な声で相槌を打って、俺の背中にぴったりと自分の背中を合わせて座った。
背後から早紀が話しかける。
「お姉さんってキレイな人だね。」
「そう?まぁ身内から見たらそれほどでもないと思うけどね。俺の友達は美人だって言ってたけど。」
「お姉さんのこと、好きだったでしょ?」
「え?何で?い、いや、別に?」
「だって、お姉さん、キレイだもん。」

流れがだんだん妙な方向に向かっていることはわかってきた。

こんな会話が続いている。 俺は仕事が手につかない、つくわけねーよ。
「まぁ、キレイかもね・・・」
「キスとかしちゃったりして」
「は、はぁ?してるわけないだろ・・・」
「本当に?」
俺はここで振り向いて言った。
「どした、なんかお前、変だぞ?」

すると、早紀も振り向いて、うつむきながら
「なんでもない。」とつぶやいた。
おもわず顔を覗き込んでしまったのだが、これがまずかった。
突然顔と顔が急接近してしまい、しかもこんな空気だから、いやがおうにも緊張してしまった。
さらに悪いことに、妙な沈黙の間ができてしまったのだ。

こんな流れにそのまま身をまかせ、俺は『起きている』早紀と初めてキスをした。
3秒くらいの軽いキスだったが、
唇を離した後、早紀は俺の首に手を回してもたれかかってきた。

そのまま動けなかった俺、、、、このあとどういうリアクションをとればいいか必死に考えていた。

最初にしゃべったのは早紀の方だった。
「実はね・・」
「何?」
「本当は起きてたんだよ、あの時。」

その言葉を聞いて、俺は頭の先から体の中を水滴が突き抜けるような、
フルフルっとした寒気を覚えた。
「あのとき?」と、一応必死にとぼけてみせた。
「大晦日の夜。 キスしてくれて、すごくうれしかった。」
「・・・・・・・」俺はもう、なにも言葉がでてこずに、そのまま早紀を抱きしめていた。
「なんか、その後お兄ちゃんが自分で自分をビンタしてる所も見てて、、、
 お兄ちゃん、魔がさしたんだろうなぁって、ちょっと面白かったよ。
 でも、もうしてくれないのかなって思ったら、なんか悲しかったんだけど、
 今こうやって、またキスできて、すごくうれしい。」

そうやって、時間にして5分くらいずっと抱き合ってた。
俺にとっては1時間くらいにも感じられたが・・・・あ〜あ。

結局、家に持ち帰った仕事はそのまま止まったままだった。
早紀はそのまま眠ってしまっていた。 これも寝たフリか?
と思ったけど、「疲れた」と言っていたし、とりあえずこの後どうしていいかわからないから
早紀は疲れて眠ってしまったということにして、早紀をベットに寝かせた。普段着のままだったけど、まぁいいや。
俺はタバコを吸おうとテーブルに手を伸ばそうとしたら、
早紀は俺の手を引っ張った。 やっぱり寝たフリか・・・・
早紀に引っ張られるまま、俺もベットに入った。 
そんでそのまま、早紀と抱き合ったまま俺もいつのまにか眠ってしまった。
まだ夜8:00だというのに。

こうして、長い一日(特に夜7:00〜8:00くらいの間が)は終わった。
俺も本当、疲れた。

続編:西宮雄一 その2
http://moemoe.mydns.jp/view.php?article_id=552

出典
妹とSEXしてしまいました
http://tmp.2ch.net/lobby/kako/1018/10182/1018213893.html

(・∀・): 158 | (・A・): 51

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