スーパーナチュラル

2007/01/09 01:39 登録: えっちな名無しさん

友人の話だが、彼は来週に迫った山登りのために自宅で準備をしていた。
妻は毎度の彼の行楽に少々あきれていたようにみえたが、
一緒に荷造りを手伝ってくれたそうだ。

登山二日目、彼は水にあたったのか、ひどい下痢に見舞われた。
脱水になり、疲労困憊、救急セットの中に何か使えるものはないかと
あさっていると、入れた覚えのない整腸剤が入っている。
服用するといくぶん楽になり、歩きだす事ができた。

家に帰って、妻にその事をいうと、自分が入れたと言う。
「なんとなく、必要になる気がしたの。」
彼の細君は、たびたびその妙な勘の冴えを発揮し、家にいながら
彼の窮地を何度も助けているそうだ。



いつものように山登りの準備万端ととのえた夜、
彼が地図を眺め明日のルートをおさらいしていると、玄関で物音がした。

そっとドアを開けて覗くと、寝ていたはずの妻がごそごそ何かしている。
彼「な、なにしてんの?・・・」
妻「ん・・・なんとなく。入れといた方がいいかな〜って思って・・・」

寝ぼけ眼の妻が、ザックに包帯やらガーゼやら詰めていた。
一体いくつ入れたのか、ザックはぼこぼこに変形し膨れ上がっている。

これが必要な事態って、いったいどんな状況なんだ?
ぞっとした彼は、その登山を取り止めたそうだ。



彼女曰く、勘の働く時は常に「なんとなく」なんだという。
漠然と、こうした方がいいかなぁと思うだけなんだそうだ。
残念ながら、子供を産んだ後、その能力は徐々に弱くなったそうで、
今ではほとんど、その力が働くことはないという。

しかし最近、彼女は不思議な体験をした。
ベビーカーを押しながらスーパーへ買い物に行っていると、携帯が鳴りだした。
彼女が出ると、相手は市内の病院の看護婦であると名乗り、
彼が交通事故にあい手術が必要になるので、至急病院へ来て欲しい、と言った。
動転した彼女は大慌てで病院に駆け付けた。

幸い、命に別状はなく足の骨折だけであり、手術も無事に終わった。
手術室から出てきて照れくさそうに笑った彼を見て、
彼女は思わず泣いてしまったという。

ところで彼女はひどい機械音痴である。
携帯も苦手で、主婦になってからは家に置きっぱなしだそうだ。
当然その日も携帯は家へ置きっぱなしのはずだった。
だが、その着信音はベビーカーから聞こえてきた。
1歳にならない娘が、にこにこしながら、
よだれだらけの手で携帯を持っていたという。

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