２人の想い出

わたしは高校二年生まで男性経験なんて一度もなく、付き合った男の人もいませんでした。

しかし二年生の夏にあなたと出会ってから、わたしの人生は変わりました。
１７年間純粋で生きてきたわたしに、突然告白してくれたあなた。

あなたは見た目は派手で、目立ちたがり屋でしたね。
見た感じでは不良にしか見えないので、あなたを恐れる人が大勢いたのをわたしは知っています。
実際わたしもそうでした。あなたに「好きだ」と告白された日。
わたしは初めどうしても信じられませんでした。
あなたはモテるのに、なぜわたしなの？と何度も思いました。

結局断れないまま、あなたと交際を始めたあの日から、わたしには毎日毎日が新鮮で素晴らしいものでした。

あなたはわたしのどこが好きだったのですか？
そう聞いても答えてはくれませんでしたね。
男の人と付き合うのがどういうことか分らなかったわたしは、初めのころはあなたを困らせてしまうことも沢山あったでしょ？
なにがあっても、どんなに腹が立っても嫌な顔一つせず、わたしと付き合ってくれてありがとう。
そんなあなたにだんだん心を開いていくわたしがいました。
わたしが処女だということを知り、でも欲求がたまるあなたは、わたしが怖がらない程度にいやらしい事をしてくれましたね。
でもしたいのに我慢しているあなたを見て不安になる事だってあったんだよ？
わたし、初めてがあなたなら良かったのに。

あまり２人きりになると、いやらしい事を我慢出来なくなるからっていって、いろんな所に連れて行ってくれてありがとね。

わたし映画館やカラオケよりも、２人で手を繋いで公園のベンチに座って空を見上げるのが１番好きだったよ。変な雲があるね〜とか、夜に星を見上げたり…。
まるで子供みたいだけど、馬鹿なことを言い合ったあの時間が、わたしには１番楽しかった。１番幸せを感じた。
そういえば、あなたが告白してくれた場所もこの公園でしたね。
この空はあなたとのいい想い出です。

あまりにはしゃいでて、車にはねられそうになったわたしをかばって助けてくれましたね。
あなたは救急車で運ばれる車内でもわたしの名前を呼んでくれた。
意識がもうろうとしてるのに、ありがとうね。本当に嬉しかったよ。
お願いだから元気になってよ。また馬鹿なこと話そうよ。
ご臨終なんて冗談でしょ？さっきまであんなに元気だったんだよ？
目覚ましてよ！また笑ってよ…。

…人間は恋人との別れが来ると想い出を消そうとする。
でもわたしはこの空があなたとの想い出です。

どうしても消せないよ…。
この空を見上げる度にあなたを思い出します。
あなたは今わたしを思い出してくれていますか？

今はお互い違う道を歩いていますね。
あなたといた数年わたしは幸せでした。
今日も空を見上げる。あなたの想い出はわたしの胸にいつまでも残っています。
いつになるかわかんないけど、わたしが行くまで待っててね。
わたしもいつかそこに行ったら、またあの頃のように馬鹿なことを言いながら、手を繋いであの空を見上げてね。



出典：オリジ
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