ごめんなさい・・・

今から７年前の小学生の頃、妹（８）とプールでお母さんごっこをすることになり、私（１２）が母役をすることになった時のお話です。
そして妹が「お母さん助けて〜」とバシャバシャと見事な溺れるふりを披露してました。
私は「出番だ！」と思い近寄ろうとしたその瞬間！！
突然、屋内プールに響き渡る大声で、自分の子供の泳ぎを見学していたであろうスーツ姿の中年の男性が
「待ってろおおおおおおおお！！！」
と叫んでスーツのままプールに飛び込みこちらに猛スピードで泳いできたんです！！
館内は静まりかえり、溺れるふりをしている妹だけが気づかずに演技をつづけています
。
そして男は妹の元へたどり着き必死でプールサイドの人達に
「私が助けますからぁ！！監視員は人工呼吸をぉぉ！！それと医務室にも連絡をぉぉ！！！」
などと必死でした！
「大丈夫かぁ！！しっかりしろぉぉ！！！」
妹に問いただします！
しかし、突然演技を邪魔されたことに憤慨したのか妹は
「はなしてよ！怖いよ！！おねえちゃ〜ん！！！」
と男をはねのけ得意の名クロールですぐさま泳ぎ去りました。
私は他人のふりをすることしかできず、ウォータースライダーの陰から一部始終を見ることしか出来なかったです。
ひとり取り残された男はしばらくその場にたたずんでいたのち、お世辞でも上手とはい
えない平泳ぎでプールサイドにあがりました。
ポケットの中からびしょ濡れになった財布やらタバコ、携帯電話を取り出すと涙をこらえるかのように天を仰いだまま動きません。

周りの人々は必死で笑いをこらえていました。

「何こいつ？バカ？」「帰りどうするんだろ？？」「携帯アウトだね」
などヒソヒソ話をする人もいました。



私は妹を捕まえ、急いでプールを後にしました。

スーツ姿の男性（温水洋一さん似？）ホントごめんなさいでした。。

出典：思い出
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