ナメクジ
2007/03/01 16:23 登録: えっちな名無しさん
中学の時だったかな。凄くいじめられていた子がいた。あだ名はナメクジ。
とても汗っかきらしく、春あたりになるとひとりだけ額に汗してた。だからナメクジ。
その症状さえなければきっとモテてたと思う。目はパッチリ二重で唇が大きくて
笑うとえくぼが可愛かった。俺はその子をいじめもたすけもしなかった。
ナメクジに対するいじめは次第にひどくなっていった。よくあるノートの落書きだとか
机の落書きだとか、そういう姑息な手は使わずにストレートにナメクジに暴力を
振るう奴もいた。体育の時。運動後だから普段よりも汗をかいていたナメクジに
頭からバケツで水かけた奴がいた。どうせ汗で濡れてるからいいだろうと。
服を塗らされたナメクジ。下着の替えはさすがに持ってなかったからか
濡れた下着をはいたまま席につく。すると椅子が濡れてびちょびちょに。
次の日からナメクジはお漏らしをするという新しいいじめ要素を付加された。
暇な時間はクラスの多くがナメクジイジメをしていた。俺はいじめを止めようと
思ったが、止められなかった。俺もじめられるかもしれないからだ。
ナメクジは次第に笑わなくなっていった。
9月。その頃俺は友達に面白い小説を進められ、そこから読書にふけるようになった。
放課後家で読む本を借りるため図書室にいくと、そこにはナメクジがいた。
ナメクジはいつも放課後一人で図書室にきているのだろうか?他のクラスメイトも
いない事だし、俺はナメクジに始めて話しかけた。ナメクジはいじめられると
思ったのか、うつむいたままかすかに震えていた。俺は何もしないということを
ナメクジにわからせるために随分時間を費やした。
まだ警戒心を完全に解いてはいなかったが、ようやくまともな会話ができるようになった。
俺は読んでいた本の話をふると、ナメクジもそれを読んだという。二人でその本に
ついて、かなり長い時間話したと思う。新学期に成り立ての頃見て以来の
ナメクジのえくぼを見た。なぜか嬉しかった。それから俺達は待ち合わせする
わけじゃないが放課後図書室でよく会うようになった。多分互いにあえるように
うまく時間を合わせてたと思う。
10月のある日。いつも通りナメクジと会うために図書室に向かうと、ナメクジの様子が
変だった。近づくと理由がわかった。ナメクジの制服の背中がカッターナイフか何かで
切り裂かれていた。今まで図書室で会って話しをしていたが、きまづくて一度も
イジメの事について話したことはなかった。でも今回はふれずにはいられない。
体育から帰ると、ナメクジの上着がなくなっていて、ゴミ箱の中にあったという。
よく見るとカッターで切り裂かれていたそうだ。ナメクジはこんな事をしたのは誰なのか
犯人を見つけようだとか、先生に訴えようだとか、そういう事は言わなかった。
上着は高いからお年玉じゃないと買い換えられないとか、あなが空いてると
これからの季節は寒いだとか、能天気な事をいってた。
俺はナメクジを助ける事ができなかったから、その能天気にあわせた。
そしていつも通りの本の話になった。それから一時間ばかり読書しながら
会話した後、いつものように別れようとしたら、ナメクジがいつもと違う
声色で話始めた。本当はイジメが凄く辛いんだと。もうこれ以上たえられないと。
気づくとナメクジは涙を流していた。俺はそれを軽いトーンで励ました。
卒業するまでの辛抱だ。そしたら毎日楽しくなる。そういうとナメクジは、卒業しても
一生この体は治らないからいじめ続けられるんだといった。これを見てといって
腕をはだけた。もうすぐ冬なのに汗ばんでる。こんな体誰が好きになるの?と
俺に問いかけた。俺は別に平気だけど?といった。ナメクジは嘘をつかないでと
叫んで涙を流した。俺はとっさにナメクジを抱きしめた。ホラ、全然へっちゃら。
平気だろ?といった。ナメクジは何も言わず俺を抱きしめ返してきた。
出典:2ch コピペ
リンク:さぁ?

(・∀・): 209 | (・A・): 57
TOP