社会の先生
2007/03/12 13:38 登録: えっちな名無しさん
56 :大人になった名無しさん :2007/01/30(火) 22:01:01
中学の社会のある男の先生。
その先生に地理を習った。
小柄でやせていて近視がひどいのにめがねをかけていなかった。
「一番前の席の生徒の顔は見えるんですがね、二番目からはカボチャやら何やらが並んでいるのと同じです」
やや早口のぼそぼそとした声だった。
叱らない先生だったが、生徒が騒ぎもしなかったのは語り口がおもしろいので、皆聞き入っていた。
授業にはチョーク一本持ってくるだけ。
「教師になって最初の一年は授業のノートを持って教室に入りましたが、二年目以降は内容が同じですからチョーク一本でたります」
黒板にその日の習う地方の地図を書き、都市山脈河川主要道路鉄道路線、全部先生の頭の中に入っていた。
「ぼくは大学院で化学を専攻していました。教師になっていなければ、どっかの研究室に入って公害をまきちらす研究をしてたでしょうね」
化学を専攻して社会科の教師になるなんて、変な人だなと思った。
「免状といえば、家庭科の教師の免状も持っています。書いた論文が蚊に関する論文で、なぜか知りませんがそれで家庭科の免状ももらえました」
もしかしたらこの先生はすごい先生なのかな、と思った。
「でも、自分でご飯を炊いたこともないんです。さすがにご飯も炊けない者が家庭科を教えてはいけないでしょう」
おれが卒業する前に、その先生はめがねをかけるようになった。
「めがねってすごいですね。教室の一番後ろの生徒の顔まで見えるようになりました」
その先生はたぶん皆から好かれていた。
出典:?
リンク:?
(・∀・): 239 | (・A・): 65
TOP