京都名物“ぶぶ漬け”
2007/03/13 09:35 登録: えっちな名無しさん
京都名物“ぶぶ漬け”
テレビでお茶漬けのCMを見た時に、ふと思い出したことがある
京都ではお茶漬けのことを、ぶぶ漬けと呼ぶのだ
このぶぶ漬け、京都ではお客さんに対して「帰っておくれやす」という時に出すものらしい
例えば、家にやってきたお客さんがなかなか帰るそぶりを見せない時
そろそろ帰って欲しいな〜。と思ったら静かにぶぶ漬けを出す
そうすることにより、お客さんは「そろそろ帰らなければ」と思って帰るらしい
なぜ客が「そろそろ帰らなければ」と思うか?
詳しい理由はわからないが、とにかく京都の家でぶぶ漬けを出された
若しくは「ぶぶ漬けを出しますね」と言われたら帰るのがマナーであるらしい
どうせ都市伝説だろ?とか、まさかそんなコトしないでしょ?
なんて思う人もいるかもしれませんが、実際のところどうなのか…
今回は、この都市伝説的な豆知識をふまえて
ぶぶ漬けにまつわる、とあるエピソード(完全実話)を読んでいただきたい
これは友人が体験した話で、別に京都の人間全てがこういった人ではないということを前置きしつつ、「ぶぶ漬け」という単語が出てきたら「帰っておくれやす」と読み替えていただけると、より楽しめるかと思います
それは、友人Aが京都に旅行したときの時の話である
そのAには、京都に行ったら寄ろうと心に決めていた料理屋があった
ガイドブックに載るほどの有名店で、各界の著名人も多数出入りする店である
しかしAは、京都についての知識をそれなりに持っていたので
その店に入るのをためらっていた
なぜなら、京都の有名店、いや京都の料理屋は大概が「一見さんお断り」の店だと聞いていたからだ(※一見さん→誰からの紹介もなく、初めて店を訪れる客)
普通の料理屋でも「一見さんお断り」だという噂があるのに、果たしてその有名店に入れるのだろうか?
Aはビクビクしながらも、その有名店に足を踏み入れることにした
ダメでもともと!断られたら断られたでしょうがない
まずは、その店に行ってみよう
断られたら諦めよう、それでいいじゃないか
とにかく行かずに諦めるなんて悔いだけは残したくない
Aは勇気をふりしぼり、単身その店ののれんをくぐった
女将「おいでやすー」
A「あのー、はじめてなんですけど、食事できますでしょうか?」
女将は、オドオドしながら標準語で問いかける客に一瞬怪訝そうな表情をしたが
すぐに笑顔でこう答えた
「どうぞ、入っておくれやす〜」
友人は、あまりにアッサリと店に招き入れる女将に多少面食らったものの
憧れの名店で食事できる喜びと、店に入れた安堵感で有頂天だった
「一見さんお断り」なんて、ただの都市伝説だったんだ〜
おしぼりで手を拭きながら、友人はウットリとそんなことを考えていた
そして、まずは店員にビールを注文することに
緊張で乾いていた喉を、まずはビールで潤したかった
京都の有名店での食事。あれも食べたい、これも食べたい
何を食べようか迷う友人の所に、ビールを注文した店員とすれ違いに別の店員がやってきた
あれ、この店員は何をしに来たんだろう?食事の注文を取りに来たのかな?
そんなことをボンヤリ思った友人の目の前に置かれたのは…
京都名物ぶぶ漬け!
その、あまりにも早い登場にAは面食らった
まだビールも出てないのにぶぶ漬け!
座って5分も経たずにぶぶ漬け!
問答無用でぶぶ漬け!
あまりの衝撃と屈辱に言葉を失ったAは
箸に手をつけることなく、席を立ちフラフラと店の出口へ向かった
その背中に女将からの声が響く
「あら?お客はん、もうお帰りどすか〜?」
とか「お代は結構どす〜、おおきに〜」
そんな台詞が、Aの背中に向かって投げかけられたそうな
女将の顔は見なかったが、Aにはわかったという
Aの背中を見ながらニタァーッと笑う、鬼か、はたまた化け狐の如く顔のゆがんだ女将の笑顔が、友人にはハッキリと見えていたそうな
フラフラと店を出たAは、その足でチェーン店のファミレスへ行き
京都の「一見さんお断り」と「ぶぶ漬け」の恐ろしさを振り返りつつ
あんな回りくどいことせず、最初から入店を断れよ!とくだを巻きながらビールを飲み散らかしたとさ。チャンチャン
とまぁ、ここでこの話の幕が閉じてしまったら、Aは女将に
否、京都に負けっぱなしのまま話が終了してしまうのだが
話はこれで終わりではない
後日、Aは再び例の店へ行くことを決心した
信じたくなかったが「一見さんお断り」と「ぶぶ漬け」が、単なる都市伝説ではなく現在進行形で我が身に降りかかってきた
その現実を我が身でしっかりと受け止めたAは、とある知人○○さんに連絡を取った
京都在住の人で、縁あって親しくさせていただいている方である
そして○○さんが、その料理屋のお得意さんだということをしっかりと確認して
後日、その○○さんと、料理屋に行く約束を取り付けた
数日後…
○○さん「この店に来るのも久しぶりねー」
A「ずーっと、この店に来たくて仕方なかったんですよー」
○○さん「この店の料理は美味しいわよー」
A「それは楽しみですね!(いろんな意味でね)」
そんな会話を繰り広げつつ、料亭ののれんをくぐる一行
女将「あら、○○はん!お待ちしておりましたえ〜」
先日、Aが見た女将とは別人ではないか?
それくらいの低姿勢で○○さん一行を招き入れる女将
さすがにワ●ールの社長夫人に、前回のような態度を見せるわけないか…
そんなことを考えつつ、Aは社長夫人の後ろから勢いよく女将の前に飛び出した
A「いやー、前回来たときとは全然違う雰囲気だな〜」
女将「はりゃ!?」
○○さん「え?どうしたの?」
A「いやー、この店はサービスが良くて客にいきなりぶぶ漬…」
女将「あああああああ!いやいや、○○さん!違うんどす違うんどす〜!」
○○さん「…?まぁ、とにかく中に入りましょ」
A「女将さん、今日こそは美味いもんヨロシク。ぶぶ漬…」
女将「わわ…何言うてはりますのん!勿論サービスさせていただきますよ。嫌やわぁ〜」
A「ま、当然やな。おおきに〜(はぁと)」
こうして友人は、女将に一杯食わせて見事リベンジを果たすことができましたとさ
しかし、この話。友人Aはたまたま社長夫人と知り合いだったからリベンジを果たせたが
京都に知り合いのいない「一見さん」が今日も京都でこのような悲しい出来事に遭遇していると思うと胸が痛くてならない
ぶぶ漬けは都市伝説ではない。今日もどこかで誰かがぶぶ漬けを振る舞われているのだ!
これを事実として受け止め、心の準備を怠ることなく、みんなにもよりよい京都旅行を楽しんでもらえたらと思う
(勿論、京都の人が全員こういったことをする訳ではありませんので悪しからず。つか、ごく一部だよね)
ここで今日のおさらい!
京都で料理屋に入ってぶぶ漬けが出てきたときは、大人しく店を出ること
間違ってもサービスと勘違いしたりして、喜んで食べるなよ!
じゃないと、もっと非道い仕打ちをされるぞ(ニヤニヤ笑いながら、コチラに聞こえるように隠語〈若しくは方言〉で文句を言われたりね)
そんな時は、大きな声でおおきに!と言いながら
店から出る時に女将の顔に小銭でもぶぶ漬け(ぶつけ)てやろうぜ!
出典:たけたかさんのモグモグな日常
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