ヘタレですが、何か？

小６の２学期だった。遠足のための班編成をすることになり、
先生の指示で女子のリーダーが数名決まった。そして女子リーダー
が自分のパートナーとなる男子リーダーを指名するということにな
って、僕はＴＴさんから「私と一緒の班になって」と言われた。
それまで実はＴＴさんを意識したことはなかったのに、それ以来
物凄く気になる存在になってしまった。
中学校に進んだ時、密かに彼女と同じクラスになりたいと願ってい
たが、それはかなわなかった。
でも中２になるときのクラス替えでラッキーなことに同じクラスに
なった。クラスの男子で腕相撲大会をすることになったときに、隣
の席にいたＴＴさん（隣の席になるようにクラス委員長の僕が画策
した）が「じゃあ私と予行演習しよう」と言って手を握ってきたの
には驚いて、耳たぶが熱くなってしまった（純情な僕）。
当時クラスにも学年にも大っぴらに手をつなぐ男女はいなかったので、
クラス全員の「ヒューヒュー」には参ったけど、嬉しかった。
でも僕は告白する勇気をもてず、ＴＴさんとはずっと仲の良い異性の
友人として過ごした。ソフトボールの時も「バッティングを教えて」
と言われ、手取り足取りで教えた。その頃はクラスでもＴＴさんと僕は
相思相愛らしいということについて暗黙の諒解みたいなのがあったけど、
はっきりしないまま、ヘンな友情に毛の生えたような関係が続いていた。
高校進学で進路が分かれ、ＴＴさんは彼女の学力的には苦労せずに合格
できる近くの高校に、僕はちょっと遠い進学校に進んだ。
高校進学後も僕は彼女のことが気になっていた。でも高１の５月に彼女
が同じ高校の男子生徒と並んで歩いているのを通学バスから見て、僕の
思い切りの悪い長く続いた恋が終わったのを知った。
その後、大学に進んでから知ったけれど、彼女は高校卒業の頃まで僕の
ことが好きだったらしい。
ああ、なんたる不覚！それを知った時には僕は郷里を遠く離れていて、
彼女と会う機会さえなかった。
今も小中学校時代の彼女の写真を見ると、かなりの美形だし、性格も
おっとりしていて、せっかちな僕にはぴったりだったのに・・・。





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